令和3年度補正予算案について(参議院浜田聡議員のお手伝い)

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さて、令和3年も師走となり新型コロナ感染症の蔓延に翻弄された1年のクライマックスの時期となりました。国民生活や民間事業においても事業年度としても第四クールを迎えるにあたり岸田新政権には大きな期待を寄せていると思います。そのような中で政府は補正予算案を取り纏めました。その内容について少し検討してみたいと思います。

下記:財務省作成

補正予算の総額の規模は約31兆5千億円です。Ⅰ新型コロナウイルス感染症の拡大防止の為の予算として約18兆6千億円が計上されております。報道でよく耳にする子育て世代に対する10万円相当の給付に対する予算は政府予備費より7311億円が拠出される予定です。よって、今回の補正予算には計上されません。

生活に関する補正予算では生活困窮世帯に対する給付金として約1兆4千億円が計上されています。住民税非課税世帯とは年収が主に135万円以下の世帯を指します。年収が135万円以下というのは相当に困窮する世帯ではありますが、救済すべき困窮世帯には所謂ワーキングプアと呼ばれる層も含むべきだと考えます。つまり、年収にすると200万円から250万円以下も対象にすることが理想だったのではないでしょうか。住民税非課税世帯の中には所得は135万円以下であっても資産を多く保有する高齢者も含まれている可能性があり困窮者とは限らないように思います。

事業者への支援として約2.8兆円が計上されています。飲食店等の休業補償や時短要請に応じた協力金は減少し、代わって休業していた事業者や縮小していた事業が再開するための資金繰りを支援する予算として計上されています。事業を再開するのは容易かもしれませんが縮小したマーケットを元に戻すことは容易ではありません。需要と供給の折り合いは長年の喚起を積み上げてきたものであって一朝一夕には成りません。今回は売上の減少に対して補助金が主になっていますが、令和4年度の予算では事業者の資金繰りと投資を主に支援する方向にシフトしていくことが望まれると思います。

新型コロナウイルス感染症に対する病床確保に関しては世界の感染状況から斟酌して暫し現状の医療体制を維持する必要があると思います。ただし、現在は一旦は国内の感染状況が落ち着いていることから給付先の実績について確認したり、顧みたりすることも必要だと思います。報道では新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の尾身茂氏が理事長を務める医療施設であっても確保病床数158床に対し、受け入れ患者は111人、病床使用率は70%ということになり3割が空いていたということです。しかも、医療が逼迫して救急搬送すらままならない2021年8月10日現在においてのことです。その他のコロナ感染に関する諮問機関のメンバーが運営に関わる医療施設において感染患者を積極的に受け入れていないケースが数多く発覚しています。8月下旬から9月下旬にかけての感染拡大で病床の不足は顕著となり、都内50か所の病院のコロナ病床が100%の稼働率となっていました。

 裏腹に日本テレビの報道によれば、8月31日時点で都内の確保病床(コロナ患者をすぐに受け入れ可能な「即応病床」)は5967床あったということですが、受け入れられた患者は4297人で、病床使用率は72%ということになります。個別に見ると、病床使用率40%以下の病院が27施設、0%の病院が7施設もあったという報道が為されています。

 つまり、使用率が100%の施設がある中で院内の動線などを理由に巧みに話して受け入れをしない病院が多数あるということです。そのような病院が1床につき一日71000円を、月額では一床につき最大1950万円の補助金を受けています。集中治療室を用意すれば1床につき1日40万円の支給が受けられます。

 使用率が0%の病床は言うまでもありませんが、使用率が40%以下のコロナ病床に関してはこの機会に徹底的な調査を行い、悪質な医療機関への指導や指定の解除と情報公開を行うべきだと思います。その上で新型コロナウイルス感染症包括支援交付金の予算を維持するべきだと思います。場合によっては、未執行の予算が約30兆円あることが明らかになっていますのでその中からやりくりすることで捻出し、2兆円は他の経済対策に回しても良いのかもしれません。

