NHKと受信料の在り方についての検討委員会を考究(参議院浜田聡議員サポート)

今週は暑くなったり寒くなったりの往復ビンタの日々ですね。司法の場や選挙戦略など、NHK党の立花孝志党首も精力的に活動を頑張っておられますね。大橋副党首も同様です。

「ひとりでやれば犯罪、みんなでやれば革命だ」

どっかの活動家か政治家の名言かと思ったらプロレスラーの蝶野正洋氏の言葉でした。さて、昨日は水曜ですいよう。参議院会館に浜田聡議員のお手伝いに伺い「公共放送と受信料制度の在り方についての検討委員会のまとめ」について考究しました。


公共放送と受信料制度の在り方に関するとりまとめについて考えます。

昨年10月に公共放送の在り方に関する検討分科会が開かれました。その際にNHKが提案した要望は大きくわけて3項目です。

(1)受信設備の設置届義務と未契約者の居住情報の照会

(2)中間持株会社の設置

(3)受信料還元に関する科目の設置

です。(1)に関しては受信契約の為の営業活動に関してです。NHK前田会長は訪問による営業活動を「営業が頑張りすぎるとトラブルが増える」「成功確率が非常に低い」と発言していることから抜本的な見直しを表明していました。

下記資料:NHK作成、第10回公共放送の在り方に関する検討分科会資料より

点検という作業は世帯の居住情報を指しますが、なんと総世帯数の6倍もの件数の点検の実施をしていることがわかります。契約世帯数4151万世帯の他に1372万世帯が未契約世帯となっています。1372万世帯の動向と営業活動の準備に対して3.1億件以上の居住の点検を実施しているのですから気の遠くなるような非効率な作業です。しかし、点検対象となる1372万件の情報をNHKが得るようになると社会主義的な全体主義的な印象も受けます。もしそのようにするならば受信料の支払いの全世帯義務化をするか、NHKを国営放送にした方が良いのかもしれないと思えてきます。国営放送にした場合は、NHK職員の給与水準は国家公務員の給与水準に改められ大幅に減額されるものと思われます。NHKの平均年収は約1100万円(各種手当、福利厚生を除く)ほどですが、国家公務員の平均年収は約640万円です。NHK職員は特殊法人という立場に守られた大きな既得権益なのです。

点検の後は訪問と面談を行うのですが1.3億回の訪問に対して面談が出来るのは1940万回に過ぎません。その際に受信設備の有無や受信料制度の説明・説得を行うのですが、この際に行われる行為や応接や折衝の内容が社会問題になっているのです。その結果、219万件の契約に至る為に305億円もの費用を要しているのです。訪問営業は社会からの評判も悪く、作業効率も費用効率も悪いことから抜本的な見直しは確かに必要不可欠だと思います。繰り返し申しますが、だからと言って国民の個人情報をNHKが照会できるようにすることには全体主義的発想のように思えて現段階では賛成しかねます。

下記資料:NHK作成、第10回公共放送の在り方に関する検討分科会資料より

そこでNHKから提案されている訪問活動に代わる営業方法ですが、受信設備をした際の届け出を義務付けるというものです。設置届出義務は設置推定を是として兼ねるということです。それによって、3.1億件の点検作業や1.3億回の訪問活動が必要なくなります。設置届出が義務化された場合は、届出のない世帯にはポスティングによって届出を促し、それでも届出の無い場合は宛名の明記されたDMの送付により再度届出を促すということです。その後に届出のない世帯には受信設備の設置を推定して訴訟が可能なる、という営業方法です。ここで気になるのはポスティングとダイレクトメールでの契約率です。ポスティングやダイレクトメールは現行でも行っていると思います。上記のNHKの作成した資料には原稿でポスティングでの契約化率は2%となっており、不動産登記を利用したダイレクトメールでの契約化率は7%となっています。現行の訪問活動では1.3億回の訪問で契約世帯が219万件なので1.6%の契約化率となります。本当に戸別訪問による営業活動は有効だったのでしょうか。訪問による営業活動より無記名のポスティングの方が契約に至る確率が高いということがありえるのでしょうか。それが事実であるならば今までの訪問活動は非効率であり、高コストでありますから、それを続けてきたことは経営上の大きな失策ではないでしょうか。それを容認してきたのが歴代のボードメンバーの余りにも疎かで粗放な判断であったと思います。

