岸田新総裁の甘利明幹事長の起用について
びっ栗。こりゃあ、たいふぇんだ。台風です。休みたいふうです。
さて、岸田新総裁の人事が進められています。昨日は甘利明氏が自民党の幹事長に任命されるという報道がされました。驚きましたので少し意見を書かせて頂こうと思います。
まさしくサプライズ人事です。甘利明元経済再生相が新たに誕生した岸田文雄総裁に自民党幹事長に任命される模様です。党幹事長というと総裁に次ぐナンバー2となるポストです。大政党の金庫のカギを握るポストでもあります。絶対的な権力を持つポストですからやがて総理総裁になると期待されるポストだと思います。自民党の国会議員は384名、地方議員は3481名、党員は113万人もの巨大政党を束ねるナンバー2なのですから最重要ポストです。そんな重要で期待値が大きいポストになぜ甘利明氏が起用されるのか理解に苦しみます。安倍晋三元総理や麻生太郎副総理の要望に応えたのかもしれません。下記:週刊文春
さて、甘利明氏の何が問題なのかを少し説明します。皆さんも記憶にあると思いますが、2016年の文春オンラインでの甘利氏と甘利氏の秘書に関する報道です。当時、経済再生相であった甘利氏の地元の神奈川県の建設会社が甘利氏と甘利氏の秘書に対して都市再生機構とのトラブルについて相談したことに始まります。この建設会社に隣接する土地を県道の用地として買収しようとするUR側と買収金額でトラブルになっていたようです。建設会社は用地買収の補償金額について甘利氏と甘利氏の秘書に口利きを依頼するために現金や接待で1200万円を渡したことを証言しています。驚いたことにこの建設会社は甘利氏や甘利氏の秘書と面談した際の音声を録音して保持していました。甘利氏は政治資金報告書に受け取った金銭の内、376万円しか寄付として記載しませんでした。結果的に建設会社とURとの交渉は、建設会社の望み通り2億2千万円もの補償金をURが支払うこととなっています。市民団体の告発によりこの事件は明るみになり、あっせん利得処罰法違反や政治資金規正法違反の疑いで東京地検特捜部が捜査に踏み切りました。建設会社と甘利氏、甘利氏の秘書にも当然、事情聴取が及びました。甘利氏も100万円を直接受け取っていることを認めていますし、甘利氏の秘書も500万円の授受を認めています。建設会社側に録音を取られてしまっているので認めざるを得なかったのでしょう。口利きを依頼した側の建設会社も依頼を受けた側も金銭の授受を認める展開となりました。現実に建設会社とURとのトラブルは解消されて多額の補償金が支払われていることか斡旋を依頼し利得を得たことは明らかです。ところが、東京地検特捜部は驚いたことに建設会社も甘利氏と甘利氏の秘書も嫌疑不十分で不起訴処分としたのです。依頼者の供述、受託者の供述、成否の結果、この三拍子がそろったある意味、明解な事件であるにも関わらず嫌疑不十分とは何事であろうかと思います。疑う余地のほぼ無い確定的に嫌疑を裏付ける証拠が揃った状況なはずです。(下記画像:黒川弘務氏)
なぜこのようなことが起きたのか。世間で大きく報道されて事件の解明が進んでいるにも関わらず特捜部は批判覚悟で不起訴としたのでしょうか。ここで登場したのが〝安倍政権の守護神″と呼ばれた黒川弘務元東京高検検事長です。2020年に黒川氏の定年延長案が世間で問題視されました。その後、黒川氏は定年延長どころか麻雀賭博で略式起訴され罰金刑を受けています。甘利氏のあっせん利得疑惑が騒がれている時、黒川氏は法務省官房長でした。安倍首相の側近の一人であった甘利氏を救済するために官邸に近い存在であった黒川氏が安倍首相に忖度して捜査を手控えるよう主導したのではないかという疑惑がマスコミ間でも囁かれていました。では、黒川氏はそのように仕向けることが可能なポジションだったのでしょうか。起訴や不起訴は検察官が上司の決裁を仰ぐとしても単独で判断することが原則です。よって、黒川氏が直接的な指揮命令を下すことは不可能です。況や黒川氏は政界との窓口を担当するポストです。刑事局に口出しは出来ません。ただ、当時の刑事局の局長は黒川氏と同期で盟友である林氏でした。暗に政権の意向を受けた黒川氏が林氏に状況を伝えたり、意向を含ませることは可能であっただろうと言われています。いずれにせよ、このあっせん利得処罰法違反の嫌疑は法的に葬られる結果となったのですから、ある意味、安倍政権の望んだ結果になりましたし、影響力が及んだかどうかは定かではありませんが、黒川氏は守護神ぶりを発揮したと言えるのではないでしょうか。2016年4月当時はTPPの交渉の真っ只中でしたが、甘利氏は大臣ポストを辞任するだけで議員辞職に追い込まれることもなく、刑事被告人となることも回避できました。
辞任後の甘利氏は睡眠障害というとってつけたような理由で4か月もの間、議員活動を休みました。つまり、ほとぼりが冷めるまで避難生活を送ったということです。甘利氏は疑惑に対して独自に弁護士を雇って再調査を行った後に会見を開いて説明責任を果たすと言っていましたが未だに会見は開かれません。時間の経過を利用して疑惑をもみ消したような結果になってしまいました。甘利氏は説明を尽くすどころか説明から逃げ続けた5年間だったのです。
そんな甘利氏の名前を久しぶりに聞いたのが今回の幹事長起用の報道です。甘利氏は自民党の金権体質を体現した存在であり、政治とカネの問題を引き起こした張本人であると思います。私は岸田新総裁が甘利氏を幹事長に起用したことにはがっかりしました。もう決定してしまったのならばしょうがないので、この機会に甘利氏を自身の疑惑からの積年の逃亡に関して説明責任を果たようにマスコミには世論を高めて欲しいものです。
下記:テレ東Bizより
最後に余談ではありますが、岸田総裁の言う所得倍増計画に軽々に喜んではいけません。所得が倍相することは物価をはじめとした生活費も上がるということです。インフラが急速に進むと貨幣価値に悪影響を及ぼします。積極財政に私は賛成ですが所得倍増によって生み出される弱者にもっと目を向けるべきです。少子高齢化が進む日本において年金暮らしの高齢者は人口の30%にも迫る勢いで増えています。その他にも障害者年金、生活保護受給者など法的な扶助に支えられる人々が大勢います。そういった人々が所得倍増畏敬欠く中で取り残されないように注視しなければなりません。就労による所得ばかりが増えてしまうと年金生活者や障害児など福祉対象者の生活は益々の困窮を強いられる可能性もあるのです。また、所得倍増計画の意図するものが税収の増収ばかりを目論むものでないことを願います。財務官僚たちの政策の言い換えによって所得倍増なんて言葉を用いているケースも多々あるのではないでしょうか。岸田氏を財務官僚から守る家老の存在が必要ではないかと思います。
以上、最後までご拝読を賜りありがとうございます。
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