関税に関する改正法案について(参議院浜田聡議員のサポート)

昨日は3月3日でした。ひな祭りですね。「灯りをつけましょ、ボンジョビにぃ~」ですね。「うれひ~な祭り」は私には全く何もなく滞りなく過ぎ去りました。

さて、参議院浜田聡議員のお手伝いに参りました。関税定率法等の一部を改正する法律案について少し考証してみました。

画像:日本史辞典ドットコムより

関税には一度決めたら基本的に変更のない基本税率と法律により一定期間だけ設定する暫定税率があります。暫定税率は恒久法ではないので期限が来るたびに延長するかを審議します。ちなみに、基本税率より暫定税率は優先されます。また、暫定税率より特恵関税やEPA(経済連携協定)が優先されます。

下記資料;財務省、関税定率法等の一部を改正する法律案について

416 品目に係る暫定税率について、国内の生産者及び消費者等に及ぼす影響、国際交渉との関係、産業政策上の必要性等を考慮して1年間を延長することとしています。米、麦、バターも平成6年のウルグアイラウンド合意に基づいて関税化されており、代替措置として当該農産品の輸入数量が一定の水準を超えた場合又は課税価格が一定の水準を下回った場合に関税率の引上げを行うものであり、輸入急増時に国内生産者を支援する弁としての役割があります。加糖製品に関しては近年輸入が急増しています。国内と海外の原材糖の価格は2倍から6倍まで大きな価格差があり海外は安価です。そこで、糖価調整制度を設け、外国産原料糖の輸入者から調整金を徴収することで財源を確保して国内の生産者及び製糖事業者を支援しています。TPP11の締結後には国内産加糖製品の競争力の強化の為に調整金の拡大を行いことができるようになりました。それによって、加糖製品の関税率を現在の19%から29%であるところをそれぞれ2%から4%程度を引き下げています。

下記資料;財務省、関税定率法等の一部を改正する法律案について

従来はナイロンやレーヨンが主流であった分野において1970年以降はポリエステルが生産量においてトップとなりました。1995年以降はペットボトルに代表されるPETというテレフタル酸とエチレングリコールから成るPETポリマーが主流となりました。フィルムや包装材などに大量に使用されるPETですが、近年、そのPETに代わるPENという素材が注目されるようになっています。私は科学に関して明るくないので詳細は触れられないのですが、PENはPETの生産設備を継承しつつ、PENの方がフィルムにおいても剛性が高く、ボトルに関してもPENの方がPETより約3倍のガスバリヤー性があり炭酸飲料用のボトルとして有望視されています。このようなことからPENの原材料となるナフタレンジカルボン酸の基本税率無税化は国内化学メーカーや樹脂系メーカーの生産と競争力の確保と成長には不可欠であり大きな支援ともなり得るのだと思います。

ポリ塩化手袋について昨今の医療現場でのニーズの急増に対する輸入促進を図る措置であろうと思います。

下記資料;財務省、関税定率法等の一部を改正する法律案について

特恵の対象となる発展途上国は133国に上ります。(https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1504_jr.htm)

それに加えてTPP11やEPA全般(21か国)、日米FTA、欧州EPA(欧州を中心に27か国)と協定を結んでいることを考えて見ますと経済を世界規模に捉えて需給を考えるようになっていることは間違いありません。貿易の促進や世界経済の拡大を考えますと人や物に関する国境は限りなく撤廃されつつあるように感じます。そのような世界のビジネス環境の中で農産物や鉱物に関しては各国が国内制度で自国産業を保護しているという状況にあります。特恵関税の延長は途上国の経済活動を促進するというよりも妨げないという方がしっくりくるような気がします。

