NTT労組について

ちょっと、ねてて(NTT)。

 NTT労組に関する調査の所望があったので探ってみた。かつて自治労やJR労組の問題点を論ってきた。その双方に共通して危惧されるのが極左暴力集団の浸透である。JR総連傘下のJR東労組は安倍内閣時に極左暴力集団である革マル派が相当浸透しているとの認識は事実であるという閣議決定するほどである。かつての革命闘争を駆逐された左翼運動家は運動の大衆化と称して国鉄や教員、公務員などに化け、その一部は労働組合を根城にしていった。日教組やJR総連、自治労の一部がそれにあたる。行政機関や国家機関、国家事業体に潜伏することは極左の大好物である内ゲバに最適である。闘争ごっこを継続するチャンスをそこに見出したのではないかと思う。

 いわゆる三公社五現業は左翼活動家や学生運動の成れの果てどもの格好の受け皿になったのではないか。三公社五現業とは公共企業体労働関係法、公共企業体等労働関係法、国営企業労働関係法、国営企業及び特定独立行政法人の労働関係に関する法律、特定独立行政法人等の労働関係に関する法律あるいは特定独立行政法人の労働関係に関する法律の適用を受けていたか、あるいは現在も受けている公共企業体及び国の経営する企業、すなわち外郭団体の総称をいう。三公とはタバコと塩を扱う日本専売公社、日本電信電話公社、日本国有鉄道をいう。五現業とは国有林野事業、国立印刷所、造幣局、アルコール専売事業、郵便事業である。現在ではJTやNTT、JR、日本郵政など多くが民営化されている。

 電信電話公社から民営化されたNTTだが、NTT労働組合の変遷などを辿ってみた。1946年に全逓信従業員組合を結成した後の1950年には郵政省と逓信省が分かれたことから全国電気通信労働組合を結成する。1953年には国際電電労組を結成。1965年には組合員全員でストを決行し16万人が処分されている。労組は16万人処分撤回訴訟を起こした。1969年には佐藤栄作訪米反対スト、1971年には沖縄返還協定反対ストを決行している。1975年ベトナム戦争終結時には公務員のスト権奪還ストを行っている。スト権がないのにストをするという確信犯的な行為は集団心理が為させたのだろう。1982年、電電公社の民営化、分離・分割に反対し401万人分の署名を提出。自民党の行政改革はそれに屈せず民営化を推進、電電労組は社会党と共闘する。1985年民営化され、全電通と電電労組が組織統合する。1987年、一部の者たちが連合への加盟に反発しNTT労協が発足する。1998年NTT再編に伴い組合員16万人を擁する新生NTT労組を結成。NTT労組と反発して分裂したJMITU通信産業労働組合(通信労組)と電気通信産業労働組合(電通労組)とNTT関連労働組合協議会(N関労)が並行して存在していたが電通労組は2023年3月に解散した。

 NTT関係の労組において革マル派や中核派の浸透がみられるという情報は確認できていない。かといってNTT労組に革マル派が絡む事件がなかったというわけではない。令和2年の公安が公表した国内情勢には革マル派が「NTT労働組合の組合員に向けて,機関紙「解放」(5月4日付け)で『組合内に種々の左翼フラクションをつくりだそう』などと訴えたりした。」と記されている。極左暴力集団が付け入ろうとする標的となっていることが窺われる。

 1998年には元動労(JR総連)からNTTに転職したNTT労組組合員が労組内部の録音データなどを革マル派に提供して窃盗で二人が逮捕されていたことが発覚している。日本鉄道労働組合連合会の会報によると、「逮捕した二人は革マル派の非合法活動家と共謀しNTTのデータセンターから革マル派に敵対する勢力の幹部や経営幹部と組合幹部のデータを引き出していた。公安部は、革マル派活動家が、敵対セクト幹部らの動向を探るため、Y容疑者らにデータを盗むよう指示したと見ている。盗み出した資料は数十枚に及び、98年1月、練馬区豊玉の革マル派アジトへの家宅捜索で押収。」という報道を紹介し「国鉄改革で退職した動労組合員がNTTに再就職し、革マル派の非合法の調査活動に協力していたこの事件は国鉄改革を利用した革マル派のNTTなど他産業への潜り込み工作の存在を示す何よりの証拠であるといえる。」という見解を示している。国営企業や公社の民営化が進む中で行き場を失った極左暴力集団のメンバーが他に根城を求めて拡散していると察する。この事件以外にNTT労組において革マル派や中核派の浸透が知れる報道は見当たらないがJR連合が危惧しているのだから注意が必要だ。NTT内部に革マル派の活動家が紛れ込んでいたとしても現状において組織立っての動きは見せていない。個人データの窃盗も対立する極左集団のデータ欲しさから起こしたことであり、左翼お得意の内ゲバの予兆に過ぎない。極左暴力集団といってももはや革命の為に蜂起する力などどこにもない。反体制を唱えながら左翼団体同士で路線闘争を行うのが関の山だ。心配なのはテロ行為に限られていると言える。今更、大衆を扇動し支持を得て共産革命や社会主義革命を起こすなんてことは現実的ではない。破れかぶれのテロ行為だけが危惧される。労働組合にはそのような輩が付け入る素養がある。大衆運動などと宣えるし弱者に寄り添うフリもできる。理屈を捏ねる法律も備わっている。闘争ごっこも常時行える。JRやNTTや郵政はガリバー企業であるから左翼活動家の隠れ蓑としてはもってこいである。経営陣は常時警戒心を持って欲しい。公安も徹底マークをして欲しい。日本においてのテロ実行の可能性を秘めているのはイスラム原理主義者ではなく左翼暴力集団である。内ゲバと路線闘争に飽きた極左がテロに走る可能性もないわけではない。セクト色を隠して労組に入り込みオルグ活動をする、なんていう公安の解説を目にしたりする。労組には左翼用語がそのまま使われていたりする。恥ずかしくないのだろうか。通常の宗教か、セクト(カルト)かどうかを判定する国際的な指針の一つとされている1995年12月、フランス国民議会で採択された報告書には下記のように定義されている。