 ガソリン高騰への補助金について800億円が計上されています。これは石油卸会社へ支給による国民への支援となっています。税制度に手を付けるものではありません。ガソリン価格が170円を超えると5円分を補助するという施策に過ぎません。

 Ⅱの経済活動の再開についてです。前回の見切り発車で中途半端なことになっているGO TOトラベル事業に2685億円をさらに積み増すようです。既に予算化されている約1兆3千億円に加えると相当に大きな予算です。GO TOトラベルの予算に比較してGO TOイートの予算は約500億円ですからバランスが悪く格差も大きすぎる気がします。これも自民党の前幹事長への配慮ということなのでしょうか。GO TOトラベルキャンペーンを再開する予定は来年の1月から2月を予定しているということです。年末年始は現状でも十分に国内の旅行業界は活況を呈していますので時期を急がず閑散期の2月以降に行うことが良いと思います。今回は近県での利用が可能となるそうです。

 下記:財務省作成

Ⅲの新しい資本主義についてです。そもそも新しい資本主義とは具体的に何をどうすることが新しいのでしょうか。岸田総理が自民党の総裁選で唱えていたのは新自由主義路線からの転換と所得倍増計画および所得の再分配の見直しによる中間層への還元と積極財政への転換だったと思います。それらの政策はどこへ行ってしまったのでしょう。来年度の当期予算に反映するのでしょうか。それとも気が変わってやめてしまったのでしょうか。

住民税非課税世帯への給付金はコロナ対策とし、子育て世帯に対する給付金は分配戦略として人への投資と謳っています。使途をフリーにした現金給付が人への投資とは思えないような気もします。目的を明らかにしてこそ投資と言えるのではないかと思います。そもそもはコロナ禍において生活困窮した子育て世帯の支援だと与党は説明していましたが、給付世帯の所得上限が970万円となっています。それだと子育て世帯の約9割が該当します。2019年の国民生活基礎調査によると子育て世帯の平均所得は745万円です。全世帯の平均所得が552万円ですから比較的余裕のある世帯に支援金を給付することになっていると思います。子育てに困窮する世帯に限定して給付するので給付するのであれば全世帯の所得平均を下回る所得の子育て世帯に限定するか母子世帯(所得平均306万円)に限定するなどを検討しても良いのではと感じます。とにかく多くの人に給付するというだけでは、バラマキと言われたり、合法的な票の買収と受け取られても仕方のないことだと思います。景気対策なのか、子育て支援なのか、困窮対策なのかが判然としないのは良くないと思います。

成長戦略に関しては目を引くものは見当たりません。10兆円規模の大学ファンドは安倍政権時に予算に盛り込まれたものです。未だ効果(運用の配当見込み)の見通しは不明ですが約6千億円を積み増したに過ぎません。デジタル都市構想やグリーン施策は菅政権で既に進めて来たものに追加予算を措置しただけです。岸田政権の新たな政策の独自色は薄いと思います。

さて、総論として補正予算の規模は大きいわりに期待感が薄いのは思い切った具体策に乏しいからだと思います。この際、低所得者や子育て世代に限定した給付(合計約2兆6千億円)を行うことより、国民全体にメリットのある政策を盛り込むべきではないかと考えます。参議院浜田聡議員もたびたび言及しておられる消費税減税はインパクトのある政策ですので国民の満足感も一気に増すと思います。たとえば、食品や新聞などの軽減税率の対象となっている消費税を8%から4%へと半減するのであれば約2兆円の予算措置で実現が可能だと思います。国民を選別し限定した給付を2兆6千万円もの規模で行うよりも消費税減税は平等ですし経済効果も広く高いと思います。消費税は政府の税収の半分近くを占めますので大きな減税はいきなり行うと地方自治体も含めた国家運営に少なからず支障をきたしますので、軽減税率分だけを半分の4%にすることは2兆円ほどで済みますしトライする価値はあると思います。

最後までご拝読賜りありがとうございました。

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