第二弾 放送法第64条と放送法施行規約と受信規約第12条について(参議院浜田聡議員のご意向により)
10月に入りました。ここ数日はずっと雨が降ったりやんだりしています。天気予報は毎日アメダス。毎日、雨でやっとレインですね。台風14号が近づいているようです。雨がひどくて帰れいん、にならないように気を付けましょう。
さて、先週にご報告した参議院浜田聡議員の放送法第64条と受信規約第12条についての調査室への調査依頼とその回答のご報告に引き続き、今週は浜田議員の御意向により、NHKから国民を守る党の立花党首の受信料延滞に関するYOUTUBEの動画(2020年9月2日)に関連して僭越ながら私の方で整理し考証させて頂きます。
まず、放送法第64条と放送施行規約第23条と放送受信規約第12条を下記に示します。
放送法第64条
協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であって、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。
2 協会は、あらかじめ、総務大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規定により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない。
3 協会は、第一項の契約の条項については、あらかじめ、総務大臣の認可を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
放送法第185条
次の各号のいずれかに該当する場合においては、その違反行為をした協会又は学園の役員を百万円以下の罰金に処する。
二 第十八条第二項、第二十条第八項(第六十五条第五項において準用する場合を含む。)、第二十条第九項若しくは第十八項、第二十二条、第六十四条第二項若しくは第三項、第七十一条第一項、第八十五条第一項、第八十六条第一項又は第八十九条第一項の規定により認可を受けるべき場合に認可を受けなかつたとき。
放送法施行規約
第二十三条 法第六十四条第三項の契約の条項には、少なくとも次に掲げる事項を定めるものとする。
一 受信契約の締結方法
二 受信契約の単位
三 受信料の徴収方法
四 受信契約者の表示に関すること。
五 受信契約の解約及び受信契約者の名義又は住所変更の手続
六 受信料の免除に関すること。
七 受信契約の締結を怠つた場合及び受信料の支払を延滞した場合における受信料の追徴方法
八 協会の免責事項及び責任事項
九 契約条項の周知方法
放送受信規約第12条
(放送受信契約者の義務違反)
第12条 放送受信契約者が次の各号の1に該当するときは、所定の放送受信料を支払うほか、その2倍に相当する額を割増金として支払わなければならない。
(1)放送受信料の支払いについて不正があったとき
(2)放送受信料の免除の事由が消滅したにもかかわらず、その届け出をしなかったとき
(支払いの延滞)
第12条の2 放送受信契約者が放送受信料の支払いを3期分以上延滞したときは、所定の放送受信料を支払うほか、1期あたり2.0%の割合で計算した延滞利息を支払わなくてはならない。
さて、上記において2020年9月2日のNHKから国民を守る党の立花孝志党首のYOUTUBEで公開されています「NHKと集金人を刑事告発する為に総務省と法務省にヒアリングします」という動画についてその整理と考察を試みたいと思います。
資料: https://youtu.be/mQBjCJBp0SE
まず、国民が受信契約を行っている相手先は日本放送協会(以下、NHK)です。ですが、国民は自由意志でNHKと受信契約を締結しているのではありません。上記にある放送法第64条に従い受信設備があるとNHKと受信契約をすることが義務付けられています。ただ、その契約内容に関してはNHKが勝手気ままに決められるものではありません。放送法であらかじめ総務大臣の認可が必要だとしています。そして、省令である放送法施行規則の第23条によって契約の内容として不可欠なものが定められています。それらを受けてNHKの放送受信契約(受信規約)の内容は作成され総務大臣に認可されています
その上で立花党首が疑問を呈しているのは利息の扱いです。
放送施行規約第23条7には「受信料の支払を延滞した場合における受信料の追徴方法」を受信規約、つまりNHKとの契約内容に明記する必要を規定しています。それを受けてNHKの受信規約第12条2には「所定の放送受信料を支払うほか、1期あたり2.0%の割合で計算した延滞利息」と明記しています。放送施行規約第23条7もNHK受信規約第12条2の双方において受信料を延滞した場合についての規定であることは明らかです。つまり、それぞれの規定は単なる受信料の徴収方法についてではなく、契約者が受信料の支払うことが遅れている場合に限定しています。何が言いたいのかと言いますと、施行規約第23条7で言う受信料とは殊更に延滞している受信料であり通常の受信料ではありません。そして、延滞している受信料の追徴の方法ですのでNHK受信規約第12条2には通常の受信料に年利2%の延滞利息を付加した金額を払わなければならないと規定しています。つまり、通常の受信料以上の部分は延滞利息であるから延滞に対する不利益な規定となります。
10月1日に公開した〝参議院浜田聡議員が放送法第64条とNHK受信規約第12条について調査室への依頼に対する回答″にて国会での議論を再確認して頂ければと思います。
昭和51年と昭和55年の国会の逓信委員会での議事です。双方とも議題は受信料の支払いの義務化、つまり、放送法において受信料の支払いを義務化することで受信規約第12条が罰則規定となりうることに関する国会での議論です。質疑では専ら受信規約第12条1の〝支払に不正があったときに本来の料金に2倍を請求できる″という項目に質問が集中しています。ですが、大枠の議論としては受信料の支払いを受信規約ではなく放送法で規定できないかというNHKの申し出に対する議論です。受信規約に定めているだけでは延滞者からの徴収を強制的には行えず、裁判をする必要があります。そこで、放送法を改定することで法的に徴収を執行することを可能とする目論見です。無論、現在に至るまでにそのような法改正は為されていません。当時の国会答弁においてNHKは過去において受信規約第12条を適用して通常の受信料の2倍の請求を行ったり、延滞利息を付加した実例は存在しないと回答しています。
