お金の勉強を義務教育に盛り込む法案について(参議院浜田聡議員の法制局への相談に対する回答)
どーなる?ど、トランプとランプ。。。米国の大統領選、白熱してますね。アメリカは面積が日本の26倍、国内の時差が4つも存在するんだから選挙するのも大変ですね。
さて、参議院浜田聡議員が参議院法制局に相談されて回答を頂戴致しましたので僭越ながら私よりここにご紹介いたします。
下線部分は私にて加筆致しましたことをご了承下さい。
イラスト:雲仙市HPより加工
参議院浜田聡議員の相談内容
法制局に「『お金の勉強』を義務教育に盛り込む法案」について相談したところ、法制局からのメモが届きました。
参議院法制局からの回答
■『お金の勉強』を義務教育に盛り込む方策について
○ 義務教育において各学校が編成する教育課程については、その基準として、文部科学大臣が学校教育法等の規定に基づき各教科等の目標や大まかな内容を「告示」として定める「学習指導要領」がある。したがって、『お金の勉強』が義務教育に盛り込まれるかどうかは、学習指導要領の記載内容の問題であると考えられる。
下記資料:平成28年2月24日文科省総則・評価特別部会資料2より
つまり、学習指導要領の法的な性格は従わなければならないマストな事項です。
○ 学習指導要領において「金融経済教育」に関する記載は存在し、平成 29 年の改訂ではその学習の一層の充実が図られたとされている。
下記資料:令和元年6月18日参議院財金委矢野文部科学大臣官房審議官答弁
上記より、義務教育おける金融経済教育は家庭科において売買契約やクレジットや預貯金、保険、株式、債券、投資信託など金融商品や資産形成の指導をしている。思ったより指導する範囲が広いことから内容が薄くならないものかと少し危惧します。
下記資料:金融経済教育について2019年12月13日金融庁より
中学校では社会科では仕組みと働きを理解すること、家庭分野で金銭管理の必要性を理解することが新学習指導要領に記載されている。義務教育を離れるが高校になると公民科で持続可能な財政や租税の在り方、経済活動の活性化について構想することなど多面的・多角的な考察や構想をすることが必要とされています。また、家庭科においても高校では生涯を見通した経済の管理や改革の重要性についてライフステージごとの課題や社会保障制度などと関連付けて考察することが盛り込まれている。
その内容では不十分な点があると考えるのであれば、『お金の勉強』を充実させる観点から、学習指導要領を改訂するよう主張することが考えられるのではないか。
■「金融経済教育」の現状と『お金の勉強』に関する法律レベルの方策について
○ 「金融経済教育」に関しては、金融広報中央委員会(知るぽると)、政府、日本 銀行、地方公共団体、民間団体などが連携して、義務教育段階の者を含め幅広い者 に向けた様々な取組を行っているようである。
下記資料:平成28年11月17日参議院財金委浅田文部科学大臣官房審議官答弁
小学生や中学生にとって金融経済に関する座学は容易ではないと思いますので、上記のような施設を利用した体験型学習は有効で有意義なものになるのではないでしょうか。
下記資料:平成28年11月17日参議院財金委越智内閣府副大臣答弁
日銀などが教材の作成や提供は内容の齟齬を避け標準化できることから良いことだと思います。また、小中高校に1700回以上も金融庁や金融機関の方が行って授業をすることも臨場感が増して、且つ特別感が出て良いことだと思います。
また、平成24 年に「消費者教育の推進に関する法律」が制定され、消費者教育と「金融経済教育」で重なり合う部分については、同法に基づき様々な施策が講じられているようで
ある。
下記資料:平成25年6月28日消費者教育に関する法律との関係
