日本版DOGEの創設に抱く危険性
だ、さい逃、亡(´;ω;`)ウッ…
11月12日、政府は「政府効率化局」にあたる新組織設置の方針を表明した。これは日本維新の会が高市早苗総理対して総合経済対策策定に向けて行った提言の一つである。租税特別措置や高額補助金についての総点検を求め、長年にわたり特別措置を受けているものや政策効果の低いものを精査し根本的に見直すこと、長年に渡って実績や効果が小さいものや既に目標を達成し終えたものに関して廃止するか見直しを行うことを目的として設置する。
政府効率化局の創設によって所謂「公金ちゅーちゅー」の削減に繋がるのではないかと期待する声が多くみられる。一部のNPO法人が多額の補助金を受けることをビジネスモデルとした営利事業のようになっていることが明らかなっていることから社会問題化していた。実態にそぐわぬ目的が形骸化した行政の事務事業は数多存在する。そこにメスを入れることは勿論歓迎する。
一方で政府効率化局をかつての民主党政権時に行った事業仕分け(行政刷新会議)に印象を被らせて心配する声も上がっている。専門性を持たない政治家主導の事業仕分けによって日本の技術開発は遅れをとり、重要インフラへの投資もままならなくなり、経済的視点ばかりに偏って判断したために景気に大きな悪影響を与えただけでなく、大規模災害への備えが十分に進まない状況を生み出した。
本来、公金の支出は会計検査院によって検査されることになっている。補助金もその対象である。政府効率化局は政府内の部局、会計検査院は内閣から独立したチェック機構、その違いはある。つまり、政府効率化局は政府の意向に影響を受ける検査機構である。
アメリカでトランプ政権が誕生し政府効率化省(Department of Government Efficiency: DOGE)が設置された。テクノロジーとソフトウェアの近代化を通じて政府の効率性と生産性を最大化することを目的としている。実はアメリカのこの機関はトランプ政権の政治的ターゲティングに連動した結果をもたらしている。特に支出削減の上位は米国国際開発庁(USAID)、教育省(ED)、人事管理局(OPM)、保健福祉省(HHS)、農務省(USDA)となっておりトランプ政権が予算を抑制することを表明していた分野と合致している。人員分野では官僚機構が批判的に可視化され、行政機関の規定制定権限が激しく攻撃されている。要するにトランプ政権下のDOGEは行政機能の意図的弱体化と大統領府への権力集中に主眼が置かれていると言えよう。
日本維新の会の提言と言えどもアメリカのDOGEの日本版の導入をイメージした創設であるとすれば内閣に過剰な権限が集中しかねないという危惧を抱く。内閣から独立した会計検査院があるにも関わらず内閣の統治下にある政府効率局を創設する裏側には与党による政治的レトリックとして機能を持たせる意図が隠されてはいまいか。公金の歳出を検査する機関は内閣とは独立してあるべきだろうから会計検査院の機関拡充を行う方が妥当であるはずだ。
0コメント