特定商取引法の改正案について(参議院浜田聡議員のお手伝い)

今日はアニメです、、、じゃなくて雨です。気分がハゲず、、、じゃなくて晴れずやっとレインません。

さて、昨日は参議院浜田聡議員のお手伝いに上がり特定商取引法の改正案について考察しました。時が経つのは早いもので第204回通常国会も残すところ1か月余りです。この特定商取引法の改正案も可決見込みです。では、その具体的な内容を見てみます。

改正点は大きく3点あります。

下記資料:消費者庁作成

1の通販について、新型コロナ感染症の対策として外出を自粛する傾向が強まっていることなどから通販の利用者が急速に増加しています。そうした中で通販での消費者トラブルも急増しています。消費者センターには2020年には56000件に上る被害相談が寄せられています。2019年と比較して1万件以上増えています。NHKに関する相談が8000件ほどですから通信販売に関しての苦情がいかに多いかがわかります。

改正案では詐欺的で高額な定期購入の契約者に契約を取り消せるようにするとともに同様の商法を抑制する施策を講じることになります。規定の表示がなかったり、虚偽の内容であった場合には法人には1億円以下の罰金に処すことが可能となります。

2について、送り付け商法によって届いた商品を即日処分することをできるようになります。送り付け商法には鮭や蟹など食品の場合もあり14日の保管には能わないこともあります。即日処分が可能となると被害者が保管する負担がなくなります。また、事業者は送り付け商品の返還を求めることが出来なくなります。

3については是非が分かれているところです。消費者と業者が結ぶ契約について現行では書面で渡す決まりになっていますが、消費者が承諾すれば電子データにしても良いということにする案です。携帯電話の契約などでは既に認められています。それを訪問販売や電話勧誘販売にも対象を広げるという改正案です。朝日新聞の報道によると消費者団体や弁護士会など120以上の団体が反対していると言います。この点については後述します。

特定商取引法の改正と合わせて預託法の改正案も出されています。オーナー商法と呼ばれ消費者被害を繰り返してきた販売委託商法です。事業者が販売した商品を顧客から預かり、それを第三者に貸すなどして運用益を得て配当を支払うことを約束するなどして多くの人から多額の資金を集める商法です。このようなオーナー商法は原則禁止となります。安愚楽牧場事件では約4300億円、豊田商事事件では約2000億円、ジャパンライフ事件では2400億円、ケフィア事業振興会では2100億円もの被害が出ております。これらだけでも既に1兆円を超す被害です。同様の商法は禁止されたとしても、その調査や監視をどのようにするかが大切です。業者はこれまでも業務停止などの処分を無視して被害を拡大してきたという経緯があります。消費者庁の調査能力が問われるとともに罰則規定も併せて強化する必要があると考えます。

さて、話を契約書やクーリングオフの通知についての電磁的方法によることを可能にする法案の件に戻します。法案の他の部分は消費者団体にとっては念願の適う法案のようですが、この件に関しては往々にして反対意見が多いです。多くの反対理由はこうです。訪問販売や電話勧誘の被害者にはお年寄りが多くパソコンやスマホの利用が苦手な方が多いようです。これまでは書面による契約が義務付けられていたので家族や介護者が書面に気が付くこともあり被害を食い止めることが出来たのが、電磁的な方法であるとそのような発覚が難しくなるということからです。確かに電話や訪問によって書面を交付せずにお年寄りの同意を上手に言い包めて取り、電子メールにて法規定に沿った内容の契約書を送付するだけで契約が成立するようになるとお年寄りには不利ですし、悪徳業者を助長することにもなりかねません。そのような危惧に対して政府は消費者と契約者との意見が食い違う場合はクーリング期間に入れない、業者が後で勝手に書き換えられない文書方式に限るなどの制度の導入を検討しているという。この政府案に対して、立憲民主党、国民民主党、共産党は政府案から契約書面のデジタル化を除いた対案を議会に提出しています。