 精神の不安定化、法外な金銭的要求、住み慣れた生活環境からの断絶、肉体的保全の損傷、子供の囲い込み、反社会的な言説、公秩序の攪乱、裁判沙汰の多さ、従来の経済回路からの逸脱、公権力への浸透の試み、以上の項目のいずれかにあてはまる団体をセクトとみなしている。フランスでは反セクト法を整備し厳重な対策を講じている。

 NTT労組は政治活動団体としてアピール21という団体を設立している。自民党や立憲民主党の多くの議員に献金している。選挙時には多くの議員に資金提供を行い推薦するなど支援を行っている。自民党では野田聖子氏や世耕弘成氏、立憲民主党では山井和則氏、逢坂誠二氏、海江田万里氏、山花郁夫氏、西村智奈美氏、小西洋之氏らである。岡田あき子氏や田島要氏など組織内議員も誕生している。革マル派が相当浸透しているというJR総連との関係が取り沙汰された菅直人氏や枝野幸男氏の団体にも資金援助をしており話題に上ったこともある。ただ実態は想像するにアピール21と政策協定を結んだ議員には押しなべて一定の資金を提供しているようである。それだけ寄付の宛先が多いということだ。革マル派との関わりや思想的意図は感じられないし見当たらない。

 さて、私は労働組合法や労働関係調整法は悪法だと思っている。もしくは著しくアンフェアな悪法だと思っている。日本には経営者や自営業者など被雇用者ではない者が20%程度いる。無暗にも法で規定された労働者の権利ばかりを一方的に守る、守るというより利用できるばかりの法律で雇用者にはそれがない。経営者を労働者や労働団体から守る法がないのはバランスが取れない。

 政党政治もそうだが徒党を組むと暴走することもあるし俯瞰できなくなる者も多い。労働争議や政治活動を商売にするものもいる。質が悪いのはそのような輩は往々にして正義面してものをいう。非弁行為から除外されていることをいいことに労働組合は依頼者から報酬を得て法律を翳し事業者から利を収奪する。こういうことをしている者どもは取り締まりの対象となっている。切り取り屋、似非同和、似非右翼、暴力団など反社会的だとして暴排条例の下に取り締まる。なぜ労組は取り締まらないのか。それは悪法に守られているからに過ぎない。それをうまく利用してきたのが極左暴力集団である。暴力革命を標榜し、もしくは暴力による政治体制の転覆を否定しない集団は労働三法を悪用できることに着眼し労働組合に巣食うようになった。全ての労働組合が反社だとまでは言わないが反社会的な行為を法律の傘の下で行える素地を備えていることには変わりない。いかに正当なことを言ったり行ったりしていても私には反社予備軍にしか見えない。

 そう言う私の会社にも労組はあった。プロパーの労組とはとても良好な関係だったし業界を圧倒する報酬を維持していた。問題は経営不振に陥ったことから私に買収された事業所である。腐りきっていた。経営不振に陥る大きな要因は労働組合による悪影響である。日教組とサービス連合とは徹底的に闘った。労働組合を駆逐することで事業所の債権を成し遂げたのだからわかりやすい。日教組と闘ったのは公共施設の事業破綻案件、サービス連合と闘ったのは元国鉄の経営する宿泊施設。共に公務員であった自負が色濃く残っている。事業は予算を措置することで賄われると思っているから市場での競争は二の次だし採算は度外視である。措置された予算は設備や運営や商品に向けられるのではなく人件費や福利厚生費としてどれだけ獲得できるかが彼らの興味と闘争の的となる。これでは市場原理として淘汰されるのは当然である。

