経団連のことと輸出免税還付金制度について(参議院浜田聡議員のサポート)
陽気なのは良ーきですね。もう春になってハルです。おこしやす、春。
さて、昨日は参議院浜田聡議員のお手伝いで下記の件についてレポートしましたのでここにご報告します。
政府と日本経済団体連合会について一考してみます。まずは経団連について少し調べてみました。
経済界には中小企業からなる日本商工会議所、経営者個人が参加する経済同友会があります。日本経済団体連合会は純資産10億円以上の大企業が会員となっています。これらを経済三団体と呼んでいます。
設立は最近のことのようで2002年です。日本経済の復興と再生を目的とした経済団体連合会と労働問題を扱う経営者団体である日本経営者団体連盟が統合することで発足しています。労使紛争が下火になってきていたことで統合して日本経団連となったようです。
経済界における国内外の重要課題について会員企業の意見をまとめ政策の提言や国際化の推進を行っています。例えば、貿易の自由化や税制について政策提言を行っています。政府への提言を行うとともに各国の政府や経済団体とも対話を行っています。
大企業の多くが加盟する経団連の提言は政府への影響力が大きいと言えますが、各企業は経団連の定める企業行動憲章を守らないといけないという義務も発生します。それは、サプライチェーンにも範囲が及びます。
(企業行動憲章)https://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/charter.html
経団連の会長は中西宏明氏で日立製作所出身です。経団連の会長は日本経済界の中心となる企業から選ばれています。国内外の政界関係者との関り深いことで財界の総理とも呼ばれています。
これまでの経団連の政策を整理しますと大きく3本の柱がありました。ひとつは財政政策、もうひとつは通商政策、最後にエネルギー政策です。
資料:財務省、法人課税に関する基本的な資料
経団連は法人税をアジア近隣諸国並みへの引き下げを主張しており、政府はその要望に沿って段階的に引き下げを行い現在では主張通りの23.2%の税率となっています。企業の経済活動のグローバル化に伴う競争力の向上に向ける提言でありますが、OECD諸国の法人税の平均値が25%であることから優位性を確立することが出来ているということです。
半面、国民に負担となる消費税の引き上げには賛成の立場をとっています。つまり、財政健全化に対する負担は法人ではなく国民全員で行いましょうという主張です。
通商政策についてはWTOに続いてEPA・FTAでの協定締結の推進を求めて来ました。つまり、経団連は自由貿易を推進する主張をしているのですが、自国の農業を保護する立場にあるJAとは犬猿の仲と言われています。
エネルギー政策については原発の推進を主張しています。経団連の中には東京電力や関西電力など主要会員に原発関連企業もあることが背景になっていると思います。2030年代に原発ゼロにするという民主党時代の政権の意向に強く反対していました。現在、36基中、9基の原発が再稼働していますが、経団連は安全が確認された原発を速やかに再稼働させるように提言しています。
上記のように経団連は法人や団体の意向を政治に反映させるための大きな影響力を持った政治的な要素の強い団体であると言えると思います。
では、経団連の政治的なシチュエーションはどうだったかを見てみます。
経団連になる前の前身となる団体(経済団体連合会)は会員企業からの政治献金を斡旋をして多くの政治家に影響力を持っていました。しかし、バブル経済が破綻することで会員企業の政治献金は減少して経団連の政治的な影響力は低下していきました。並行して、プラザ合意によって円高ドル安が進む中で会員企業の海外進出が積極的になりグローバル化が進みました。経団連の中でもそれぞれの利害関係が分かれ結束が保てなくなっていきました。重厚長大産業に属する企業がけん引してきた日本の経済と経団連の政策は実体経済と乖離することも多くなりました。事実、製造業のGDPはバブル経済崩壊後は約20%しかなくなっていました。
