受信料支払は義務ではないが来年春から時効が

NHKは受信設備を設置すれば放送受信契約と受信料の支払いが義務であるかのような表現をして支払いを促している。過去に国会において受信料を義務化するかどうかの是非は数回問われている。昭和41年には政府は強制徴収ではなく受信器設置によるNHKに対する私法上のであると説明した審議未了により廃案となっている。昭和55年にも放送法改正案が出された。受信機の設置ともに受信料の支払いを義務付ける案である。改正案には罰則金に関する規定も盛り込まれていた。この時には受信機の設置と同時に支払い義務が生じることが憲法第29条の財産権の保証に違反するのではないかという議論が出る中で衆議院が解散され審議未了にて廃案となった。その後、平成18年竹中平蔵総務大臣は受信料の引き下げと同時に罰則規定のない支払いの義務化を含む放送法改正案を提出する方針を明らかにした。平成19年に菅総務大臣に引き継がれたがNHKが受信料の引き下げに難色を示したために受信料の義務化のみ行うことは国民の理解を得られないとして放送法改正案に盛り込まれなかった。よって、受信機の設置により放送受信契約は義務付けされているが受信料の支払いに対して義務化されている事実はない。受信設備を設置の上で未契約であることは法律違反である。だが、放送受信契約を締結の上で受信料の未払いをする者は法律に違反するものではなくNHKとの契約における私法上の滞納者に過ぎない。「契約するかどうかは自由、契約しても支払わなくてよい」という認識は誤解。契約をした上で支払うか支払わないかは当人の決めること。勿論、支払わなければ訴訟されるリスクも伴う。リスクを取って支払わないとすれば商法上(商法522条)の商事債権とされ弁済期もしくは最後の弁済より5年を経過することで時効が適用される。また、NHKが債務の弁済を求める訴訟を提起した場合はその時点で消滅時効が中断されます。さて、商法522条の規定が来年2020年3月末で削除されることが決まっている。商事債権かどうかに関わらず債権者(NHK)が権利を行使できることを知った時から5年間、権利を行使することが出来る時から10年間で時効となる。施工は2020年4月1日よりである。商法第166条を起点に客観的起算点より10年、主観的起算点より5年というのが消滅時効と規律されることになろう。私の理解では消滅時効期間は「長期化」すると考えています。

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坂本まさひこ  作家 国会議員秘書

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