人事院人事官の国会同意人事について

人事ャーエール。

 人事官の同意人事案であるが、いったい何の人事官なのか。人事院人事官のことである。通称はじんじん、かどうかはわからないが、今回は常勤の人事官人事の新任案だ。人事院は人事官3人をもって組織される。人事官は両議院の同意を経て内閣により任命され、その任免は天皇により認証される。総裁は内閣により人事官の中から命ぜられる。任期は4年、総裁と人事官2名の3名によって構成される。現職の元人事院事務総長である古谷浩明氏の後任にとして土生栄二氏が就任する案である。古谷氏がプロパー職員からの起用であったことから今回も内部昇格と思っていたらどうやら違う。プロパー職員のモチベーションが落ちてしまわないか若干心配でもある。土生氏は厚生労働省の出身で直近はデジタル田園都市構想実現会議の事務局長であった。デジ田というと道の駅をネタに交付金をばらまく機関という印象が個人的にはある。土生氏はデジ田の前からエリートコースを歩んでいる。外務省に出向し在アメリカ日本大使館で一等書記官を務めたこともある。厚労省では医政局総務課長や老健局長、大臣官房を歴任した。安倍内閣では内閣総務官として仕えた側近の一人だった人物。内閣総務官といえば衆院解散で解散詔書を皇居に持参する役目を持つ重要ポストである。総務官経験者は次官級ポストまで上り詰めるのが通常だ。デジ田委員兼事務局長も考えようによっては次官級ポストといえる。気になるのはデジ田の土生氏の後任が厚労省ではなく総務省自治行政局長の吉川浩民氏が就いたことだ。厚労省は重要ポストを総務省に搔っ攫われた形となる。土生氏とほぼ同じ道を歩んできた厚労省の大西証史氏が後任だと目されていた。相応のポストがなくなった大西氏は退職に追い込まれている。土生氏の人事官の就任は適任であろうと察する。安倍晋三首相、菅義偉首相、岸田文雄首相と三代に渡り側近を務めてきた。土生氏への政府の信頼も厚く、厚労省きっての逸材であることも間違いないトップオブ官僚の一人である。

 さて、人事院とはどういう役割を担っている機関なのか少しだけ触れておく。HPにようると「公務員は、憲法で『全体の奉仕者』と定められ、職務の遂行に当たっては中立・公正性が強く求められます。このため、国家公務員法に基づき、人事行政に関する公正の確保及び国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる中立・第三者機関として、設けられたのが人事院です。」とされている。主な機能としては「人事行政の公正が確保されるよう採用試験、任免の基準設定、研修等を実施する。労働基本権制約の代償措置として給与等勤務条件の改定等を国会及び内閣に勧告する。人事行政の専門機関として内外の人事制度の調査研究を行い、時代の要請にこたえる人事施策を展開する。」ことが挙げられている。中でも公務員の給与に関する人事院勧告は代表的である。スト権のない公務員は人事院が民間等の給与水準を鑑みて国家公務員の給与の増減の基準を勧告する。地方公務員の給与も人事院勧告を参考にしている自治体が多い。また、人事院は公務員の就業規則内容の検討やハラスメント対策も行っている。

 以上、人事官同意人事案には賛成すべきと思料する。


土生栄二 Wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%9F%E7%94%9F%E6%A0%84%E4%BA%8C

人事院HP

https://www.jinji.go.jp/syoukai/

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