 1960年と1970年に巻き起こった左翼学生運動による安保闘争はマスメディアによって大衆を煽りはしたが結果的には政府の足の裏をくすぐった程度のもの。何も得ることをなかった左翼学生集団はそのフラストレーションを内部闘争とテロ行為に向いた。日本で起きた最初の銀行強盗は左翼集団によるものだ。古典的な稚拙な思想をファッション感覚で振りかざし、理論武装したつもりが実は寸分も理解することもできず、内ゲバを繰り返し内部闘争に終始するようになる。いったい何人の者がこの幼稚な戯れによって命を落としたのか。自業自得といえばそれまでだがその加害者がその後も社会に生息してしまっているのは辟易する。しようもない子供じみた詭弁をいかにも小難しく理解しがたい表現を駆使してマルクスを崇める。ほとんどの者は何もわかっちゃいない。わかってしまうと信奉心が崩壊する。車が買えて海外旅行も大衆化しインターネットが普及しYouTubeもある。大学は一般化して週休2日は当たり前、ハロウィンが定着し肉体労働は外国人、そんな時代になるとマルクス主義なんて笑いものだし、〝マあ酷いルックス″てなものだ。

 結局、学生運動の破綻後に行き場を失った極左暴力集団の面々が潜り込んだ成れの果てが公務員だったり教員だったり学者だったりしたのだろう。そして彼らがそこで見つけた新たな闘争ネタが労働争議。会社や国家の為に働くことは苦役だと考える輩に自分の為にしか働きたくない。そんな輩の労組は格好の受け皿となり得る。

 広く社会で怖い存在と思われたり嫌われたりするのは左翼団体ではなく右翼団体であることが一般的だ。黒い街宣車で街場を走り大音量で軍歌を流し濁声で朝鮮総連や日教組を罵倒する。暴力的な印象を植え付けることを意図している。対象を畏怖させることで企業恐喝などの似非右翼ビジネスに繋げている面もある。真正な右翼もおりテロ行為に走ることがあるが時限爆弾を使うことも逃亡することもほとんどない。河野一郎邸焼き討ち事件や経団連立て籠り事件の野村秋介氏などが有名だ。一方、極左暴力集団は内弁慶な内ゲバ事件が多いが外部への攻撃はこそこそと爆弾を仕掛けることが多い。テロを起こした後は徹底して逃亡する。最近、逮捕された桐島聡容疑者は三菱重工ビルを爆破して8人を殺し385名を負傷させて上で50年も逃亡していた。極左暴力集団の日本赤軍に至ってはテルアビブの空港で銃を乱射し26名を殺している。その後、ジャカルタ、ローマ、ナポリでもテロ事件を起こして逃げている。日本初のハイジャック事件は赤軍派がよど号を奪取して引き起こした。日本のみならず外国にも多くの被害をもたらした犯罪者集団である。

 左翼集団は離合集散しながら存続する。政党として合法的に生き残った集団や労組を隠れ蓑として潜伏し闘争を企てる輩など様々である。共産党系の全労連、社民党系の全労協など左翼政党と労働組合は密接に共闘している。立憲民主党を支持政党とするJR総連は革マル派の浸透を受けるJR東労組を配下に持っている。共産党と革マル派は共に公安調査庁の調査対象団体となっており暴力革命を否定しない危険な集団と定義づけられている。日本共産党に至っては未だに国会議員が21名も存在する。地方議員に至っては2500名以上だ。平和を声高に叫ぶ共産党ほど平和に過ごせない政党はない。共産党に関わってどれだけ多くの人々が死んでいったのか多くの国民は知りもしない。血塗られた歴史を共産党は辿ってきた。社民党の前身である日本社会党は中核派や革マル派、赤軍派などを同盟軍と位置付けて共闘を求めていた。立憲民主党の国会議員の中には北朝鮮による拉致事件は無かったと発言する者もいた。労組は政治的影響力を求め政党を下支えする。政党も労組と協定を結び纏まった票を得ようとする。冷戦終結とともに左翼によるテロや内ゲバが減少すると極左政党や極左に侵された労組の正体が薄れてくる。日本は北朝鮮、中国、ロシアに囲まれている。世界の中でアメリカの軍事的影響力が減少し中国の台頭が目覚ましい。ロシアもナショナリズムを強めている。北朝鮮は国家の存亡を賭けている。今や日本では移民政策も本格化しつつある。国民の充足感も満たされていない。極左が蠢く社会状況が整いつつある。極左は国民の分断を煽り革命の機会を窺っているだろう。人類の幸福と日本の良心とは何なのかを問い直す局面である。


参考

NTT労組HP

https://www.ntt-union.or.jp/

令和2年の国内情勢 法務省 P71

https://www.moj.go.jp/content/001335851.pdf

アピール21 NTT労組政治団体

https://new.apr21.gr.jp/

アピール21 令和4年収支報告書

https://www.soumu.go.jp/senkyo/seiji_s/seijishikin/contents/SS20221125/3006500028.pdf

NTT事件は氷山の一角!労働界に巧妙に潜入する革マル派!

https://www.jr-rengo.jp/minshuka/kensho-kakumaru-pdf/kensho-No62.pdf

NTT労働組合 Wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/NTT%E5%8A%B4%E5%83%8D%E7%B5%84%E5%90%88

通信産業労働組合

http://www.tcwu.org/

NTT関連労働組合協議会

http://www.n-kanrou.com/

全国労働組合連絡協議会

http://www.zenrokyo.org/

坂本雅彦ホームページ

坂本まさひこ  作家 国会議員秘書

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