運輸審議会委員の国会同意人事について

うん、そうかい

 運輸審議会委員の国会同意人についてである。運輸審議会の役割は運送事業の免許、許可やその取消し、運賃などの設定、変更の認可などに関する諮問についての審議を行い、国土交通大臣に答申・必要に応じた勧告などをすることである。委員の任期は3年で定員は6名、常勤2名と非常勤が4名である。委員の構成は民間企業出身者が2名、公益社団法人出身者が1名、学者が2名、弁護士1名となっている。3期務めた弁護士の山田摂子氏が退任し、新任候補として弁護士の吉田可保里氏が非常勤として就任する予定である。非常勤には日額26500円が支払われる。吉田氏は51歳と若いが東急建設の社外取締役を経験しており、中央建築士審査会の委員でもあることから今回の運輸審議会委員に就任すると兼任ということになる。運輸分野で広い経験と高い見識を持ち合わせているかどうかは疑問である。弁護士であるから多くの紛争処理にあたった経験は肝要であるが鉄道や航空や自動車輸送に関する諮問に正当に応え得るか少々不安を感じる。そもそも、畑違いの弁護士に対して政府の諮問機関の委員を兼任させる必要性があるのだろうか。

 令和5年に90回にわたり委員会が開催されている。毎回、1時間程度で多くは国土交通省の担当部局からの説明を聞く。昨年に委員会で審議された重要案件は15件ですべてが運賃の上限の変更についてである。答申は15件全件が認可適当としている。運賃改定には総括原価が妥当且つ適正なければならない。委員の多くが運輸事業に関して素人だとすれば委員会の審議は形骸化する可能性が高い。現在の委員の中では日本通運出身の和田貴志氏ひとりだけが専門性を有しているに過ぎない。別途、運輸安全確保部会に専門委員が6名いるのだが、最終の判断を下す権限を持つ委員の多くに専門性が備わっていないことが気掛かりである。運賃と安全性は表裏の関係であるとも言える。交通インフラは国家の経済の要にも直結している。国土交通省には慎重な人選をお願いしたい。

 本同意人事案においては反対傾向ではあるが、他に案があるわけもなく受け入れるしかないということなのか。人事案に選択肢があれば良いのに常々思っている。


参考

運輸審議会 Wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%81%8B%E8%BC%B8%E5%AF%A9%E8%AD%B0%E4%BC%9A

運輸審議会半年報 令和5年前半

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001624588.pdf

運輸審議会 国交省

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/s501_unyu01.html

坂本雅彦ホームページ

坂本まさひこ  作家 国会議員秘書

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