先に紹介した令和1年第198回国会参議院財政金融委員会での矢野文部科学大臣官房審議官の答弁は上記の平成25年6月28日に閣議決定した消費者教育の推進に関する法律に係る基本的な方針の文章がほぼそのまま同じであることがわかります。よって、時系列から推考すると、消費者教育の一環として金融リテラシーの向上を目的に国民の経済的自立をし、金融商品の提供や金融資産の有効活用を通じて持続可能な社会の実現に貢献するというものです。その一環として教育現場においても金融に関する知識や判断力の向上を目指すことを取り入れたということだと思います。要するに体系的教育の推進に該当年齢時期が義務教育機関であり、消費者教育は幼児期から高齢者までに至るものだという位置付けだと理解します。
○ このような現状の「金融経済教育」に関する様々な取組を踏まえた上で、『お金の勉強』についての施策として不十分な点があると考えるのであれば、必要と考える施策を推進するための法案の検討も考えられる。※ 特定分野についての教育の推進を定めた法律としては、例えば「環境教育等による環境保全の取組の促進に関する法律」(平成 15 年制定)、「食育基本法」(平 成 17 年制定)、「消費者教育の推進に関する法律」(平成 24 年制定)などがある 。 ※ 検討に当たっては、規定すべき『お金の勉強』の具体的内容をお示しいただき、それを踏まえて理念や施策などを詰める必要があるほか、『お金の勉強』の 具体的内容と消費者教育との関係、「消費者教育の推進に関する法律」との関係 などについて整理する必要がある。
上記の金融教育が現在行われている中で改めて金融経済教育を法的に規定する必要があるかどうかはこの場においては浜田議員が判断されることです。そして、現在の金融経済教育の内容や体系的時期に関しての評価や是非についてもここでは浜田議員が判断することです。
さて、ここからは、法制局の回答には一切ありませんでしたが、この際ですので私の一存で少し調べたので、他国についての金融経済教育の状況を紹介したいと思います。
アメリカ・・・米国の金融教育はパーソナルファイナンスが中心です。株式や投資信託などのリスクを認識した上で自分なりの戦略を考えることを大切にしています。企業経営を想定したゲームなどを取り入れてリスクとゲインを学ぶ機会を設けています。
イギリス・・・特長的なのは「批判的な思考のできる消費者になる」ということで、3~5歳段階から「商品の選択と支払い」を学び「お金の使い道の選択」「ニーズとウォンツを考える」「人々の消費と貯蓄の選択の影響」「お金の価値」と進み、最終的に「他人やメディアの影響」「お金の価値にあった情報の活用」「費用・価格・利益の違い」にまで進んでいきます。イギリスでは教科としての金融教育は無いようです。
ドイツ・・・国家、NPOなどが中心に、高齢者から若者に直接伝えていく退職準備学校ほか教師と生徒のための銀行・経済の学校、貯蓄銀行学校サービスなどの制度があります。内容は投資と貯蓄と退職や保証とリスク、銀行口座とお金の基本、信用と負債などがあります。
参考:https://coeteco.jp/articles/10777
諸外国では個人の金融リテラシーの向上や金融に関する理解に対する教育に重点が置かれていると思います。方や日本では、金融の基礎知識を把握し金融の仕組みや働きを理解することに対する教育は必ずしも国民の個々人に向けたものに限らず、社会保障制度や経済の活性化などの為でもあり、国家への帰属を意識し、持続可能な制度への取り組みに寄与を期待することを目的としているように感じます。それは、社会規範として必要かつ求められていることではないでしょうか。個人の国家への貢献は制度の持続に適うことでもあるはずです。それは国が規定する教育にこそ盛り込まれるべき事項だと思います。
義務教育は国家が国民に課す義務であり、憲法第26条においては教育の義務がうたわれています。憲法には学問の自由も保障されていますが、同時に教育の義務も国民に課しているのです。その教育によって、ここでは金融経済教育によって社会保障制度や経済の活性化に関連付ける目的を持って行われることはむしろ正当であろうと思います。他国に比較して日本国らしい特徴だといえるのではないでしょうか。
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