北朝鮮と東アジア情勢について(参議院浜田聡議員のお手伝い)
参議院選挙のセンキョウが良くなってきた!いのさん、がんバレリーナ!
実に5年ぶりのことです。日米韓の3カ国による首脳会談が6月29日にスペインで開催されました。
米国のバイデン大統領は「韓米日の協力はわれわれの共通目標の達成に非常に重要だ」とし、「それには朝鮮半島の完全な非核化、自由で開放されたインド太平洋地域も含まれる」と話して3カ国の連携強化を呼びかけました。また、北朝鮮が核実験に踏み切る可能性に懸念を示しています。
韓国の尹大統領は「北の核・ミサイル脅威が高度化し、国際情勢の不安定さが増す中、韓米日協力の重要性が高まっている」とし、約5年ぶりの韓米日首脳会談は地域・国際問題の解決へ3カ国協力を強化する意思を示すものと指摘しました。「韓米日協力が世界の平和と安定への重要な中心軸として位置づけられることを期待する」と話しました。
日本の岸田総理は北朝鮮の新たな挑発の可能性に懸念を示し、3カ国の連携強化が不可欠だと指摘。北朝鮮の弾道ミサイル発射に対し3カ国の連携を強化する考えを示しました。
上記のような報道からアジアの安全保障を担う3カ国の首脳が北朝鮮に対して共通の懸念を有していることがわかります。
北朝鮮は今年に入り17回もミサイルを発射しています。その中には超音速型のミサイルや軌道が不規則なミサイルなど高性能型のミサイルも含まれています。果たして、日米韓の防衛体制はそれに対応することが出来るのでしょうか。大いに不安を感じます。なぜなら、3カ国でのミサイルの探査や追尾に関する演習はかれこれ6年間は行われていません。訓練なしに緊急時に即応することは困難であろうと思います。
日本と韓国の間には元徴用工の問題や慰安婦の問題があり、健全な関係ではありません。そして、それらの問題に関して日本は妥協なき厳格な姿勢で挑まなければなりません。そして、韓国も真に日本との友好関係を望むのであればそれらの問題を韓国の国内問題として解決をし、国際法に則らなければなりません。
とはいえ、日韓の関係に懸案があろうと両国にとって安全環境の構築は無視できない最重要課題です。お互いに共通する脅威に対する安全構築に関する取り組みは精選して協力すべき事項です。他の問題は一線を画して防衛体制を構築して欲しいものです。特に日韓間で機密情報を共有する軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を有効に活用し、情報交換の体制を整えることは、日米、米韓の同盟を円滑に機能させることにつながるはずです。
日米韓の軍事分野での連携強化について北朝鮮は「アジア版NATOの創設の為の危険な前奏だ」と非難しています。北朝鮮はNATOの活動範囲がアジアに拡大することに警戒して米国が力で北朝鮮を圧殺しようとしていると対立姿勢を強めています。
ロシアがウクライナに侵攻すると言う暴挙に出ているが、中国は欧米からの経済制裁を警戒して表立ったロシア支援を行なえていません。そんな中で北朝鮮だけは「ロシアと共に帝国主義者たちを叩き潰す」と気勢を上げています。北朝鮮は過去に10回以上国連安保理から経済制裁されていて今更経済制裁をされても痛くも痒くもない状況です。
北朝鮮は1950年の朝鮮戦争でロシアの軍事顧問団を受け入れると共に軍事兵器の提供を受けています。ロシアの支援が無ければ北朝鮮は朝鮮戦争に負けて北朝鮮という国は既に無くなっていたでしょう。プーチン大統領と金正恩総書記は互いに訪問を繰り返し、プーチン大統領は北朝鮮への借款の大半を免除するなど手厚い支援を行ってきた。また、大陸間弾道ミサイルの技術提供をロシアが北朝鮮に行っている可能性も高い。北朝鮮にとってロシアは大恩人なのです。ロシアと北朝鮮の共通の敵はアメリカであり、アメリカを筆頭とする西側諸国の覇権主義を徹底して非難しています。ロシアも北朝鮮同様に国連安保理の厳しい経済制裁の決議を受けています。今となっては、ロシアは国連の動向を気にせずに北朝鮮を支援できる立場となっています。ロシアは北朝鮮のレアメタルや沿岸部開発の労働力を北朝鮮から得ることが出来るし、北朝鮮は小麦や石油や天然ガスをロシアから得ることが出来ます。ロシアと北朝鮮はお互いに補完できる関係なのです。そこに両国と国境を接する中国が加わってくることになるのは間違いありません。中国とロシアは10隻の艦隊を組み津軽海峡から大隅海峡を通り日本の本州を一周する合同演習を行っています。
