フジメディアHDの外資規制違反に対する総務省の対応について(参議院浜田聡議員のお手伝い)

金曜も出きんよー!ランチはカキフライでーす!今日はハゲ・・・のち曇りですね。

さて、一昨日は参議院浜田聡議員のお手伝いに上がりました。

フジメディアホールディングスが外国資本を規制する法律に違反していたこととそれに関する総務省の対応に関して考えてみます。

画像:ABEMAスクリーンショットより

今回の問題の概要を少しだけ説明します。

フジテレビなどを傘下に持つ持株会社のフジメディアホールディングス(FMH)が2012年から2014年まで約2年間に渡り放送の外資規制(持株比率20%)に違反していたが発覚しました。FMHはそれを把握していましたが公表していませんでした。

法律による規定は下記の通りです。その上で総務省の対応に関心が集まっています。

下記資料:放送法逐条解説、情報通信振興会、放送法第161条

放送法では認定放送持株会社の株式を取得することを制限しています。外資の議決権が20%以上とならないように制限するとともに外資の議決権に対する割合を広告することになっています。20%の議決権を制限するための方策として株主名簿の記録を阻むことができる名義書換拒否権が認定持株会社には付与されています。第116条も同様の取り扱いを規定しています。

下記資料:電気通信事業法逐条解説、電波法第5条4

4項の3において外国人、外国法人の議決権付き持株比率は20%以下に制限されております。規定に該当した場合は無線局の許可を与えないことになっています。また、既に許可、認可を受けている場合においても下記の通り規定されています。

下記資料:放送法逐条解説、情報通信振興会、第103条

認定の取消は義務的な条項として規定されています。93条とは欠格事項を定めています。この条項は外国性、反社会性の排除の欠格事項に該当した場合、義務的取消事由として基幹放送の業務の認定を取り消すこととするものです。

下記資料:認定の取消は義務的な条項として規定されています。93条とは欠格事項を定めています。この条項は外国性、反社会性の排除の欠格事項に該当した場合、義務的取消事由として基幹放送の業務の認定を取り消すこととするものです。

下記資料:電波法要説、情報通信振興会、第75条

放送法の外資規制に反した場合は義務的に免許、認定が取消される義務的条項が規定されています。一方、電波法第75条において認定を失った決定から救済することができます。

ではなぜ法律で放送事業者の外国資本の制限が規定されているのでしょうか。その理由は二つ考えられます。

まず一つは日本国民の知る権利を守るためにです。外国事業者が外国の利益の為ために外国に都合の良い情報ばかりを放送することで国民に偏った認識を誘導することになりかねないからです。いわゆる偏向報道というものです。

もう一つは国家の権力の監視機能をメディアが負っていることが多いということです。政治や行政の取り組みや判断を放送局を含むメディアが監視することで国民は情報を得ることができ、時に権力を糺すことも可能となります。正確で迅速な情報を得るために報道機関は政府や国会や諸官庁など国家の中枢の機関にも立ち入ることが可能となることがあります。国家の重要な情報を自国に都合の良い正確ではない、もしくは偏向した報道によって意図的に世論を誘導することも不可能ではありません。有事於いてや大規模災害時の情報統制、機密事項の漏洩の防止を図るため、国民の安全保障上においても放送事業者の外資規制は必要な措置です。この規制は日本に限ったものではなく世界の多くの国が規定しており、いわば国際ルールとして世界の電波行政上でスタンダードなこととなっています。このルールによって各国は報道の独立性を保たれています。つまり、自国のメディアは自国民の出資によって支える必要があると思います。

では、今回の問題になっているが外資の持ち株比率ですが、2014年10月時点でFMHは31.8%となっています。2021年3月時点では32.1%が外資の保有となっています。FMHだけが外国人の保有比率が高いというわけではありません。日本テレビも非常に高い外資持株比率になっています。

この時点で外資規制に違反しているわけではありません。株式には色々な種類がありますが、規制の対象となっているのは議決権を付与されている株式です。単に配当だけを受け取る株式はその対象となっていません。現在においてはFMHの外資持株比率は議決権付き株式では20%を辛うじて下回っており規制に違反していません。しかし、FMHは過去において外資の議決権付き株式の保有比率が20%を超えた状況になっていた時期が存在したことが明らかになりました。