以上、論点についてはご理解頂けたことと思います。以後、私の見解を述べます。

電磁的方法による契約を可能にすることは恰も悪徳業者の与するような印象を野党やマスコミが誘導しすぎているのではないかという印象を私は持っています。特に立憲民主党の柚木道義氏は「消費者保護を主旨とする特商法改正案が消費者被害拡大法案になりかねない」とまで言い放っています。この発言は礼儀を知らぬ暴論だと感じます。立憲民主党の対案はあくまでも電磁的方法による契約を可能する項目を削除しただけです。時は流れ社会生活においてのデジタル化は着実に進んでいます。社会の高齢化を無視した主張をするつもりはありませんが、デジタル化社会にも即した法整備を進める必要もあろうかと考えます。デジタル技術を活用しての保存や閲覧、授受の利便性を認める人も多いことも否定できません。時代に即した対応を検討していくことも大切だと思います。

では、具体的にはどのような方策があるのか考えます。まず、パソコンやスマホに疎い高齢者が電磁的方法の利用をうっかり認めてしまい、且つ、不利な条件の契約や必要としない物品の契約に同意してしまった場合、一方的に業者から契約書を添付したメールを送られてくるだけで契約が成立することのないような手立てを構築する必要があります。

政府は2001年以降、「電子署名法」といった電子契約に関する法的環境を整備してきました。電子署名の技術的開発も進んでおり電子契約を導入しやすい環境になりました。日本の商慣習において当たり前に行われてきた「紙と印鑑」による契約締結だけでなく、電子契約による契約締結も徐々に増加してきています。般財団法人日本情報経済社会推進協会の調べによりますと2020年には電子契約を採用している法人や個人が43.3%、検討している法人および個人が27.5%となっています。つまり、7割以上の企業や個人が電子契約を採用または検討しています。コロナ禍にあって益々、電子契約サービスの需要は高まり普及が進むものと思います。

資料:JIPDECウェブサイト https://esac.jipdec.or.jp/ より

電子契約とは電子署名を使って契約するサービスです。ですので、電子署名の有効性と信用性が問われる形態です。電子署名とは、印影や手書き署名に代わって電子ファイルの作成者の証明をしやすくするとともに、そのファイルが改変されないようにするための技術的措置 をいいます。電子署名では本人の意思であることの証明が為されませんし意味がありません。電子署名の有効性や信用性は内容を改竄できないようにすることによって保たれています。主な方法として暗号技術を用いた公開鍵暗号方式 が用いられています。公開鍵暗号方式により、その電子ファイルの作成者と、作成後ファイルが改変されていないことを推定できるようにした仕組みが、一般に電子署名と呼ばれているものの正体 です。

資料:elaws.e-gov.go.jp/ より

電子契約に関しての法整備も進んでいます。2000年には民放の改正を行い契約の成立に書面を必ずしも必要としないことが明文化されました。これによって取引契約をはじめ秘密保持契約に至るまでのほとんどの契約について電子契約が利用できるようになりました。

下記資料:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=412AC0000000102 電子署名法

電磁的な同意の記録を電子ファイルに行った者を明示するとともに作成時以降にデータが改変されていないことを検知し担保できる技術的「措置」を施した電子署名を本人が電子ファイルに施すことで電子化された契約書等の真正な成立が認められることになります。また、電子契約には印紙税の必要がありませんのでコスト的なメリットもあります。書面の授受の手間も省けて保管も容易なことから業務が効率的になりますし、改竄や紛失や漏洩のリスクも軽減できると思います。

 掲題の特商法改正案にある電子的方法による契約について電子署名法に則った方式の電子契約を利用することを規定した契約方式に限定することでパソコンやスマホに疎いお年寄りが容易に契約してしまうことはないものだと考えます。本法案に関しては政令や施行規則で電子署名法に則ること追って規定すること検討するということを付帯事項とすることが望ましいのではないでしょうか。

 原案のままですと恰も業者が電子的方法での契約の同意を上手に取り付けてメールを一方的に送付することだけで契約が成立してしまう危惧がないとは言えないような気がします。デジタル社会のルールに沿って電磁的方法を利用した契約手続きを行うことでお年寄りが被害を受けることを避けられるように思います。また、書面での契約行為がなくなるわけではないので電子契約に対応できない方はこれまで通り書面での契約することになるので不便もありません。

さて、話は変わりますが、特定商取引法については他の条項にも改正すべき点があると思います。不招請勧誘の禁止についてです。つまり、アポなし訪問買取や勧誘の禁止です。現在、不招請勧誘の禁止の対象になっているのは金融商品の販売業者や出張買取業者です。新聞の販売業者やNHK委託業者はその対象ではありません。買取業者や金融業者だけに制限するのでは消費者保護の観点から不十分だと思います。新聞やNHKも含めた訪問販売に関しても何らかの規制を設けるべきではないでしょうか。