以上は関税率法等の一部を改正する法律案についてでした。

ここからは関税に関して個人的に少し考証してみようと思います。私は自身の事業においてアメリカやイタリアなど数か国に子会社をおいていました。それはモノを生産する現場として投資した国(海外法人)とモノを販売するために投資した国を分けて考えていたからです。より安価な原材料と労働力を確保できる生産地を確保することと、より貨幣価値が高く消費余剰のある経済力豊かな市場で販売し、そのギャップを利用して利益をより多く確保する為です。このような事業活動を制限したり、各国間の経済的なギャップを補正したりする手段が関税であると思います。消費者ニーズは安さのみではありません。品質も大きな要素となります。よって、経済活動が国内での競争が世界的な競争になろうと経済格差によって淘汰はあっても殲滅されることはないものと思います。関税が各国間で軽減する協議が進むことは世界的な経済の拡張によるビジネス機会の増大を狙ったことであり、自国の産業を保護主義によって守ること以上に国益が大きいと目されているからだと考えます。

私は中国の工場で婚礼衣装を製造して日本に輸入していたのですが気になったことがあります。それは消費税(付加価値税)です。中国の工場で製造した商品の価格に日本までの輸送費を加えた額に対して衣料品なので16.2%の関税がかかっていました。さらに、関税が加えられた総額に対して消費税がさらに課税されるのです。これは二重課税になるのではないでしょうか。同じ物品に対して2度の課税をしていることになっているように思えます。

また、関税には簡易関税率と実行関税率があり、20万円以下の少額の貿易の場合は簡易関税率を利用できます。その場合、商品価格が1万円以下の場合は消費税が免除されます。また、商品代金に送料を加えた額の60%(個人輸入の場合)に関税がかかり、関税を加えた額(課税額)に消費税が課税されるのですが、課税額が16,666円以下の場合は非課税となります。商業目的の輸入の場合は商品代金プラス送料を加えた額を60%に減額されません。いずれにせよ、商品価格が1万円以下の場合、課税額が16,666円以下の場合は非課税となるということです。

上記、商品代金に関税を付加した後の価格に対する消費税の課税についてですが、つまり、海外で商品を買った(仕入れた)時点では消費税は不課税ですが、日本にて保税地域から荷物を引き取った時点で消費税が課税されるということです。

そうであっても二重課税のような気がしてならないです。

さらに、TPP11や特恵やEPA、FTAにて関税の障壁を軽減し、経済活動を世界的に拡大していったとしても各国の消費税もしくは付加価値税がそれぞれの国で課税されるのでしたら各国の税率によっては競争力は阻害されてしまうことになるのではないかと思います。

消費税の国内課税とは別に財政収入として得た関税を利用して国内産業保護と共に輸入品に係る消費税について特定物を選定の上で軽減したり免除したりすることで国益に繋げることはできないものかと案じます。

また、潮流に逆行するかのような米中の貿易摩擦問題が起きていたり、英国がEUから脱退するような事態にもなっています。英EU間ではFTA(自由貿易協定)を結び関税の課せられない貿易が維持されることとなりました。これも、英国の経済環境や労働環境に良くないと思われる場合は関税を課税することも出来ます。EUと英国の漁業権交渉も混迷していましたがEUが25%削減されるということで一旦は落ち着きました。英国としては不満の残る結果であり今後に課題が残された状況だと思われます。

米国と中国の貿易摩擦は更に心配な状況が続いていました。アメリカの自国第一主義に対して習近平政権は経済のグローバリゼーションや多国間主義、保護貿易主義への反対などを提唱しました。それはつまり、中国が世界経済の発展を牽引すべく役割を果たしていくというメッセージを発していたのでしょう。アメリカはトランプ氏からバイデン氏に交代したものの「バイ、アメリカ(アメリカの物を買え)」というメッセージを出しており保守的な経済政策を継承していくように思われています。

アメリカは中国の公平な競争や市場の秩序を歪めるような行為には強硬的に対処していくことが予想されます。バイデン政権は経済、貿易を含めた、中国側の行動を厳しくチェックしていこうとしているようです。よって、それなりの摩擦や衝突は生じることも考えられます。

以上、グローバル経済は拡大を続けており、日本においても関税としての障壁は低くなりつつも、一部の国内産業の保護は関税を原資として行っています。国際情勢においては経済のみならず治安を含めて米中の駆け引きも盛んになっています。日本においての采配も難しい局面ではありますが、国益と国際社会への貢献をうまくバランスさせて欲しいと願っております。

とりとめがなく申し訳ありませんが最後までご拝読を賜りありがとうございました。

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