原子力規制委員会委員の同意人事について
いっきせい。。。にきせい。。さんきせい。
原子力規制委員会の同意人事案についてである。原子力規制委員会のHPによると「原子力規制委員会は2011年3月11日に発生した東京電力福島原子力発電所事故の教訓に学び、二度とこのような事故を起こさないために、そして、我が国の原子力規制組織に対する国内外の信頼回復を図り国民の安全を最優先に原子力の安全管理を立て直し、真の安全文化を確立すべく設置された。」とある。環境省の外局であり事務局として原子力規制庁が設置されている。設立当初の野田政権では委員の任命に関する欠格要件として「原子力事業者及びその団体の役員、従業者である者」がガイドラインとされていたが安倍政権以降は不問となっている。予算は約480億円、人員は約1100人と委員会としては規模が大きい。原子力安全・保安院と内閣府原子力安全委員会、独立行政法人原子力安全基盤機構が統合して設置されたことから規模が大きくなっている。
原子力規制委員会は原子炉安全専門審査会、核燃料安全専門審査会、放射線審議会、国立研究開発法人審議会の4つの審査会と審議会を持つ。所掌事務は原子力利用における安全の確保に関すること、原子力に係る製錬、加工、貯蔵、再処理及び廃棄の事業並びに原子炉に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること、核原料物質及び核燃料物質の使用に関する規制その他これらに関する安全の確保に関すること、国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関すること。
放射線による障害の防止に関すること、放射性物質または放射線の水準の監視及び測定に関する基本的な方針の策定及び推進並びに関係行政機関の経費の配分計画に関すること。
放射能水準の把握のための監視及び測定に関すること、原子力利用における安全の確保に関する研究者及び技術者の養成及び訓練に関すること、核燃料物質その他の放射性物質の防護に関する関係行政機関の事務の調整に関すること、原子炉の運転等に起因する事故の原因及び原子力事故により発生した被害の原因を究明するための調査に関すること、所掌事務にかかる国際協力に関すること、必要な調査及び研究を行うことと定められている。
原子力規制委員会設置法には「原子力規制庁の職員については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、原子力規制庁の幹部職員のみならずそれ以外の職員についても、原子力利用の推進に係る事務を所掌する行政組織への配置転換を認めないこととする」というノーリターンルールが定められた。また「原子力規制庁の職員については、原子力利用における安全の確保のための規制の独立性を確保する観点から、その職務の執行の公正さに対する国民の疑惑または不信を招くような再就職を規制することとするものとする」と規定し天下りが規制された。福島第一原発事故以前にあった原子力安全保安院や経済産業省と電力会社の馴れ合いを反省する措置である。
常勤の新任案である山岡耕春氏は名古屋大学大学院環境学研究科長教授である。火山学、地震学が専門。原子力安全委員会核燃料安全専門審査会審査委員、原子力安全委員会耐震安全性評価特別委員会委員、国土交通省社会資本整備審議会臨時委員、原子力規制委員会原子炉安全審査会・核燃料安全審査会審査委員を歴任し日本地震学会会長、地震予知連絡会会長も務めている。防災分野でも貢献してきた実績がある。研究課題には「大規模災害に対する「減災復興」総合システムの構築に向けた臨床社会学的研究」「ハザードマップにおける災害予測および避難情報伝達の機能向上に資する地理学的研究」などがある。地震学、火山学では第一人者である。原子力規制員会の審査会で安全分野における活動実績もあり当委員会の委員としてふさわしい人物だと考える。
常勤の新任案である長崎晋也氏は元東京大学大学院工学系研究科教授でカナダMcMaster University工学部工学物理学科教授である。専門は原子力工学。研究課題は「工学システムのリスク評価と不確かさに対する安全指標」「原子力施設の核セキュリティ評価とマネジメント」等である。前任者である田中知氏との共同研究も多く東京大学工学部教員時の同僚であることから田中氏が長崎氏を推薦したものと察する。長崎氏は核利用の問題と廃棄物の問題に取り込んできた。利用の問題とごみの問題とを同時に思考できるセンスは高く評価されるべき。長崎晋也氏の当会委員の任命は適当であると考える。ik
以上、両名の人事案には同意するべきだと思料する。
原子力規制委員会
https://www.nra.go.jp/index.html
原子力規制委員会 Wiki
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