不招請勧誘を原則禁止し、例外的に同勧誘に同意した者のみに勧誘が許されるオプト・イン規制、もしくは、勧誘を拒否したものに対する勧誘を禁止するオプト・アウト制度のいずれかを導入してはいかがでしょうか。ドイツやオーストリア等ではオプト・イン制度、イギリス、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、デンマーク等ではオプト・アウト制度が導入されています。

また、事前に拒否者が登録した電話番号への勧誘行為が禁止されるDo‐Not‐Call制度を導入している国も多いです。アメリカ、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア、インド、シンガポール、韓国はDo‐Not‐Call制度を導入しています。

オーストラリアでは国の機関が訪問販売のお断りステッカーを配布しており、それを表示しているにも関わらず訪問販売を行った業者には罰金を命じた判例もあります。

アメリカのDo‐Not‐Call制度には州によって罰則を設けていることも多いようです。ルクセンブルグでは訪問販売お断りステッカーを国が配布しており、掲示しているにも関わらずに行われた訪問販売行為は無効とすることできるように法規定されています。

日本においてもアポなし訪問販売業者による被害報告が後を絶ちません。被害ではなくとも迷惑だと思っている国民は少なくないと思います。訪問販売に関する消費者センターに寄せられる相談や苦情の件数も毎年上位に入るくらいに多いです。特に新聞販売店やNHK委託会社は苦情の多い業種の常連となっています。日本新聞協会は消費者センターに寄せられる苦情に関して新聞購読者に比べて1%程度の苦情数であり取り立てて問題にするようなレベルではないと主張します。そうでしょうか。迷惑しているすべての人が消費者センターに苦情を言うわけではありません。驕る平家は久しからずと言います。このような主張をしている新聞業界の先行きが懸念されます。NHKに関しては少しずつ改善がみられていると思います。NHKが訪問営業による契約促進から他の方法に移行しようという意思を明確にするに至っています。営業活動において郵便局など他業種との提携など模索するというNHK会長の発言もありました。これに至るにあっては、新型コロナウィルス感染症の感染拡大も影響も大きかったとは思いますが、NHK党の国会での委員会での質疑での問答や裁判で弁護士法第72条違反を問うなどをした活動の影響も少なからずあったのではないかと思います。とはいえ、NHKや新聞業界の自浄作用に大きな期待は持てません。不招請勧誘に関しては買取業者だけではなく販売業者に対しても一歩踏み込んだ規制を設ける必要があると思います。真面目に活動している訪問販売業者もいるでしょう。私も28年前に3年間だけ住宅の飛込み訪問営業の仕事に就いていました。一日300軒くらいはインターホンを押していたと思います。住宅は押し売りをできる商品ではないので悪徳な行為はありませんし、していません。しかし、毎日、飛込みセールスをしているといろいろな訪問販売業者と出くわします。表札屋、布団屋、シロアリ駆除、教材屋、外壁塗装などです。表札屋はまるで郵便局から来たような話しぶりで販売していましたし、シロアリ駆除業者はシロアリをこっそり持参していました。布団屋は布団の無料クリーニングを装って高額な布団を押売りしていましたし、教材屋は親が望む志望校に合格させることを根拠もなく確約していました。住宅街の中にある公園でスーツや作業着で休憩している人がいたら訪問販売員であることが多いです。私も良く休憩中にほかの訪問販売員と会話をしていました。マンションやアパートの表札の周りには訪問販売員同士でわかる暗号を記入していたようです。男女の区別、購入の可否、在宅時間などです。いずれにせよ、訪問販売は店舗と違って販売効率が良くありません。よって、少ない客から多くの利益を得るしかないのです。それでは良心的な商いは出来ません。昼間は一家の大黒柱は仕事に行っていて留守のことが多いです。ですので、主婦や高齢者が対応することも多くなりがちです。高齢者の一人住まいだったりするとついつい会話に応じてしまうこともままあります。会話の延長上で人情に絆(ほだ)されて勧誘や販売に応じてしまうこともあるはずです。被害者になるのはどうしても社会的な弱者が多くなります。

訪問販売の規制は消費者保護という観点でありますが、とりわけ弱者の保護にも適います。そういった規制は政治的要請であろうと思います。

以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。

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