下記資料:NHK作成、第10回公共放送の在り方に関する検討分科会資料より

上記はより細かい訪問によらない営業活動のシュミレーションですが、完全に訪問活動を無くすのではなく、繰り返しポスティングやDMによって届出を促しても対応のない世帯に限って限定的に訪問も併用し、それでも応答のない世帯には通知を複数回行った後に訴訟に至るというフローになることをNHKかイメージしているようです。このシュミレーションにおいて現状1372万件ある未契約世帯に対して無記名のポスティングを複数回行うことで初年度は900万件、2年目以降は200万件にまで未契約を解消できるように設定しています。ポスティングを相当に効果的な手段だとNHKは認識しているのでしょう。私にはポスティングによってそのような大きな効果が出る根拠がわかりません。もし、強大な効果を発揮するとすれば、未契約世帯の多くが怖がるくらいの件数を裁判に訴えるなどの強硬手段に出ない限り無理のような気がします。いずれにせよ、国民を制度で強く縛るような権限や行為を強化することは憲法から鑑みて相応しくないことだと思いますし、社会主義的な印象を受けて賛同しがたいと思います。

さて、下記において2021年1月18日に公表されました公共放送の在り方に関する検討分科会「公共放送と受信料制度の在り方に関するとりまとめ」について見て参ります。

資料:総務省、公共放送の在り方に関する検討分科会「公共放送と受信料制度の在り方に関するとりまとめ」及び意見募集の結果の公表

https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu07_02000198.html

【剰余金について】

内部留保が3777億円、現預金と有価証券が4412億円、これらの中からNHKは還元目的の「積立金」という勘定科目を設けると言いますが、そもそも、これだけの剰余金が生まれるような予算計画に問題があると考えます。09年から10年間で2299億円も増加しており、その状況を現在まで据え置いてきた、看過してきたこと自体が問題です。

NHKは総括原価方式によって予算額を算出し、国会で承認に得ていることを殊の外、強調して正当性を主張しますが、そもそもの総括原価方式自体を見直すべきではないでしょうか。総括原価方式は料金の算定の根拠はわかりやすいのですが、過剰な設備投資を行なったりして経営の効率化にはつながらないと思います。総括原価方式は昨今のコロナ禍での経済状況に適応した柔軟な料金設定を行うことへの障壁となってしまっているのではないでしょうか。

また、総括原価方式は原価を基準に費用を上乗せする方式なので市場や経済環境とのプライスギャップが生まれやすいです。ドイツを除く各国の公共放送と比較してNHKの受信料は相当に高額です。映像配信サービスと比較してもNHKの衛星料金は2170円と高額です。AMAZONプライムは月500円、ABEMAプレミアムは月960円、Netflixは月990円、dTVは月550円です。公共放送の維持運営のための特殊な負担金としては高すぎるのではないかと思います。

また、剰余金は「積立金」勘定に置かれて受信料の値下げなどの還元目的に使われることになると積立金勘定に蓄積されないように剰余金が生まれると使い切ってしまおうとする思考が働く可能性もあります。そうならないようにするチェック機能が必要だと思います。

下記:電気事業連合会作成

近年では総括原価方式に変わりレベニューキャップ制度を取り入れるケースもみられるようになりました。電気事業者やガス事業者がそうです。将来にわたって設備的にも技術的にも必要な投資は行わないといけませんが、それによる国民の負担は最小限に抑制されるべきです。レベニューキャップ制度では事業者が一定期間ごとの収入の上限について承認を受けて、その範囲で柔軟に料金の設定をできるという制度です。この制度によって事業者は費用を最大限に抑えて、必要な投資を確実に実施する仕組みとなるように設計することが重要です。蓄電技術が整わない電力供給事業者においてもレベニューキャップ制度は導入されているのですからNHKの事業計画と予算の算定に関しても導入することは可能だと考えます。NHKの外生的な要因は少なく、人件費、製作費、保守費、研究費、厚生費など安定的に算出できることから収入の上限を設定することから事業計画を組むことも可能だと考えます。

