出入国管理法改正案について(参議院浜田聡議員のお手伝い)
結婚式の費用はけっこんするなぁ~ってことでウエディングの本、第二弾が発売になります。宜しければご拝受賜れましたらと存じます。
拙書「平成のブライダルビジネス革命 結婚式場・ホテル編」が5月21日に発売予定です。
— 坂本雅彦 (@NHK65860645) May 19, 2021
人と人が認め合い、愛し合い、共に人生を歩むことを誓い合う。その心と心の結びつきが結婚である。結婚ほど平和な出来事はない。心を込めて取り組むことが我々に出来る平和活動なのだ。
https://t.co/gDt3FOUqAZ pic.twitter.com/uJhj0MCApm
昨日は参議院浜田聡議員のお手伝いに上がり、入国管理法改正案について考えてみました。
つい先日、政府提案の入管法改正案の審議を進めないこという与野党が合意して取り下げになりました。与党がこのような対応になったのは、今年3月に名古屋出入国在留管理局でウィシュマ・サンダマリ氏が留置中に亡くなったことから、野党がそのビデオ映像の開示を求めていました。対して与党は映像の開示を拒むともに法案を取り下げました。
この経緯からすると恰も入管が映像を開示できないような酷い状況が映っているという事情があるのではとの憶測を呼びますが、そうとは限らないと思います。ビデオ映像を開示の可否ばかりが争点となり、入管法改正案に対する世論形成が偏ったものになる、冷静な判断基準が保たれない、論点のすり替えが起こる可能性が高いなどの懸念から与党は今国会での審議を避けたものと思います。
与党は安定多数の議席を確保しているのですから法案を可決することもできたはずですが、今秋には衆議院の総選挙を控えていることから野党への燃料投下を避けた格好になったのだと思われます。つまり、単なる選挙対策なのでしょう。
さて、本法案の中身について見ていきます。
下記資料:毎日新聞、難民保護と入管法改正
改正の論点は大きくは上記のようになります。これまでは収容者は入管施設に留置されていましたが監理人による監理によってその必要がなくなります。つまり、ウィシュマ・サンダマリ氏のような死出する事案が減少すると考えられる措置です。(施設外監理には300万円の保証金が必要)入管での死者は2007年以降の14年で17名います。そのうちの5名は自殺で、残りは病死だとされています。
下記資料:法務省、被収容者数の推移
上記図より長期の収容者のほとんどが難民認定申請者であることがわかります。難民申請を行うと一律に送還を停止していたことが長期収容者の増加を招いていました。今回の改正案では3回目の難民認定の申請からは送還をできるようにするというものでした。
下記資料:法務省、入国管理局作成
難民と認定されなければ法務大臣の裁量による在留特別許可の諮るのですが、現実的に在留が可とされるのは全体の4%程度です。上記図から不法滞在者の急激な減少に合わせて在留特別許可も減少しています。婚礼等の日本人と密接な身分関係にある者に許可が与えられています。
改正案では難民と認められない者に対して特別難民として保護できる制度が導入される予定でした。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)によると紛争や迫害で故郷を負われた者は約7900万人いるとされています。そのうちの多くは国内避難民ですが約2600万人が国外に避難しています。国外避難者の中の約420万人が他国の庇護を求めています。
難民の出身国はシリアが約660万人、ベネズエラが約370万人、アフガニスタンが約270万人、南スーダンが約220万人、ミャンマーが約110万人となっていて、この5か国で全体の3分の2を占めています。
難民の最大の受け入れ国はトルコで約360万人、次いでコロンビアが約180万人、パキスタンとウガンダがともに約140万人、ドイツが約110万人となっています。難民の多くは隣国に移動することが多く、難民の85%が発展途上国に受け入れられています。
難民と紛争難民に違いに関してUNHCRでは下記のように区別しているようです。難民とは1951年の「難民の地位に関する条約」では、「人種、宗教、国籍、政治的意見やまたは特定の社会集団に属するなどの理由で、自国にいると迫害を受けるかあるいは迫害を受けるおそれがあるために他国に逃れた」人々と定義されています。一方、紛争難民とは武力紛争や人権侵害などを逃れるために、国境を越えて他国に庇護を求めた人々を指しているとされているようです。
それでは日本における難民民定の実態を探ってみます。法務省入国管理庁作成資料を参考にします。(http://www.moj.go.jp/isa/content/930005069.pdf)
下記資料:法務省出入国管理庁作成
難民申請数は過去10年間で飛躍的に増加しています。日本の難民認定手続きでは、正規滞在者から申請があった場合は手続きが終了するまで6か月ごとの在留期間の延長を認めるとともに、6か月経過後は就労を認めてきました。このことから就労を目的として来日した外国人が制度を濫用しているという側面があります。申請数全体の約70%がフィリピン、ベトナム、インドネシア等の大量の難民・避難民を生じさせるような事情がない国からの申請者で占められていることからも容易に推知することができます。