よって、FMHは免許の剥奪になるのではと危惧されていました。放送法第103条、放送法第166条に従うと義務的取消事由に該当すると解せられ認定の取り消しは免れないものだと考えられます。取り消しになった上で電波法第75条2における救済措置によって取り消さないことになるのではないという意見が有識者方々の間では多かったようです。

しかし、実際の総務省武田良太大臣の判断は厳重注意だけに留まりました。実は総務省は2014年12月にFMHより当該事実の相談を受けていたらしいです。武田総務大臣はその時点で既に外国資本の制限を超えていた状態は解消されていたことから「認定は取り消せない」という理由を説明しました。

この判断には法に背反しているのではないでしょうか。悪意(20%を超えている認識)があろうと無かろうと事後報告さえすれば大丈夫ということなのだろうか。併せて、総務省はFMHから報告や相談を受けないと違反した状況にあることに気が付かないということなのでしょうか。法の規定にはそのようなファジーに判断する余地はないように受け取れます。「取り消さなければならない」という義務的な規定のはずです。FMHの認定の取り消しが現実と照らしてそぐわないとすることも理解できます。だからと言って法の規定とは相容れない処分や措置をとることは権力の濫用の一緒であろうと思います。何より、そのような対応をすることで法の規定を形骸化してしまうことに繋がります。

東北新社が認可を申請した際に外資規制の持ち株比率上限を超えていたことから認可が取り消されました。そのことと比較してフェアではないという人も多いでしょう。そのような印象を抱くことは当然だとは思います。法治国家では前例主義が取られます。その都度、同様の案件なのに法による判断が変わるようなことがあっては困ります。何のための法規定なのだということになります。前例に倣って法の規定に従い措置するということが当然なのです。

法の規定とは違った運用を行ったり、法の規定から解釈できない運用を政府や担当大臣や行政が行うようになるとそれは法治国家の体を為していないことになります。ガバナンスを機能させるのが法律であり、一貫性を保つのが前例主義であるのならば、事例によって軽々に判断を変えてはいけません。東北新社が厳罰でフジメディアホールディングスがおとがめなしという政府が法律を曲げて運用するようなことが起きるガバナンスが効かない状態は法治国家の危険的状態なのだと思います。

ただし、東北新社についても新規の申請に関してのみ認可を取り消されており、従前のチャンネルについては継続しています。フジメディアホールディングスについても傘下の全ての放送局に及ぶ取消が下されることはなくどれか一つに限定して行われるのだと思います。そして、その取消の処分も電波法第75条でストップされるように思います。

また、フジメディアホールディングスに関してはその傘下にフジテレビやニッポン放送など複数の放送事業者が存在しますが、その事業者がそれぞれにおいて事業認可を受けており、フジメディアホールディングスにおいて厳罰が下されたとしても直ちに傘下企業の放送が止まるということはないようです。

とにかく、法に誠実に従った判断を堅持しないと今後も独自の法解釈で前例や法を曲げて政府が運用するようにならないとも限りません。また、汚職が蔓延るようになる危惧もあります。多くの国民に不都合な情報を伝えないとか、意図して一方向に世論を誘導するような放送事業者が現れないとも限りません。

外資の持株制限の上限は20%と定められており、それを上回る場合は議決権を与えないようにできると規定されていますが、そもそも、外資の持株比率が20%に達すると買うことが出来ないような法律に改正しまえばこのような問題が起きることはありません。

下記資料:総務省情報通信政策局

アメリカ、フランス、カナダでは日本と同様の規制のようです。完全に放送事業者に対する外国資本の受け入れをシャットアウトする必要はないとしても、議決権の有無に関わりなく一律の持株比率の上限を20%としてはどうでしょうか。FMHのような誤りもなくせますし、外国資本の状況の管理が放送事業者にとっても総務省にとっても管理や監督することが容易になると思います。

いずれにせよ、日本の政治や社会、歴史や文化、言論に与える影響が放送事業は大きいですから、外資の受け入れに対しては慎重かつ正確に管理し、規正法に関しては厳密な運用をしなければならないと思います。

以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。

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