高市政権で事実上のプライマリーバランス黒字化目標の撤廃
PB?プライベートバンク?プレイバック?
画期的な方針転換で経済成長に期待
本年8月に石破首相当時に政府は国・地方のプライマリーバランス(基礎的財政収支、以下PB)が2025年度に3兆2000億円程度の赤字になるという資産を公表していた。税収の上振れによって当初4兆5000億円程度の赤字と予想されていたが一定の改善が進んだことになる。そうは言えども今年度の黒字化の目途は立っていない。
そうした中、11月7日の衆院予算委員会で高市首相はPBに関して「単年度ごとに達成状況を見ていく方針を、数年単位でバランスを確認する方向に見直すことを検討している。黒字だったら黒字で、それは大いに結構なことだ」と述べてPB黒字化の方針の堅持に拘らない姿勢を示した。高市首相の発言は事実上のPB黒字化目標の撤廃と受け止めることもでき画期的な方針転換と言える。
高市首相は所信表明演説において『「経済あっての財政」の考え方を基本とし、「強い経済」を構築するため、「責任ある積極財政」の考え方の下、戦略的に財政出動を行う』という方針を明らかにしていた。歴代自公政権では国債の利払費以外は税収の範囲内で予算執行することがあるべき姿だとし、過分の財政出動は財政危機に陥る危惧を財務省主導の下で唱えてきた。このPB堅持の方針が日本経済を弱体化させ、国民生活を疲弊させてきたのだ。
高市政権の方針が画期的なのは財政ありきの経済ではなく、経済という国民生活ありきの財政であるという考え方に転嫁した点にある。スペンディングファーストとは、国民生活の向上の為に必要十分な予算執行を行い、活発な経済に行われた結果として税収として納められる好循環をつくること。PBという余計な足枷が外れることでかつての栄華を誇った日本経済を取り戻そうというのが新政権の目指すところ。
コロナ禍で政府は多額の国債を発行して国民生活を下支えした。そのコロナ禍で発行された多額の国債による巨大予算の執行の効果が現在の日本経済の上向き傾向を支えていることに繋がり税収は大きく上振れる結果を得た。論より証拠、コロナ禍における積極財政措置がPB堅持に拘ることの無意味さを裏付けた。歴代政府と財務省が唱えてきた「政府債務対GDP比率を下げる為にPB黒字化が必要」という論は自分で自分の首を絞める政策であったということ。コロナ禍を経てGDPデフレータはプラスになり名目GDPは拡大している。もはやPB黒字化を必要とする根拠はない。日本経済が長いトンネルから抜け出すためにはPB黒字化目標を撤廃することと減税を進めることが必要であろう。
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