大麻について(参議院浜田聡議員のお手伝い)

今年のクリスマスもおっさん仲間と飲み会、がっくりすます・・。クリスマスは、苦労します。。。

さて、昨日は参議院浜田聡議員のお手伝いにあがり大麻について検討してみました。

大麻の解禁を声高に主張する方がちらほらおられますが、結論から申しますと大麻解禁の是非について私なりの結論を見出すには至っていませんが、私は大麻に関して良いイメージを持ってはいませんし、使用したいとも思いません。よって、大麻の解禁を望む方々が何のために大麻を使用したいのかをお聞きしてみないとその目的が分かりかねます。

 東京都知事選の前に堀江貴文氏が出された本「東京改造計画」の中で大麻解禁について書かれていたのを覚えています。大麻使用による覚醒効果が少子化問題の解決に役立つという主張でした。スタンフォード大学の研究によると、大麻使用者は大麻を使用しない者と比較して20%ほど性交渉の回数が多いという結果が報告されています。また、男女ともに性交渉の満足度が上がるという報告もあります。また、コネチカット大の研究者によると大麻を合法化した州では生殖可能な女性10000人あたり年に4人の出生増加が認められたそうです。この効果を日本に当てはめると出生可能な女性人口が1500万人とすると年6000件の出生の増加が見込めるということになります。

 米国の研究結果に反して、2018年に大麻合法化をしたカナダではその後も出生率は低下し続けており、大麻解禁によって向上するような兆しは見られていません。つまり、性交渉の回数が増えたからと言って出生率が上がるという単純な問題ではないことがカナダの実績値から伺えます。

 子供を産むかどうかという問題は複合的な問題であり、安心して子育てができる環境の整備が重要な要素となります。大麻合法化ではなく、むしろ社会制度の構築の問題だと思います。

 2017年頃から竹田恒泰氏が繰り返し主張しておられるのが、子供出産一人目は1000万円、二人目には2000万円、三人目には3000万円を支給するという政策です。少子化対策を越えたベビーブームを目指し、経済対策としての効果を目的とする案です。消費者であり将来の労働者である子供が一人生まれる経済効果は長期的にみて数億円であるとし、安心して国債を発行でき、国難の解消に繋がるという目論見です。大麻解禁による性交渉の快楽を向上させることで少子化問題を解消しようという案よりよほど国民の理解や賛同が得られやすいと私は感じます。

 堀江氏は大麻を性ドラッグとしての利用効果を主張していると解せますが、カナダの例を鑑みても、それは実証を得た結果や論理的な効果だとは言い切れないということです。むしろ、性ドラッグとして大麻に関して議論することは大麻解禁に関する議論を全社会的な議論に拡大する為には有益ではないのかもしれません。

 次に大麻解禁を目指す議論として、大麻の栽培と使用が日本古来からの伝統文化であり、戦後にGHQが日本政府に押し付けた規制ではないかということが言われています。確かに当時、大麻は既に米国では極端に高額な課税を行い取締りの対象となっていました。その背景には移民国家であるアメリカ国内での国民の大麻(マリファナ)に対する嫌悪感やメキシコ系移民に対する人種差別意識が基となっていると言われています。

 そうだとすれば、米国と日本の事情は全く違うので、日本国内で大麻を取り締る理由が曖昧となります。日本では古事記にも大麻に関する記述があるとされ、古代から大麻の栽培と使用が行われていたことは明らかです。大麻取締法が施行される約70年前の以前の日本では大麻に対して麻薬である認識などはなく、比較的、手間のかからない農産物として生産されて茎などを繊維材料として、実を食用にするなどされていました。

参考:大麻博物館ブログより、東洋経済経由https://toyokeizai.net/list/author/%E5%A4%A7%E9%BA%BB%E5%8D%9A%E7%89%A9%E9%A4%A8