繰り越し剰余金より建設積立金を捻出しているということで現在の積立金は約1700億円に上るということです。NHKが予算する渋谷放送センターの建て替えに必要と予算するのは約3400億円です。土地は含まず建物と設備だけです。これはあまりに法外な予算ではないでしょうか。新国立競技場の建設費用は1569億円です。以前に約2520億円かかると言われ世間の強い批判を受けた経緯があり予算を圧縮した結果です。東京都庁でも1600億円です。六本木ヒルズでも2700億円です。NHKの放送センターの建て替え費用が巨額であることがわかって頂けると思います。この費用も結局は受信料で賄われるのです。私には妥当な金額とは思えません。NHKは3600億円の建て替え費用の内訳を詳細に開示して説明する必要があると思います。そして、願わくば費用の圧縮を図るべきだと思います。剰余金が減少する要因に建て替え費用がなる可能性があるのであれば今一度見直しをするべきだと思います。剰余金を原資とする視聴者の負担軽減が422億円程度、つまり、収入の6%程度だとすれば政治的な目論見とのギャップは大きく期待に応えない検討結果に違いありません。

【中間持株会社】

子会社が抱える内部留保の約100億円に関しても還元の原資としても良いのではと思います。また、その場合、NHKが要望する中間持株会社を設立して、傘下子会社からの配当を得て、それをNHKに配当するという二度手間は必要のないことだと思います。NHKが傘下の子会社や関連会社の運営の基準を適切にチェックできるのであれば中間持株会社は必要のないことだと思います。

NHKは営利企業ではないと理解しています。中間持株会社を設立して傘下子会社の株式を保有し、各社への経営に対するガバナンスを図ることは、営利目的である傘下の株式会社の経営指針への影響力と費用抑制と利益の最大化を図ることでもたらされる高配当を求めることに相違ないはずです。よって、中間持株会社を設立して子会社からの配当の最大化を図るという目論見はNHKが営利を追求する行為とも受け取れます。

中間持株会社をつくるくらいなら、国際放送を除いた傘下の株式会社は一層のことNHK本体に吸収合併し、NHK本体の収支に組み込めば良いのではないかと思います。NHKが子会社や関連会社を多く作った昭和から平成への時代の変わり目には、巨大化するNHKに対する世間の批判を逸らすために外部に子会社を設けて耳目を分散したという経緯もあったのだろうと思います。子会社を無くすことで営利事業を事実上行っているのでは、とか、放送から派生する既得権益を子会社で確保しているのでは、とか、褒章ポストを確保したいのでは、とか言う揶揄も無くせるのではないでしょうか。NHKが効かせるガバナンスには限界があるから中間持株会社を作ってチェック機能を強化するという主張は詭弁に過ぎません。設立された中間持株会社もNHKの子会社であることに変わりはないのですから。

