靖国神社に思うこと
バタバタしていてこの記事を書くまでに少し時間がってしまったが、靖国神社の例大祭が先日執り行われた。国会議員は約100名が参拝した。閣僚では新藤義孝経済再生相、高市早苗経済安全保障担当相、西村康稔経済産業相が参拝した。岸田首相が参拝せずに真榊を奉納するに留めたことは腑甲斐ないことである。かつて小泉首相や安倍首相が公式参拝した際には中国や韓国が強く抗議し、アメリカも大使館を通じて失望を表明していた。自国の死者を慰霊することを他国に避難される筋合いは一切ない。首相をはじめ閣僚は自身の思うままに参拝に参加して当然である。もっと言えば、天皇陛下にも参拝いただきたいと願う。靖国に眠る英霊は御国の為に戦地に赴きその貴い命を落とした。今上天皇が靖国を参拝されて先の戦争で亡くなられた英霊を供養されることで本当の意味での戦争が終結するのかもしれない。英霊を供養し鎮魂に導くことが出来るのは天皇陛下において他に居ないのではないだろうか。
靖国神社には約250万柱の英霊が祀られている。明治維新以来の日本人兵士全員が祀られているわけではない。そこに祀られているのは官軍の兵士のみである。靖国神社の前身である東京招魂社は1896年6月の第一回合祀で幕末以来の内戦の「官軍」、つまり新政府軍の戦死者3855人を祀った。以来、靖国神社となってからも今日まで内戦の死者としては官軍の戦死者のみを祀り、「賊軍」つまり旧幕府軍および反政府軍の死者は祀っていない。国内の戦死者ですら祀らないのであるから、日本が戦争で戦った相手国の戦死者は当然のように祀られていない。
靖国神社に祀られているのが、軍人および軍属のみというのも疑問が残る。ひめゆりの乙女たちは従軍看護婦つまり軍属であったため、祀られている。知覧の地より飛び立っていった神風特攻隊の若き桜たちも祀られている。日本軍の末端におられた方々が東條英機元首相らA級戦犯とされた重要人物たちと分け隔てなく平等に祀られているのは評価できるのだが、そこには民間人が一切入っていない。東京大空襲や沖縄戦の犠牲者も、広島や長崎の犠牲者も、いわばみな国のために死んでいったのに、民間人である限りは靖国神社にその魂を入れないのは納得できない。
官軍とか賊軍とか、軍人とか民間人とか、日本人とか外国人とか、戦争による死者にそのような区別や差別があってはならない。みんな同じ場所に祀ればよいと真剣に思う。
靖国問題がこれほど複雑化するのも、中国や韓国の干渉があるにせよ、遺族の方々が、戦争で亡くなった自分の愛する者が眠る場所が欲しいからであり、愛する者に会いに行く場所が必要だからである。その場所をどうするのか、慰霊と鎮魂の問題について真剣に懸命に取り組み最善の策を講じる使命を政治家は全うしなければならないはずだ。
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