NHK2021年度予算・事業・資金計画を検証(参議院浜田聡議員のお手伝い)

時が経つのは早いものです。「実録 NHKから国民を守る党 疾風迅雷編」という本が発売されましたが既に党名が変更になってました。でも、ゴルフ党ではなかったので辛うじて救われました。昨日は参議院会館に浜田聡議員のお手伝いに参りました。その際に下記の検証を行いましたのでご報告いたします。

昨年から続くコロナ禍は未だ終息を見ず首都圏を中心とする全国の大都市圏では緊急事態宣言が発せられています。多くの国民は我慢を強いられるのみならず、中には生活が困窮に追い込まれることも稀ではありません。企業や人々の経済活動は大きく様変わりをしています。人との接触による対話は減り、専らリモートでのコンタクトが推奨されるようになりました。

そのような最中に本年度もNHKの令和三年度収支予算、事業計画および資金計画が公表されました。NHKにおいても御多聞に漏れずコロナ禍の影響によって取り巻く環境が大きく変化しているようです。

下記資料:NHK作成

中でも受信料の受信料収入は2019年の7231億円から2020年は6974億円に減少すると見込まれ257億円の減収となる見込みです。現在もコロナ禍に置かれていることから2021年度の計画においても同様に約260億円の減少を見込んで6714億円の受信料収入を予算しています。

下記資料:NHK作成

受信料収入の減少と並行してNHKは契約収納費、つまり受信料の徴収費用の削減も行ってきました。契約収納費は主に4つに分けられています。1に地域スタッフと称する個人で契約取次や収納業務を行う者、2に法人委託による契約・収納業務、3に契約収納促進費として口座振替やクレジット等に係る経費や未契約者に対する文書や電話による対策費用、4にはシステムの減価償却費や収納活動に関わる職員の人件費、に分かれます。3および4の予算削減は現実的ではありません。徴収費用の削減の対象となるのは1と2であり、主に契約・収納に係る外部委託費です。1、2に関して2019年には446億円であったものを新型コロナ感染症の感染拡大の影響を受けた2020年は319億円にまで削減されています。実に127億円の削減となります。そして、2021年の計画ではさらに100億円の削減を見込み219億円の支出を予算しています。また、営業経費全体では2020年の779億円から2021年予算では698億円に、約80億円の縮減を見込んでいます。外部への委託費用を100億円縮減することにより業務モデルの転換による費用が凡そ18億円計上されています。

上記の外部委託に係る費用の縮減は現行の「戸別訪問による営業」から「訪問によらない営業」に業務モデルを転換することにより目論まれています。

下記資料:NHK作成

では具体的にどこをどのくらい削減する計画なのかということですが、なぜか地域スタッフは840人から857人にむしろ増えてしまっています。外部法人への委託については2種類に分かれます。小規模な地域の契約であるエリア型法人委託(320地区1488万世帯)に関しては2021年度中に終了予定とされています。それとは別に公募型企画競争等による法人委託という指定地域の契約収納業務を行う委託は192地区2326万世帯から117地区1439万世帯に対象を縮小する計画になっています。

このエリア型公人委託と公募型企画競争等による法人委託の明確な違いとは何なのでしょうか。そして、なぜ法人委託の一部は終了できないのでしょうか。併せて、地域スタッフを廃止するどころかむしろ増えるのはなぜなのでしょうか。

また、訪問によらない営業への業務モデルの転換とは具体的にどのような活動や仕組みを想定しているのでしょうか。以前、武田総務大臣が日本郵政との提携を例に挙げておられましたが、2021年度の事業計画の上で明らかにされている訪問による契約収納業務に代わる業務モデルを明確にしないことには根拠なき目論見による数値設定なのではないか思われてもしようがないと思います。

受信料収入と契約・収納業務に合わせて注視する必要があるのが受信契約数の増減です。

下記資料:NHK作成

上記の数値に関する根拠は予算計画にも説明資料にも見受けられませんが、受信契約数はコロナ禍の中、2020年には95万件、2021年もコロナ禍の終息を見ない中で34万件の減少が見込まれています。2021年が2020年と比較して契約の減少数が少なく見積もられているのはコロナ禍が収まってくるであろうという希望的観測を含んでいるのではなかろうか。未収数が2020年には37万件も増加しているのですが、2021年には9万件の増加に留まっていることについては聊か訝しく思います。2021年に関しては戸別訪問による営業活動から訪問活動によらない営業に転換するにあたり収納活動は少し弱まるような印象を受けますがNHKが作成した計画上ではそうでもないようです。何か秘策があるのでしょうか。

