謹賀新年 令和7年 情勢展望

かねがほしいねん。

 明けましておめでとうございます。

令和7年が皆さまにとって希望に溢れる1年となりますように願っております。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、今年は諸外国では過度なインフレが一旦落ち着いて高金利から利下げが始まるだろう。だが、我が国においては今更ながら利上げが進み上半期には0.75%に、長期金利は1%に、その後は利上げの影響を見極めつつ様子見とするだろう。日銀による大胆な金融緩和は2013年から実施され、「2%の物価安定」を「2年程度の期間」を念頭におきながらできるだけ早期に実現することを想定していた。結果はどうだったか。マクロモデルで実質GDPを1.3%から1.8%、消費者物価の上昇率を0.5%から0.7%分、それぞれ押し上げに留まっている。想定していた効果とは程遠い結果であった。効果と副作用を慎重に検証することなく例外的な金融政策を濫発してきたことには反省が必要である。2%の物価安定目標を長期間にわたって達成できなかったのは2014年に消費税が8%に、2019年に10%に引き上げられたことよるのは一目瞭然である。金融政策と財政政策の協調がうまくいかない場合、デフレ脱却は難しく金融政策にばかりに負荷がかかってしまう。金融と財政の政策議論を深める必要がある。

 賃上げについては一層に順調に進み4%から5%の間をターゲットとして高い水準を維持すると目される。企業の業績好調のみならず人材不足は深刻で賃金の高騰は避けられない。所得向上により消費は持ち直す。利上げによって日米の金利差は縮小し円高傾向で推移する。賃金上昇による価格転嫁は進むが円高を受けて2025年から2026年にかけて物価指数は2%を割り込む可能性がある。

 エネルギーに関しては随分と高騰が緩和されてきた。12月の電気料金は関西電力以外の9社は軒並み値下げしている。1月からは電気・ガスに対して昨年の夏と同様に補助金を出すことを政府が11月に閣議決定していることから小売価格は少しだけ更に下がる。ただ、天然ガスはウクライナ情勢から世界中で売切れ状態が続いておりロシア以外からの調達が容易ではない。よって、天然ガスの高騰は2025年も続くだろう。

 最後にかねてから言われてきた「2025年問題」というものがある。介護・医療業界での労働力不足による現場の体制崩壊が危惧されること指す。2025年には団塊の世代にあたる約800万人が一斉に75歳以上となる。それによって人口の約30%が65歳以上の高齢者となる。20歳から64歳の現役世代は人口の55%しかいない。2025年以降、社会保障費が爆発的に増大することは避けられない。財政の問題より更に深刻なのは高齢者の生活や健康に及ぼす影響である。医療や介護の需要の急増に対応する施設や人材が圧倒的に不足している。このことが医療や介護の質の低下や施設利用までの待機時間の増加を招く可能性がある。現役の労働力が家庭内での介護にたくさんの時間と大きな労力を費やすようになると生産性が下がり経済全体の成長を妨げることに繋がる。このことは医療や介護の業界だけではない。物流業界、IT・通信業界、建設業界、製造業界にも言えることである。

 これらの問題を踏まえて生産性の向上のためのDX推進の強化、働く環境整備の推進、人材の多様化、地域ぐるみの社会形成、企業の社会的責任の見直しなど今以上に迅速に対応し整備を進めないといけません。行政や企業は将来への格段の投資が必要であり、政府は惜しむことなく後押しなければ国家の存続の危機に陥ります。DX化への投資を進め業務効率化や自動化を国を挙げて後押しし推進し人材不足の解消と競争力強化に取り組まなければなりません。今年も輝かしい未来の為の一日一生を歩みたいと思います。


参考

厚生労働省 今後の高齢化の進展~2025年の超高齢社会像~

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0927-8e.pdf

2025年問題とは 福利厚生ナビ

https://hq-hq.co.jp/articles/240514_050

日銀 植田総裁会見 追加利上げ見送りの背景は? NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241219/k10014672321000.html

坂本雅彦ホームページ

坂本まさひこ  作家 国会議員秘書

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