日本のエネルギー政策について(参議院浜田聡議員のお手伝い)
バイオマスはやばいおます、、、。
さて、日本のエネルギー政策について検討してみます。
2021年10月に政府は第6次エネルギー基本計画を定めました。昨年の9月30日に私のブログにおいても検証した通りです。その内容は政府が野心的な見通しであること認める内容となっています。行政用語の「野心的」とは「達成できなくてもよい」という意味です。とはいえ、その内容を具体的に再確認します。
まず、温室効果ガス削減割合を46%としました。その為の方策として再生エネルギー比率を36%~38%に設定しました。その内訳は、太陽光発電14%~16%、風力が5%、地熱が1%、水力が11%、バイオマスが5%となっています。再生エネルギー以外に水素発電が1%、原子力発電が20%~22%、天然ガス発電が20%、石炭が19%、石油が2%です。
つまり、2030年には主要電力が再生エネルギーとなる計画です。2030年までのパリ協定に対する取り組みではありますが、現実的には日本の経済安全保障に関わる取り組みでもあります。であるからこそ、エネルギー自給率を向上させる努力は怠ってはなりません。
1929年にアメリカの株価大暴落に端を発した世界恐慌を境に先進国は石油・石炭・天然ガスなど化石燃料の囲い込みを行うブロック経済を進めるようになりました。天然資源に乏しい日本も満州国の建国など周辺諸国に対して資源供給源として経済的ブロックの確立を図るようになりました。奴隷市場から植民地政策へ、植民地政策からブロック経済圏へうmと列強各国の囲い込みは強度を増していきました。日本の独立とアジアの列強によるアジア各国の植民地化に抗する為にアジア共栄圏を模索することは当然のことと考えます。日本のこの動きを許さなかったのがアメリカ、イギリス、中国、オランダによるABCD包囲網です。日本にとってエネルギーの枯渇はABCD諸国による植民地化と隷属化を意味します。ブロック経済による囲い込みはエネルギー源の囲い込みでもあり、やがては戦争にまで発展してしまいました。湾岸戦争もエネルギー問題が切っ掛けでした。現在、戦争に至ってしまっているロシアとウクライナの間でも2006年に天然ガスの価格に関して折り合わず、ロシアがウクライナへのガスの供給をストップするという事態が発生しました。ヨーロッパ全体の40%がロシアからのガスに頼っています。ロシアのウクライナ侵攻に対してNATO諸国が武器の提供や経済制裁を行うことで、ロシアの天然ガスの提供も止まる可能性があります。そうなるとヨーロッパのエネルギー価格は高騰し、果てには国家的秩序も揺らいでしまう可能性もあります。
エネルギー資源を巡る歴史から鑑みて日本はエネルギー自給率を向上させる必要があります。現在の自給できるエネルギーとは再生エネルギーと大規模水力発電と原子力発電です。中でも原子力発電は2011年に発生した東日本大震災以後、大半の施設が停止したままになっています。原子力発電では二酸化炭素の排出もありませんし、天候など自然環境に影響を受けずに電力を安定供給できる発電方法です。
下記資料:経産省、資源エネルギー庁作成
原子力発電所の現在の稼働状況は上記のように10基が稼働しており、26基が停止中になっています。現在の電源構成の中で原子力は6%のシェアに過ぎませんが、政府が第六次エネルギー基本計画の中で目論む20~22%にシェアを引きあげるには、現在停止中の全ての原子力発電所を稼働させる必要があります。よって、政府は停止中の原子力発電所の再稼働を目指していくという方針を明確にしたということです。その為には既存施設の新たな安産基準への改善改良工事を急ぐ必要があります。また、廃炉期限である40年を60年程度まで引き延ばす必要もあります。現在、廃炉を決定した原子力発電炉は24基あります。そ野中でも再稼働が可能な施設もあるかもしれません。
もう一つのエネルギー自給率を向上させる方法は再生可能エネルギー施設の推進です。東日本大震災以後は急速にシェアを拡大してきた分野です。中でも太陽光発電施設は政府の助成措置もあり飛躍的に増えました。現在では凡そ14%から16%のシェアに至っています。第6次エネルギー基本計画では更に促進して20%から22%を目指すことになっています。ですが、これは容易ではありません。国内各地に太陽光パネルの設置が進み、平地での設置量は世界2位の水準になっています。太陽光パネル全体の設置量も世界で3位となっています。ある意味、日本は既に太陽光発電大国でもあるのです。昨今では、山林や原野などを廃発して大規模なソーラーパネル施設を設置することも多くなり、自然破壊や環境破壊が危惧されるようになっています。また、太陽光パネルの80%以上が中国からの輸入品です。その太陽光パネルの中国での生産地が新疆ウイグル地区だと言われていることから、中国からの大量購入がジェノサイドに加担する行為なのではないかと指摘されています。今後、太陽光発電を更に進めるとしたら、耕作放棄された田畑の利用が良いのかもしれません。現在は農地転用に関して農業委員会の許可を得るのは容易ではありませんが、政府が方針として仕向ければ可能かつ有効だと思います。また、工場やビルの屋上の有効活用には向いているのかもしれません。また、医療施設には停電に備えてぜひ再エネ設備を備えてもらいたいと思います。多くの医療器具が電源を必要とし、生命維持に直結することでもあります。政府は医療施設設置の基準に対して緊急時のエネルギー源の確保の義務付けを検討しても良いのでは思います。