ロシアはウクライナに侵攻し戦況が芳しくないことから友好国からの求心力の低下は否めません。中国は西側諸国のロシアに対する経済制裁に加担することなく突っぱねています。習近平国家主席は格差解消を国家目標とする「共同富裕」実現へと歩一歩駒を進め、中華人民共和国建国100周年に当たる2049年に「社会主義現代化強国」を実現する「中国の夢」実現に自信を深めています。「中国の夢」とは、生産力が発展するにともない社会は資本主義から社会主義へ、さらに共産主義へと必然的に移行していくことで、それを説くマルクスの史的唯物論を実践しようとしています。私の予想では結果的に共産主義回帰はなく、開放路線を継続しつつ、友好国の取り込みを進めて世界的覇権主義を貫くように思います。そして、領土を接する北朝鮮はかつて中国が歩んだ鄧小平氏の改革開放路線へと歩を進め経済活動の一部開放から経済再建の糸口を掴むのではないかと思います。北朝鮮は市場経済の一部開放から制裁されていた中国とロシアとの国境貿易を、ウクライナ事態を機に活発化させて経済の立て直しを起動にのせようと目論むでしょう。北朝鮮の最終的な出口は経済成長を軌道に乗せて国民の一人当たりのGDPを現在の2000ドル程度から1万ドル程度まで引き上げて韓国との南北統一を諮るだろうと考えます。韓国のGDPは3万5千ドル程度ですが均衡するする必要はありません。時期とタイミングが大切です。北朝鮮としては韓国の中間層にイデオロギー的理解を得られる可能性を見いだせればそれで良いのであろうと思います。
そうなると日米韓の連携が大きく崩れます。しかし、同時に北朝鮮の脅威は取り除かれます。そもそも北朝鮮の核開発はロシアが韓国と国交を結んだことに端を発しています。それまでの北朝鮮はロシアの核の傘に守られていたからです。対峙する韓国ともロシアが国交を持つことは北朝鮮にとってロシアの核の傘が機能しなくなったと理解したのです。アメリカは独自に核を保有、中国も核を保有、ロシアも核を保有、日本はアメリカの核の傘に入り、韓国もアメリカの核の傘に入っている、北朝鮮だけが無防備に晒されていると考えた結果、核開発に走ったのです。ウクライナ事態によって中露が味方になったことから金正恩総書記は強気になっていることでしょう。もし、南北統一が現実的になってくれば北朝鮮の完全非核化も達成されるかもしれません。南北両国がロシアと国交を持ち、南北両国が核の傘に入ることが出来るからです。
さて、日本と北朝鮮にとって避けては通れない解決しないといけない大きな問題が残っています。北朝鮮による日本人拉致事件です。小泉政権下で5人の帰国が実現しました。その他の12名については死亡ないしは存在の確認が取れないという回答が北朝鮮によってなされています。北朝鮮は独裁体制ですので一度出した回答を覆すことは困難です。よって、日本政府が北朝鮮に突きつける「全員生存、帰還」という条件では解決の糸口が見いだせず膠着状態が続いています。このままでは時間ばかりが過ぎて行ってしまいます。日本政府は帰還交渉を拉致被害者ごとの個別の交渉に切り替えてはどうでしょうか。また、日本人専門家の現地調査にこだわるのではなく、第三国の専門家による現地調査を受け入れるように交渉してはどうでしょうか。金正恩総書記の母親の高英姫氏は大阪の鶴橋の出身だと言う。日朝外交交渉で母親の故郷の郷愁を引き出すことは出来ないものだろうか。場合によっては大きな人道的措置としての支援をぶら下げての交渉でも良いと思います。時間は待ってくれません。あまりにも膠着状態が長く続いてしまっています。
もしかして、こういう時こそ、NHK党の立花孝志党首が貢献できないだろうか。誰にも劣らない突破力と思った以上に厚い人情味で北の独裁者である金正恩氏の胸襟を開くことが出来るのではないだろうか。「荒馬の轡(くつわ)は前から」というが、それには正にふさわしい人物かもしれません。
以上、日本と北朝鮮を取り巻く政情は混沌としており流動的です。日本はアメリカとの同盟関係を深めつつも、自国の自衛力のみならず防衛力の強化を図り、地政学的リスクに備えなければなりません。世界の安全保障は我々日本人の認識以上に大きく脅かされている状況にあるのでしょう。
資料:読売新聞 5年ぶりに日米韓首脳会談
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