中央労働委員会委員の同意人事案について

オフロードう。

 中央労働委員会の同意人事案についてである。労働委員会とは労働者が団結することを擁護し労働関係の公正な調整を図ることを目的として労働組合法に基づき設置された機関で労働組合と使用者との間の集団的労使紛争を簡易迅速にかつ的確に解決するためにあっせん、調停、仲裁など労働争議の調整や不当労働行為の審査、労働組合の資格審査を行っており、中央労働委員会は都道府県機関の労働委員会への助言等を行っている。

 令和4年の不当労働行為の審査は新規が786件、終結250件、再審査が165件、終結52件であった。調整事案は申請が236件、189件となっている。不当労働行為で多いのが団交拒否であるがそのほとんどが審査申し立て後に使用者側が団交に応じている。調整事案で多いのが解雇に関してだが61件中職場に戻れたのは3件だけである。ちなみに中央委労働委員会での調整事案は令和元年0件、令和2年2件、令和3年2件、令和4年0件である。労働争議調整件数は15年前には800件以上の申請があったが現在は236件、結果として仲裁は0件、調停は2件、ほとんどが和解のあっせんで終結する。傾向として圧倒的組合数と組合員数を誇る立憲民主党と国民民主党を支持する連合よりも比較的規模の小さい共産党系の全労連傘下組合の申請が突出して多い。はい、そういうことだ。令和4年の案件では121件が合同労組の申請、72件が個人の申請である。労組の組織力は極端に下がっている。全体の41%が個人の駆け込み案件である。それは今に始まったことではない。10年以上前から争議の調整申請は個人によるもの多くなっていた。労働組合は加入者が減ると儲けも少なくなるのでそれをひた隠しにしているだけである。

 印象として都道府県の労働委員会は、件数は少ないながらも未だに役割がある。件数の極端に少ないエリアは近隣の都道府県の労働委員会と統合すればよい。中央労働委員会への申請は更に少ない。ほとんどが不当労働行為に関するもので令和4年の申請は119件で終結は41件であった。78件は次年度へ繰り越しとなる。

 さて、今回の人事案は非常勤の公益委員の新任案である。常勤は2名、非常勤は43名も存在する。委員は学者等の公益委員が15名、労働組合関係等の労働者側委員が15名、会社役員など雇用者側が15人で構成されている。公益委員は政党その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をすることが禁止されている。

 新任予定の安西明子氏は上智大学法学部教授である。民事法学が専門。論文には「団体紛争における広義訴えの利益の具体化、手続保障論と現代民事手続法」というものもあるが多くは親子関係に関するものである。「民事訴訟法、民事執行法、民事保全法を結果を出す手段としてではなく、話し合いの手続自体の意義を重視し、主に当事者の主張立証プロセスの衡平について考える」という研究姿勢を示している。当委員会の公益委員にふさわしい人物であると考え人事案に同意することが妥当だと思料する。


中央労働委員会

https://www.mhlw.go.jp/churoi/

年報概要

https://www.mhlw.go.jp/churoi/nenpou/r04.html

安西明子 Wiki

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%89%E8%A5%BF%E6%98%8E%E5%AD%90

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