太陽光発電は自然の影響を強く受けます。雨天や曇天では機能を発揮できませんので、エネルギーの安定供給には向きません。
風力発電施設も最近は多く見られるようになりました。静岡県の太平洋と接する地域では積極的に建設されています。現在は風力発電施設の耐久性や技術力も向上しているのかもしれませんが、以前は故障ばかりでアテにならないという低い評価をよく聞きました。風力も風が吹かないと発電はしませんので、自然環境の影響を少なからず受けますので安定供給を期待することは難しいと思います。
最近は地熱発電も注目されるようになりました。日本は火山国ですから地熱資源は豊富です。世界第三位の地熱資源があると言われています。蒸気をエネルギー源としますので温室効果ガスも発生しません。比較的大規模な開発が可能で24時間稼働することも出来ます。天候など自然環境にも左右されないというメリットもあります。半面、開発コストが高く、設置に掛かる工期も約10年と長くかかってしまいます。また、近隣に温泉施設などがある場合は地域での交渉や調整が必要になります。
以上、様々な発電型を見て来ましたが、このほかに新形態の発電方法にも政府は取り組んできました。中でも有力なものは核融合発電です。既に2020年にヨーロッパで日本を含む世界35ヶ国が参加する国際プロジェクトとして工事が着工しています。核融合とは重水素と三重水素を海水から取り出し原子核同士の融合を促す発電方法です。温室効果ガスも発生しませんし、ウランも必要としません。原子核1gで石油8トン分ものエネルギーが発生します。核融合の停止も容易であり、メルトダウンの可能性も少ないです。つまり、この核融合発電は夢のエネルギー源なのです。ヨーロッパでは2025年に初動し、2035年に本格稼働を目指しています。ヨーロッパだけではなく、実は日本の茨城県でも同様の核融合炉を建設開始しています。この施設も日欧共同の取り組みです。既に施設はほぼ完成しており、各機器の健全性を確認する作業に入っています。この施設が本格稼働すれば約200万戸分の電力を供給することが可能となります。化石燃料の輸入に頼って日本にとって状況を大きく改善できる可能性を秘めるプロジェクトです。
さて、エネルギ-供給源が化石資源から非化石資源など再生可能エネルギーなどに潮流が移り変わっていますが、だからと言って石油やガスを軽視することは出来ません。中東など産油国から原油を買う場合、日本はアメリカが購入している価格の4倍近い高値で買わされています。アメリカはシェールの採掘によって石油やガスを採取していることからエネルギー自給率は約74%となっています。一方、日本は新潟県の沖合で少量のガスを採掘しているにすぎず化石燃料のほとんどを輸入に頼っています。産油国はエネルギー資源を保有している国には安く売り、資源のない国には高く売るのです。つまり、日本は足元を見られて法外な価格で原油を買わされている状態なのです。よって、原子力や再エネに政府の方針が向いたとしても、原油や天然ガスの需要がなくならない限りは化石資源の開発に関してもおざなりにするべきではありません。
実は日本にも油田は存在します。最近では茨城県沖合で発見されています。日本海側の韓国済州島との間の第七鉱区と呼ばれる油田は中東にも匹敵する埋蔵量です。韓国と日本は共同開発することで合意していますが2028年にはその合意の期限が切れます。その後は日本のEEZ域内であることから巨大油田の産油国に日本がなると言えます。
その他にも日本の管轄館域内にはメタンハイドレートというガスが大量に眠っています。その埋蔵量は日本のガスの消費量の100年分にあたります。メタンは、石油や石炭に比べ、燃焼時の二酸化炭素排出量がおよそ半分程度であり、環境対策に有効なエネルギーと考えられています。
現在、天然ガスの多くは、中東やオーストラリア、ロシアなどからの輸入に依存しています。しかし、戦乱などの事情により輸入が制限されることになっても、メタンハイドレートの開発を続けていれば、自前のエネルギーを持つ道が開けるはずです。
以上のようにつらつらと書き連ねて来ましたが、エネルギーの確保(エネルギー自給率の向上)に関して取り組むべきことは大きく2つに分かれます。
現実的な取り組みとして、停止中の原子力発電所の再稼働を早急に進めること。もう一つは将来を見据えての取り組みです。地熱発電への投資、核融合発電の実用化を進めること、メタンハイドレートの開発の促進、2028年以降の第七鉱区の油田開発の着工があげられます。現在と未来をバランスさせて進めることが望まれます。
余談ですが、電気料金の請求書に再エネ発電賦課金という項目があるのをご存じでしょうか。固定価格買取制度にかかる費用を補填するために設けられました。再エネ賦課金は毎月の電気量の一部として自動的に徴収されます。その徴収額の総額は年2兆円に上ります。再エネを振興し、国民全体で支援することで電気料金の安定が図られ、将来的に再エネや新電源の開発など様々な形でリターンが望める賦課金だと思います。
以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。
参考資料:第六次エネルギー基本計画案について
https://masahikosakamoto.amebaownd.com/posts/21770690
「政治課題の私的論考」(新政界往来社)P60~、坂本雅彦
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