今回、立花党首が問題視しているのは、契約上は延滞利息を規定しているにも関わらず、それを請求せずいるのは放送法第64条2で禁じられている受信料の免除にあたるのではないかということです。これには放送法第185条2に罰則規定も設けられています。
ここで争点になるのは本来払うべき延滞した受信料本体に関してNHKは免除していません。受信規約第12条2にある延滞利息の相当額を請求していないのです。立花党首は施行規則第23条7にある「受信料の支払を延滞した場合における受信料の追徴方法」の受信料は延滞した利息を含んだ料金が一括した受信料だと解釈しています。施行規則第23条に応じて規定されているのが受信規約第12条であることが明らかだからです。
延滞利息は算定根拠のある年利2%の受信料の延滞に対する延滞利息であり受信料本体ではないことは明らかで疑う余地はありません。しかし、省令においては受信料本体と延滞利息を分けることなく一言で〝受信料″と明記していることも確かで省令には延滞利息と受信料とは区別した表記はされていないのです。
下記資料:HIHIN(借入情報サイト)より.jpg
さらに立花党首は、受信料は一価ではなく長く前払いすることでその期間に応じて安くなることから、所定の受信料は存在しないと解釈しています。つまり、NHKの受信料は地上デジタル放送でも衛星放送でもそれぞれ一か月あたりの料金とは別に6か月一括払いと1年一括払いの料金設定がされています。この料金設定は一か月あたりの料金を基準として、早く払えば安くなる受信料設定です。ということは遅く払えば高くなる受信料設定が延滞利息を含む受信料だと言えるのではないかということを指摘しています。
上記により、立花党首は法的な優先順位として法令、省令、法令外とするならば、法令外で規定する延滞利息を省令では延滞した場合の受信料と呼んでいることからそれは受信規約の延滞した受信料プラス延滞利息は省令でいう延滞した受信料であるという解釈ができるはずだという主張です。もしそうであるならば、NHKは延滞利息を現状に請求していないのだから、放送法第64条2に違反して受信料を免除していることになり、ひいては放送法第185条の罰則規定にも関わることだといえると主張しているのです。
ただ、意見や解釈は立場によって様々です。受信料は前払い価格も含めて複数のケースがあらかじめ認可されている受信料価格です。そこには後払いの設定はありませんから、後払いの受信料はあらかじめ認可されていませんので、延滞利息が受信料であると規定することを正しいとしない解釈もありえるでしょう。
また、受信料の追徴方法と表現している施行規則の解釈の一例として、追徴する方法の手段として延滞利息が存在して、本来支払うべき受信料本体とは一線を画しているということもありえないでもないと思います。つまり、延滞による追徴なのですから、追徴に掛かる費用も必要になるし、通常よりも手間がかかることは明らかです。よって、追徴方法とは通常の支払い方法とは別途に規定する必要があるから施行規則で規定を指示し、受信規約の中でそれを具体的に延滞利息と呼び、その額の計算方法を明らかにしたとも考えられます。
受信料以外で考えますと旅客運送などもその運賃はあらかじめ認可が必要です。電車やバスでは一回の乗車料金と通勤や通学の定期などでの料金は明らかに違います。NHK受信料同様に6か月や1年の前払いの定期券は一回きりの乗車券を繰り返し購入するよりも安く設定されており、その設定を含めて国土交通省に運賃設定のあらかじめの認可を得ています。しかし、その認可されてる料金表には後払い、しかも、6か月や1年の後払い料金の設定はもちろんありません。切符を購入しないで乗車するとそれはキセル乗車と呼ばれる不正乗車となり軽犯罪法違反として処罰されます。
これらのことから、前払い料金を含めてNHK受信料が総務大臣の認可を受けていることは明らかですが、後払いに関して是認することもなければあらかじめ受信料の認可も受けていません。受信規約が法令外であることから刑事罰には問えないにしろ民事裁判においては延滞利息は純粋に延滞利息とされることと思います。
よって、延滞利息が受信料の一部であることが確定的で確信的な認識とは言い切れないものの、NHKから国民を守る党が放送法やその省令に対して改正や改善する意義を見出し、世間に問うことは党の使命に適う活動であるし、影響力のある立花党首が法解釈に一石を投じることは法の下の平等に沿った問題提起であると思います。
解釈の是非が如何にあろうとNHKに関する問題意識を啓蒙し周知する活動に代わることはありません。たとえ法案提出が無理であっても参議院浜田聡議員を先頭に放送法の解釈のみならず改正案に及ぶ議論に発展することは広く国民の利益に繋がることだと思います。
最後に罰則規定のない法律が単なる国民の努力目標であるに過ぎないかどうかは私は言及しませんが、強制力がないのですから任意であることと大差はないのかもれません。NHKの受信料契約がそれにあたります。放送法第64条は憲法第19条(思想及び良心の自由)や憲法第29条(財産権)において違憲だとする学者もいたほどです。国もNHKもそれらの議論を避けているのでしょう。
NHKが違法行為を行っているという疑義があることの以前の問題として、NHK受信料というものの本質的な意味を政治家のみならず国民と国家で考えないといけません。受信料は放送に対する対価なのでしょうか。それとも公共の福祉として必要とされる特殊な負担金なのでしょうか。放送に対する対価だとするならば見たい人だけが受信料を支払って見ればよいでしょう。本当にNHKが必要な存在であるのならばそれでもNHKは生き残って行けるはずだと思います。NHKの放送が公共の福祉であり、受信料は国民の負担金だというのであればテレビがあろうが無かろうが国民全員で負担するのが筋であろうと思います。
政治の現場において、NHKから国民を守る党は多くの国民と密接に繋がる役割を担っているのです。
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