 戦後、GHQ統治下において大麻という植物に関して分類や区別を行うことなく、一律に米国に倣い大麻草を排除する法律を制定したことが日本的大麻の有効利用法も損なわれる結果となったのかもしれません。当時の農水省や厚生省の担当者も大麻に麻薬の麻という言葉が使われていたことからGHQが勘違いしたのではないかと思うような状況にあったと言います。日本人には大麻草に麻薬性があるという意識はなかったということになります。それは、日本で古来より栽培されていた大麻草と覚醒効果があるとされる大麻草とは種別が違ったからなのです。麻薬性がある大麻草はインド大麻とよばれる種であり、日本で生産される大麻草とは違うものだったのです。約70年前には既にインド大麻は毒性のあるものとされ国際的に麻薬植物として扱われていました。

 大麻取締法の制定に際して政府内部でも困惑していたようです。大麻取締法の制定に当たっては特定の生産者と薬事関係者とそれ以外の一般の使用者とを区別することを目的としたようです。つまり、法規制が大麻を麻薬としてする使用者を取り締るようなことを目的としてはいなかったということになります。

 国会の議事録に大麻取締法に関する答弁が残されています。

下記資料:第2回国会、参議院厚生委員会、第15号、昭和23年6月24日より

「竹田国務大臣 ただいま議題となりました大麻取締法案について御説明いたします。

 大麻草に含まれている樹指等は麻薬と同様な害毒をもっているので、従来は麻薬として取締ってまいったのでありますが、大麻草を栽培している者は大体が農業に従事しているのでありまして、今回提出されています麻薬取締法案の取締の対象たる医師、歯科医師、薬剤師等は、職業の分野がはなはだしく異っています関係上、別個な法律を制定いたしまして、これが取締の完壁を期する所存であり、本法案を提出する理由と相なっております。〈略〉

 次にこの法案の骨子といたしまするところを説明いたします。まず、大麻の不正取引及び不正使用を防ぐため、大麻を取扱う者はこれを免許制とし、この免許を受けた者以外の者は、大麻を取扱うことを禁止しておるのであります。〈略〉」

―第2回国会 参議院 厚生委員会 第16号 昭和23年6月25日―

「○政府委員(久下勝次君) 〈略〉実は從前は、我が國においても大麻は殆んど自由に栽培されておつたのでありますが、併しながら終戰後関係方面の意向もありまして、実は大麻はその栽培を禁止すべきであるというところまで來たのでありますが、いろいろ事情をお話をいたしまして、大麻の栽培が漸く認められた。こういうようなことに相成つております。併しながらそのためには大麻から麻藥が取られ、そうして一般に使用されるというようなことを絶対に防ぐような措置を講ずべきであるというようなこともありますので、さような意味からこの法律案もできております。〈略〉」

 上記の経緯より、日本の古来からの伝統文化であるから、大麻を取り締るということはGHQの押し付けであり不当であるから、伝統文化を取締る必要がないという議論には部分的にロジカルであると思います。大麻の覚醒作用を問題視するのであれば本来の国際基準であるインド大麻等の覚醒作用があるものや毒性のあるものを明確に区別して取り締る必要あります。インド大麻を区別せずに大麻解禁を主張するのであれば、伝統文化だからという主張とは違う別の目的をもった大麻解禁を目指すための手段としての方便に過ぎないということになろうかと思います。

 大麻の医療利用に向けての解禁論者からのアプローチも盛んにおこなわれています。医療大麻という言葉を耳にしたことがある方も結構いるのではないでしょうか。言葉の意味として概要だけ掲載します。

下記:Wikipediaより「医療大麻」

医療マリファナは、大麻に含まれるテトラヒドロカンナビノール (THC) やその他のカンナビノイドや、これに類似した作用の合成カンナビノイドを利用した生薬療法である。大麻の種類ではなく大麻を医療に使うことである。鎮痛、沈静、催眠、食欲増進、抗がん、眼圧の緩和、嘔吐の抑制など作用があり、身体が産生するエンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)は全身にわたって作用しているため、その作用を代替する大麻の適応症は多岐にわたる。中国、インドでは古来から利用されていたが、20世紀には規制が厳しくなった。世界保健機関は医療利用のための証拠と危険性の推定の誤りを見いだし、2020年、最も危険という条約の分類から大麻が削除されることが決定し(大麻の国際規制の格下げ)、医療利用の道が開かれ科学研究を推進する可能性があると国連は説明した。