多くの難民認定の申請者は認定されない結果となるのですが、認定されなかった者の約半数は不服申し立てを行い在留期間の延長を試みています。
下記資料:法務省出入国管理庁作成
上記の資料から不服申立者の37%が近隣住民のとのトラブルやマフィヤや暴力団とのトラブル、債権者とのトラブル、契約上のトラブルとなっています。その他にも自国の治安に対する不安や親族間のトラブルというものもあります。
つまり、難民申請の多くが滞留期間の延長を目的としていると言っても過言ではないように思います。平成30年の難民申請数は10493件ですが、不服申立数は8291件となっています。そのうち、不服申立ての理由ありとされたのは1件だけで、理由なしとされたものは6021件、取り下げた者は2219件となっています。この間に582人には口頭陳述の機会を設けています。決定に至るまでの期間は平均17.1か月を要しています。理由ありとされた1名はその後、難民認定されています。
ちなみに難民認定されたのは43名です。アフガニスタン16名、リビア4名、イエメン3名、コンゴ3名、シリア3名、ベネズエラ3名、ウガンダ2名、エチオピア2名などとなっています。平成30年において難民申請が突出して多いネパール、スリランカ、カンボジア、フィリピンなどの難民認定はありません。
難民認定はされなかったものの人道的な配慮から仮滞在を許可されたものが37名おります。37名のうち10名が自国の情勢に起因しており、シリア7名、イエメン1名、エチオピア1名、ミャンマー1名となっています。残りの27名は日本人と結婚し、日本人の実子を養育するなどの事情を考慮されて許可された者です。内訳はトルコ12名、スリランカ4名、ナイジェリア3人となっています。
以上から難民認定および価値滞在の許可の確率は0.7%と非常に低いというのが現状です。日本が難民を人道的に積極的に受け入れるという政治的意思が備わっていないと非難する論調が多くみられます。しかし、そうでしょうか。UNHCRによると世界の難民申請者の出身国の多くはシリア、ベネズエラ、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマーです。日本における難民申請で多いのはネパール、スリランカ、カンボジア、フィリピンなどですので世界の各国とは事情が異なるということです。
入管法改正案では世界の趨勢を鑑みて、紛争地域からの紛争難民を保護する規定や家族関係についての人道的配慮を可能とする申請制度を設けることで在留特別許可によらない補完的な救済を可能とする制度の新設が盛り込まれていました。
ウィシュマ・サンダマリ氏が亡くなられたことは残念に思いますが、そのことによって入管法改正案が先送りなったことは難民認定申請者にとっては不為(ふため)であろうと思います。
さて、ここからは難民申請の現実に焦点を当てたいと思います。
日本において紛争地域以外の出身者からの難民申請が異常なくらい多いのにはカラクリがあるようです。在留外国人や不法滞在者や入管施設収容者に知恵を与えている人権団体、難民支援を称する団体の存在があるようです。難民申請をすることで不法滞在者が拘束されたり、入管施設収容者が本国に送還されることがなくなると唆しているという話があります。(一般的にノン・ルフールマン原則という)これによって収容期間が長期化していると考えられます。
実際、難民認定申請の多くが判を押したかのように同じような申請内容だという話もよく聞くのです。一例はこうです。
「来日の目的は日本で子供に英語を教えたいということで日本語留学為のビザを取りました。そして、日本に来て1年後には自国からの送金が途絶えて学校に行けなくなりました。学校に在籍していないと在留許可の更新も仕事も出来ないのでやむを得ず不法滞在者になりました。同棲していた男性からは暴力を受けて自国に帰れば〝殺す″などと脅されていました。だから、自主的に帰国できない状態を続けてしまいました。」
というものです。今回、亡くなられたスリランカ女性も上記と同様の内容の難民申請だったようです。この内容では難民申請できる要件を満たしてみません。しかし、支援団体は人権問題だとして毎度に渡り無理やり受付をさせているようです。
酷い話です。人権問題と言って問題をすり替えてはいけません。また、法務省も誤魔化されてはいけません。このようなケースは難民認定申請を受理するべきではないのです。ビザが失効している以上は法的手続きとしてはシンプルに自国へ送還すべきです。
入管施設での収容の長期化などの問題に関して、現状において出入国管理局ができる対応は難民申請の要件を満たしていない者の申請を受理しないことだと思います。
最後に日本共産党志位氏のSNSでの発信をご紹介します。
在留期限が切れたらダメだということすら志位氏はわからないようです。政治家としては残念な発信だと思います。さらに志位氏は入管法の改正を断念に追い込んだと成果を強調していますが志位氏の影響ではないと私は思っています。志位氏は入管法を元々は特高による治安維持的な取締りであって改革を必要とするなどと批判的に発信していますが、日本共産党こそが特高や治安維持法が制定される要因になったこということを蛇足ではありますがここに記しておきます。
以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。
上記、本文中の内容について誤認がございましたらご指摘を頂戴できましたら幸いです。
0コメント