しかし、経団連は安倍政権下の2014年には政治献金を再開することで影響力を取り戻すべく舵を切りました。当時の榊原会長をはじめとして現在の中西会長に至るまで政府の方針に沿う発言を行うようになっています。政府も同様に経団連との協議や意見交換を行い政策の方向性を一にすることも見られるようになりました。法人税が年々低下しているのは経団連が一定の影響力を保持している証左であろうと思います。政治献金の賜物ということでしょうか。
さて、参議院浜田聡議員より参考資料として下記のサイトを頂戴しましたので見て行こうと思います。https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68396
週刊現代、2019年10月26日号より、です。
消費税の引き上げについて財界トップのコメントを紹介しています。
「非常に良いこと」(経団連)、「消費者に大きな影響はない」(日商)、「2025年には14%へ増税することが望ましい」というコメントです。大企業が消費税増税を歓迎するのは「輸出免税制度」という恩恵を受けているからだとしています。
2018年(消費税8%)にはトヨタが3683億円、日産が1587億円、ホンダが1565億円、マツダが790億円、新日鐵住金(現日本製鉄)が750億円、三菱自動車が683億円、スバルが507億円、村田製作所が494億円、キヤノンが482億円、シャープが381億円、パナソニックが313億円、日立製作所が248億円、スズキが160億円の還付を受けているとされています。売上高に対する輸出割合はトヨタが67%、日立製作所が53%、村田製作所は90%と多くなっています。上記の13社の還付金の合計は1.1兆円となり、2%の消費税増税の効果が5.6兆円であることからその20%にあたる金額が大手企業に還流していると記事では述べられています。8%の時から10%に消費税が上がるとさらに還付金が増えるということです。当たり前です。これらの消費税の還付金を元静岡大学教授で税理士の湖東京至氏は「輸出補助金」と称しています。
輸出売上の大きい大企業ほど還付金の恩恵を受けているという話はよく聞きますが、私には〝ちょっと何言ってるのかわからない″という感想です。消費税の還付を受けているからと言って実質的な得はありません。輸出売上では相手方に消費税を転嫁することができないため、還付金が生じなければ輸出産業は成り立たなくなってしまいます。
輸出免税では海外に販売(輸出)した商品には消費税が掛からないので、受け取る商品代金にも消費税が含まれていないということになります。例えば、50円(消費税5円)で仕入れたものを国内で100円(消費税10円)で販売すると販売者の納付する消費税は預かった消費税10円から支払い済み消費税5円を引いた残りの5円を納付しないといけません。海外への輸出販売の場合は50円(消費税5円)で仕入れたものを海外に100円(消費税無税)で販売した場合、預かった消費税は0円で支払い済み消費税は5円となり、納付すべき消費税は-5円となり、つまり、5円が戻ってくるということです。この一連の流れの中でどのように得をするというのでしょうか。
国内で販売した場合→売上110円(商品100円+消費税10円)
海外へ販売した場合→売上100円(商品100円+消費税0円)
商取引に於いて預かった消費税から支払った消費税を引いた額を納付するのが消費税制度でありますが、輸出免税の場合は預かった消費税が支払った消費税より少なくなるために還付となります。損得の勘定とは無関係の仕組みだと思います。
大企業であろうが中小企業であろうが外資であろうが個人であろうが課税事業者で消費税簡易課税制度選択不適用届出書を出している事業者であれば平等に適用される制度です。大企業だけが優遇されることはありません。
私の会社でもハワイやグアムなど海外挙式や婚礼衣装の輸出が多くありましたが輸出免税制度は適応されていました。海外でモノやサービスを受け取る顧客から日本の消費税を受け取ることは出来ない為に預かり消費税は無かったからです。よって、海外での利用のために日本国内で仕入など取引が発生したモノやサービスに関しての消費税は還付を受ける対象となるのです。もちろん、海外で顧客が新たにモノやサービスを購入した場合には、ハワイなら4%(宿泊は10%)、グアムなら6%のGross Receipts Taxというものを受け取って納付しています。消費税は消費者が負担するものであり中間取引においてなんら損得が発生することはないと思っています。