上記にて受信料収入、営業経費、契約件数についての計画と予算に注視して来ました。

下記:坂本作成

2019年は外部委託による戸別訪問を行っていましたので基準値として考えます。2020年は新型コロナ感染症の感染拡大により戸別訪問活動の多くは自粛されている状況での実績です。2021年もコロナ禍は未だに収まってはいない状況下で戸別訪問活動は未だほとんどされていませんし、戸別訪問活動によらない営業活動に転換を図る方針を明らかにした上での計画値です。2021年の予算は2020年の数値を基に準えて作成されていることが見て取れます。その上で契約件数は大幅に減少幅を縮小しています。これについての根拠が明らかにされていません。同じくコロナ禍で訪問営業活動がほとんど行えなかった2020年と比較してどのような取り組みの効果によって契約件数の減を半分以下の件数にできるのか、その目論見をご教示願いたいところです。


その他、疑問もしくは不明の点を下記に列挙しました。

資料はこちら https://www.nhk.or.jp/info/pr/yosan/ (下段にリンクあり)

令和3年度収支予算、事業計画および資金契約について

P24

建設管理とは具体的に何を指すのか。また、その40億円の内訳は?

P28

番組の制作費用とは別に計上されている編成企画費243億円とは?

仮に視聴データ集計・分析に要する費用だとするとあまりに莫大ではないか?(P21)

P32

契約収納に係る費用予算559億円の内訳とは?

訪問によらない営業への業務モデルの転換とは?

P36

地上および衛星の未契約件数の数的根拠は?未契約者であることの判定方法は?

P43

有価証券購入の出金600億円の内容は?購入の意図は?

収支予算と事業計画の説明資料(令和3年度)

P6

コロナの影響による減収の要因を具体的に

P7

契約数の減少幅が小さくなる(58万件→25万件)とした根拠は?

P16

オリパラ関係予算218億円のうち前年より延期になり繰り越した予算と内訳は?

P29

公募型企画競争等による法人委託とエリア型法人委託の違いは?

戸別訪問によらない営業への業務モデルの展開を目指すとしながらも地域スタッフの数が増える計画とする狙いと目的は?

P32

構造改革を進め経費削減に努めるとする事業計画において固定費としては最も経費負担の多い人件費について削減方針は見当たらず要員数は前年横這いであることはいかに?年度計画が赤字案であるにも関わらず人件費は実質そのまま(0.9%マイナス)であることは疑問に思う。

また、非常勤の経営委員、会長・副会長の報酬についても削減を図るべき

P40

保有施設の削減とは具体的に何を指しているのか?

営業経費の削減と共に新たな制度の導入を国に求めていくとは具体的に何を指しているのか?子会社をはじめとした規模縮小、団体の削減とは具体的にどの会社や団体を指しているのか?

さて、参考に下記にNHKの競合他社の売上の状況を示します。

フジテレビの放送事業売上は2917億円、日本テレビの放送事業売上は3825億円、TBSの放送事業売上は2200億円、テレビ朝日の放送事業売上は2407億円です。

放送事業単体で民放各社とNHKとを比較するとダブルスコアの圧倒的な売上をNHKは誇っています。

新聞社の売上の規模と比較してもNHKは圧倒的に高収入です。このことからもNHKはメディア界のガリバー企業であることは間違いのないことだと思います。

下記に各国の国営若しくは公共放送の比較を示します。

資料:総務省作成

各国の受信料収入ですが、ドイツが10325億円、英国BBCが5294億円、仏国FTVが4153億円、韓国KBSが650億円、フィンランドYLEが595億円です。日本はドイツに次いで受信料収入は多いと言えます。ただし、人口比で考えると著しく高いわけではありません。英国においては政府が受信料制度の改革に前向きに取り組む意向を示しています。

その他、比較対象(令和2年度の予算)として、外務省が7102億円、警察庁が3614億円、海上保安庁が2253億円です。

予算や計画の妥当性もさながら社会の公器としてのNHKの存在と規模(予算、事業体)は果たして正しいのでしょうか。存在意義と予算のバランスを再検討することも必要なのではと思います。

何はともあれ、NHKの外部委託による戸別訪問活動については無くす方向に舵を切ったことは大きな業務改革です。

NHKから自国民を守る党は平等で妥当な受信料制度に改める為の放送法の改正を目指す活動と並行して、NHKの戸別訪問活動による国民との摩擦を解消する為の活動を行って参りました。

NHKの戸別訪問活動がなくなることはNHKから自国民を守る党にとっても意義ある前進であると言えると思います。その行方と行く末を見定めて行きたいと思います。


以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。

0コメント

  • 1000 / 1000