NHKはとりまとめの中で中間持株会社の設立の効果について、

1.経営管理部門の人員の共通化、人員の3割カット、業務の総合管理

2.100%子会社化を図り人材の適切な配置

3.事業計画の評価

4.透明性

5.配当を視聴者への還元の原資とする

の上記5項をあげている。上記、5項とも中間持株会社を作らなくてもNHK本体に吸収合併し、NHK本体の1部門とすることで解決し、達成できることではないでしょうか。そもそも、特殊法人であるNHKが子会社や関連会社に多くの株式会社を擁すること自体が不審に思うことであるし、出来るだけ避けるべき行為であると思います。それは先にも申しましたがNHKに公共性を持たせた特殊法人であることから営利を目的としない存在であるべきだからです。少なくとも視聴者はNHKが事業を切り離して株式会社を設立し、高収益をあげて、その配当を高望みした上で回収し、NHKに配当することで視聴者への還元に回すなんてことを望んでいるのでしょうか。視聴者の望んでいるのは無駄のない効率的で無駄のない公共放送事業の運営なのではないでしょうか。NHKは各子会社や関連会社について100%子会社化することが望ましいとしていますが、逆に、それらの子会社が行っている事業をNHK本体で出来ない理由を説明して頂きたいと思います。NHK本体の事業については毎年、予算や計画の認可を得ていることから透明性は子会社よりも高く、役員等のボードメンバーも必要無くなります。NHKは子会社のガバナンスを強化するのではなく、NHK本体のガバナンスを高め、関係省庁や国会のチェックに応えなければならないのです。

【受信設備の届出】

NHKは自身に有利なはずの受信料の全世帯支払の義務化案になぜか反対する立場である以上、国民や視聴者に新たな義務や負担を課すような主張をするべきではありません。受信料の未払いや未契約の問題を解決するには先ずはNHK自体の改革を行うことが必須であろうと思います。不適切な訪問営業活動の是正のみならず、業務・受信料・ガバナンスの三位一体の改革を進め、国民・視聴者の信頼と納得感を向上させると共に、受益者が共同して費用を負担するスクランブル放送などを採用することで平等な受信料制度が確立されることで直面している課題の解決に繋がるのだと考えます。

また、NHKの受信機器の設置届出義務と居住者情報照会制度が認められることで他の民間放送社の事業を阻害しかねないと思います。NHKのアプローチによりテレビの購入が控えられて、益々のテレビ離れが進むようなことになれば、受信機の製造メーカーにも大きなダメージを与え、民間放送事業者の広告収入も大幅に落ち込む可能性があります。テレビを持たない世帯は年々増えていて今では20.7%に上ります。NHKが国民の理解を得られないことを推し進めると更なるテレビ離れに繋がるかもしれません。税金でも視聴料でもない「特殊な負担金」である受信料に関して強制力を法令で担保することはそぐわないことであり、国民の理解も得られないことだと思います。

公平負担に繋がる方策としては、全世帯支払義務化、スクランブル放送の導入(受益者負担)、国営放送化(税金)、半民営化(嗜好性の高い番組に対するCMの導入)、分割民営化などが代表的なものとして挙げられますが、それらに先駆けて取り組まなければならないことはNHKの自助努力による信頼を信用の回復と公共性の明確化にあると思います。現段階において未契約者に未設置届を義務化するようなことをNHKが求めるべきではないと思います。

併せて、未契約者の氏名等の照会に掛かる費用としてNHKは相当の対価を支払うことは当然のことだという認識なのですが、そうでしょうか。それは、スクランブル放送の導入など他の受信料制度の検討を避けるために現状の受信料制度の堅持に固執した方針だと思います。テレビを持たない者を増えれば増えるほどNHKの個人情報の照会費用は膨らんでいくという矛盾に陥ることが考えられます。

また、受信設備の設置の届出を怠った者に対する担保措置としての民事上の割増金についてですがワンセグやチューナー付きカーナビなどはテレビ視聴を主目的としていない機器ですので所有を理由として割増金を課すことは道理に適わないのではないでしょうか。受信機器を一律としての受信機器として一様に割増金の対象とするのではなく例外があることも然りだと思います。

受信設備の設置と共にNHKとの受信契約を強いる放送法第64条が憲法に反しない根拠としてNHKは憲法第21条を引き合いに出しますが、検閲の禁止とあわせて表現の自由を保障することから放送法の目的の範囲で立法裁量が認められているという強弁を持ち出すことに違和感を持ちます。憲法第21条で保障される自由の中にはアクセス権も存在し、情報の受け取り手が情報を取捨選択したり、反論したりすることの自由を保障する権利も含まれます。

とにかく、NHKが日本国の有料放送とネット配信事業の普及と発展を阻害するような存在にならないように厚意しつつ営業活動のみならず特殊法人としての在り方を抜本的に見直す検討も進めなければならない時期に差し掛かっていると思います。

以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。

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