よって、この記事の主張する輸出免税制度が企業間格差を広げる一因になっているなんてことはないと考えます。ましてや、大企業が優遇されている制度だと考えることは是認しがたいと思っています。
また、同記事において下請け企業は大企業から「消費増税分は値下げしろ」と圧力を受けているような記述もあります。そのような行為は消費税転嫁対策特別措置法で公正取引委員会が厳正に取り締まっています。消費税転嫁対策特別措置法の期限後は独占禁止法と下請法で優越的地位の濫用を厳しく制限しております。
さらにこの記事には、輸出企業は消費税還付を受けるが、本来であれば下請けにも消費税が還付されるべきものだと主張しています。こちらも私には理解できません。
輸出用の商品の製造や下請け加工などは、輸出免税の対象外となり、消費税が課税されます。下請け加工や製造する商品がその後輸出されようが、国内で販売されようが、下請け加工自体は日本国内において日本の会社同士が通常の取引をしているだけです。
「輸出用の商品」という文言があると一見輸出免税が適用されると勘違いしがちなのです。この記事の筆者も混同してしまったのでしょうか。仕入れ段階、もしくは外注段階おける取引と発注者がそのものをその後どうするかということは全く関係も関与もないことです。立正大学法学部客員教授で税理士の浦野広明氏がいう「消費税は利益ではなく売り上げに対してかかるため、赤字を出していても払わなければなりません。」当たり前のことです。売上に係る消費税は 預かり消費税です。企業の収益とは無関係です。赤字でも消費税は払わなければならないという問題ではなく、消費税は事業者のキャッシュではないのです。私には驚くべき主張に思えました。
加えて、記事ではトランプ前大統領が日本の輸出産業を批判してきたのがこの免税還付制度だと述べています。これも違うのではないでしょうか。消費税の還付は日本のダンピングではありません。トランプ氏は日本の自動車の輸入台数について一定台数を超えた場合に25%の大きな関税を課すことを匂わせることで日本に対して農産物の関税引き下げを日本政府に迫っていた外交交渉における通常起こり得るテクニックを使ったに過ぎません。米国大統領が日本の消費税制を批判するようなことはありません。経団連は自由貿易を望んでおりますが、一方、農協は関税引き下げに大いに抵抗します。政府は輸出産業のグローバル化の障壁の除去を図ると同時に農業をはじめとする保護すべき産業に対して輸入量が一定量を超えた場合には関税を引き上げるなどの対策を行い、それによって得た関税収入を対象保護産業に対して助成するなどの措置を行うことで配慮をしています。鹿児島大学の伊藤周平教授も「法人税は年々引き下げられており、輸出免税制度のように大企業が恩恵を受ける制度も多い。」と言っています。やはり、輸出免税制度で大企業が何らかの優遇を受けていると考えているようです。私は消費税(国内税)の付加する先のない輸出品に関する免税還付制度で優遇されるなどという理解も発想もありません。
私は消費税という税制自体に賛同しているわけではありません。消費税は仕入れの消費税を売上の消費税から差し引いて治めることから、利益と人件費に付加されるものだと認識していますので人件費の削減に向かいやすく経済の発展を阻害する可能性があるものと考えています。また、アメリカでは消費税がないとこの記事には書かれていますが、消費税に代わるものとして州税が州ごとに定められています。一番高いLAでは9.5%となっており日本とほぼ同様です。アメリカには消費税がないと良く言われているのを聞きますが、ほぼすべての州でExcise Taxとう税があり、直訳すると消費税です。だた、日本と決定的に違うのは課される物品が限定されていることです。タバコやお酒、ガソリンなどに課されます。そして、アメリカには消費税とは別に小売売上税があります。これは日本の消費税にあたりますが小売業者が消費者に販売するときにのみ課税されます。生産者や卸売業者に課せられることはありません。消費者のみが支払う税であり、正真正銘の消費税ということになります。よって、アメリカにも消費税にあたる税制が存在すると私は認識しています。
私の理解が間違っておりましたらご教示賜れますと幸いです。
以上、最後までご拝読賜りありがとうございました。
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