 医療の進歩は大歓迎です。医療薬としての利用であるならば、国民の勘違いや嫌悪を避ける意味でも医療大麻などと呼ばず、医療用THCと呼ぶと良いと思います。大麻に対する国民の嫌悪感は未だに圧倒的だと感じるからです。

 医療薬として大麻解禁を議論するにあたり、大麻由来であることが効能について他の薬剤より優れていることが明らかである場合において解禁を議論するべきではないでしょうか。医療大麻にも他の薬と同様に○○のような効能があるというのではなく、医療大麻だからこそその効果が見込めるという絶対的な理由が必要なのではないかと思います。即効性やコストや持続性などその要素は様々だと思いますが独自の他に秀でた効果があってこそ大麻解禁が有効であろうし、是非の基準はそうあるべきだと考えます。

 それだけではなく、医療大麻の使用対象の制限も検討する必要があるのではないでしょうか。例えば、がん患者やエイズ陽性者に対してです。特定の疾患や症状に対しての限定的な処方であればモルヒネと同様の扱いとして是認されるべきだと考える人も多いでしょう。モルヒネは薬事法や麻薬および向精神薬取締法の規制対象から外されているわけではなく、麻薬施用者免許を取得した医師の処方で、麻薬施用者免許を取得した薬剤師によって、医師が病院で手術や疼痛の緩和などに特化して使用できるという制限が設けられています。医療大麻も同様に使用上の一定の制限を設けることで、医療大麻解禁に対して多くの国民の理解を得られる可能性があると思います。

 いずれにせよ、医療大麻の解禁に関しての議論は主に薬剤の専門家や従事者、医療の研究者や医師、関係国家機関や厚労省関係者などで行われるべきで市民運動が主導すると客観性が失われた議論に終始する可能性があると感じます。

 下記資料:警視庁纏めより

 ちなみに覚せい剤の検挙件数は毎年減少して来ましたが、大麻取締法での検挙数は学生を中心に増え続けています。社会風俗の流行の変化からか大麻に対する罪悪感が少なくなってきているのかもしません。罪悪感だけでなく大麻の危険性への認識が低下しているのでしょう。諸外国で大麻を解禁する動きが進んだことが影響していることも否めないと思います。

 2021年現在で医療大麻が薬局も含めて解禁されている国は35ヶ国であり、一定の制限付きで医療大麻が解禁されている国は25ヶ国となっています。世界的にみると医療大麻を解禁している国は未だ少数派と言えます。ただし、2020年に世界保健機構が最も危険な薬物のリストから大麻を外したことから医療分野での大麻の使用に関して一層の研究と認可に向けた臨床を進める国が今後も増えていくと思われます。

 娯楽用として大麻を解禁している国は32ヶ国程度ですが、違法ではあるが処罰していない国がその他に10か国以上あります。カナダを除くすべての国が娯楽大麻の使用や栽培や所持に関して条件や一定の規制を定めた上での解禁となっています。米国政府はワシントン州、コロラド州、カリフォルニア州などの州で娯楽品としての大麻が限定的ながら合法にしました。オランダは厳格なガイドラインのもとで大麻などのソフトドラックを「まだまし」なハームリダクションとして規制対象外にしています。カナダは世界で唯一、娯楽品としての大麻が無条件で合法になりました。

