科学技術予算と結果の乖離

科学技術予算に関連しましてお聞きしたいと思います。

政府は第五期科学技術基本計画に基づき統合イノベーション計画を策定し施策の重点化し実行しておられます。

統合イノベーション戦略2019は、1.特にスマートシティの実現を通じてSociety 5.0の社会実装、創業や政府事業・制度等におけるイノベーション化の推進、2.基礎研究を中心とする研究力の強化、3.国際連携の抜本的強化、4.AI技術、バイオテクノロジー、量子技術などの最先端・重要分野の重点的戦略の構築の4つの柱を盛り込まれております。

中でもSOCIETY5.0を実現するIoT、ロボット、AI等の先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、格差なく、多様なニーズにきめ細かに対応したモノやサービスを提供すること経済的発展と社会的課題を解決することを両立することが望めます。

一方、基礎研究を中心とする研究力の強化についてですが、我が国の厳しい財政状況の中で科学技術予算は増加してきました。対GDP比でも主要国と遜色ない水準を維持しています。しかしながら、他の論文に引用される数が上位10%に入る「質の高い」論文は2003年から2005年には平均で4600本で世界第4位だったのですが2013年から2015年には平均4200本で世界9位に、2019年には世界12位○○○本にまで後退しています。主要国で後退しているのは日本だけです。

このような状況にあるのは国立大学が法人化され運営交付金が減っていくにつれて研究者が競争的資金の獲得に追われるようになったのが原因ではないでしょうか。

併せてその一因だと思慮するのは、競争的資金の獲得の為に研究者が費やす労力と時間が増えているではないかということです。研究者が研究のために割ける時間は2002年には1300時間だったが2013年には900時間に減っているとされています。職務時間における研究費の割合は47%から35%に減ったとされています。その後、予算措置は改善されつつあるとしても成果が伴わない原因にはそれには国立大学の法人化に伴い中期目標、中期計画の策定やその総括などの事務的負担が増していることも影響しているのではと思われます。また、研究資金を獲得するための準備的な資料の作成や面談などが研究者の負担になっているということでしょう。そのような状況の改善を図る為にも更なる十分な予算措置を実行することが有効だと考えますがいかがでしょうか。

さて、それら資金的な問題や事務的な負担等の問題と一緒に検討しなければならないこととして研究分野の問題もございます。

科学技術やイノベーションは,本質的に予測が困難なものです。従って,研究予算の配分方法としては,現在の「過度な選択と集中」を見直し,幅広い分野の基礎研究に資金を投入して長期的に研究の芽をはぐくめる「科研費」の拡充が最も良いと思われますがいかがでしょうか。

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