 一方、娯楽用大麻に関しては英国、フランス、ドイツなどのオランダ以外のEU諸国、中国、香港、フィリピン、韓国、ロシア、ブラジルなど、中東のほとんどの国、アフリカのほとんどの国が禁止薬物として厳重に取り締まっています。日本ではメディアの報道が国内外の大麻解禁への動きに関してばかりなので娯楽用大麻も含めて大麻解禁に向かっているように思われがちですが、そのような事実はないものと思われます。大多数の国が娯楽用大麻の解禁に関しては否定的であると思われます。

 その理由としては、大麻を使用することで短期的には記憶障害や運動機能障害が生じ、長期的には依存性の中毒症状、脳の機能低下、認知障害、呼吸器障害、生殖機能障害などの悪影響が出ることがあるからとされています。さらに、大麻使用によって事故を起こしたり、自殺する危険性が高まるとも言われています。ロンドン大キングスカレッジ発行のランセットという医療誌で発表された研究論文では世界12都市で調べた大麻使用者に対する調査で精神疾患者の5人に一人が大麻を使用していたことから、大麻使用者の性疾患発病率は使用していない者の3倍に及ぶということが研究結果から明らかにされています。最近の研究結果から言えることは「大麻はたばこより安全」というのは真っ赤な嘘であることが証明されたということです。

 私の認識としては、医療用大麻の研究開発は重要だが、娯楽用の使用とは厳格に区別しなければならないだろうと思います。大麻は安全でもないし、健康に影響がないわけでもないと思います。娯楽用としての大麻を解禁する利点はそう多くないと考えます。

 最後に大麻の取締りについてです。大麻は所持していることで検挙の対象となります。しかし、大麻の使用に関しての規制はありません。ある意味、相互に矛盾する法令であるように思われます。それは冒頭で紹介した大麻取締法の制定した経緯によって発生した矛盾だと考えられます。

 大麻取締法が、既に大麻を農産物として栽培している農家やそれを利用する伝統産業と麻薬として使用する大麻を区別して取締る為の法律でした。大麻栽培の許認可を受けた者以外を除外するということが大麻取締法の主目的でした。よって、許認可を受けていない者は大麻を持てないようにするという意味では、大麻の使用とは別次元の規制をする法律になってしまったのでしょう。

 つまり、大麻取締法では覚せい剤のように使用を証明することでは検挙できないことになります。尿や毛髪検査で使用が証明されても検挙には至らないということです。逮捕するには所持をしていることを証明しないといけないので他の薬物より摘発するハードルが高いように感じます。

下記資料:厚労省、第五次薬物乱用防止五か年戦略より

 それにも関わらず大麻の検挙数は覚醒剤やコカインや合成麻薬などの合計数の5倍も人数に膨れ上がっています。その背景には学生の海外留学が一般化していることも影響していると思います。一部の海外で娯楽用大麻が解禁されていることが大麻の違法性を軽々に考えてしまうことに繋がっているのかもしれません。そのような風潮とは一線を画して医療大麻などの解禁について検討されるべきだと思います。

 大取法での検挙数が多いのは職質数が多いからではありません。覚せい剤使用者の多くは誰にも知られないようにこっそりと使用するケースが多いようです。一方、大麻の使用者は周辺にいる人物、つまり、友人等に大麻の使用について話してしまうか、大麻についての知識やカナダやオランダやカルフォルニア州での大麻の合法化について力説してしまう使用者が多いことから、第三者による大麻所持に関する通報によって検挙されるケースがほとんどだということです。

 身近に大麻について延々と話し続ける人がいたら迷わず警察などに通報されるのが良かろうと思います。大麻に関して検挙数が極端に多いのは周りの者が迷惑を被っているので通報が自ずと多くなるのだと思います。放置すると自分も良心の呵責を抱くので迷わず警察に任せるのが最善だと思います。娯楽用大麻は日本では娯楽ではなく違法大麻であり、その所持は犯罪です。大麻解禁論と並行して大麻の使用を取締る法整備も論じられています。

 医療用大麻の解禁に向けての議論と娯楽用大麻の使用者の取締りに向けた法整備を並行して進めるのも良いと思います。それこそが健全な議論であるような気がします。


以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。


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