総務省関係の事案について(参議院浜田聡議員のお手伝い)
日程が窮屈です。過労ではなかろうか。体がだるかろう。
さて、2020年9月20日の寺田総務大臣閣議後記者会見の内容について検討してみました。
① Beyond 5Gの研究開発について令和三年までに実施した事業の報告を国会に提出することの閣議検定
→どのような報告が為されるか内容が楽しみです。NICT(情報通信研究機構)のHPよりますとBeyond 5Gでは「Beyond 5G 時代では、フィジカル空間とサイバー空間の双方において、時間、空間がさらに高度に制御されることにより、双方の空間は統合され、これまでのフィジカル空間だけでは実現でき得なかった未来をもたらすことが可能となります。」とされており、「統合されたフィジカル空間とサイバー空間を交差し実現する「イネープラー(基盤サービス/基盤機能)」を組み合わせることにより、これまで実現できなかった新たなサービスの提供が可能となり、生活や産業・防災・教育、そして医療など、様々な社会課題の解決に役立つことが期待されます。」と目論見が示されています。実にオフィサー的な表現に終始していますが、未来に期待を持たせる内容なのでしょう。具体的には、航空域での利用としては、無人航空機の運航や航空機上での携帯電話の使用やグローバルな通信を可能とします。緊急時には管制塔からの飛行機の遠隔操作も出来るようになります。海洋での利用としては、ドローンを利用した離島などの情報収集やGPSブイを利用した津波発生の早期検出、海難事故の迅速な対応、海底などの未開拓地域の海洋調査などの開発が進められています。地上での利用としては、陸上移動体(車やバスなど)のIoTや災害に強い通信網の確立、農業におけるピンポイントな天候予測やビッグデータの収集、教育への貢献などが可能となります。衛星利用や深宇宙での利用としては、宇宙空間のストリートビューや深宇宙での通信インフラの整備などが図られます。超高速光ファイバ、Beyond 5G ワイヤレス通信、量子通信、テラヘルツ通信などの組み合わせ、シームレスに統合された多層的なネットワークの構築が予定されています。課題としてこれらの目論見を進める上で国際的な協業は必要不可欠だと思います。共同での研究開発のみならず各国がある程度のシステムの統一や運用の規定を共有しないと費用や労力のロスのみならず覇権争いに発展しかねないような気がします。各国のコンセンサスは事前且つ早期に図るべきだと思います。それらの深度と進度はいかばかりなのでしょうか。
② 8月の消費者物価指数の総合は前年同月比3.0%の上昇、コア指数で2.8%上昇
→12か月連続の上昇です。引き続き、電気代、都市ガス代などのエネルギーや、あるいは生鮮を除く食料が上昇したことなどによるものです。政府と日銀の目指す緩やかなインフレは2%としていましたが、それを上回るペースの物価上昇率となっています。偏に不安定な国際情勢の影響を受けてのことでしょう。急速に進む円安によって輸入品の価格が高騰しています。特に原油をはじめとするエネルギー価格の高騰は産業に与える影響が大きくなっています。恰もオイルショックが再来したかのような高騰ぶりです。原油の高騰は、製鉄や非鉄、化学産業が受ける影響も大きいのですが、運輸業界、特に交通分野への影響は甚大です。鉄道や路線バス、タクシーの運賃は各地の運輸局の認可制であり、一時的な価格転嫁は行えないのが実情です。実際に交通分野での消費者物価指数はほとんど動いていません。航空運賃は比較的柔軟に価格変動が行われており徐々に上昇しています。鉄道やバスやタクシーの値上げは国民の生活に与える影響が少なくありません。政府は交通分野への助成を含めた支援策を早々に検討するべきだと思います。
消費者物価指数の3%上昇に対し、2022年7月分の統計ではありますが賃金上昇率は前年同月比1.8%に留まっています。物価変動を加味した実質賃金では前年同月比でマイナス1.3%となっています。物価の上昇に賃金の上昇が追い付いていない状況ですので正にスタグフレーションの状態にあると言えます。一般的には金利上昇による負荷によってインフレを抑制するべきなのですが、現在の物価高騰はロシアのウクライナ侵攻による原油高騰やコロナ禍での半導体の生産不足などよるものであり、所謂コストプッシュ型のインフレですので、利上げによって抑えられるものではありません。コストプッシュ型インフレとは輸入物価の高騰です。輸入品の価格が高騰しても国民の所得は増えません。当たり前ですが輸入品の生産者は外国人ですし、収入を得るのも外国人です。よって、コストプッシュ型インフレによって国民の賃金が上昇することはありません。政府は現況をスタグフレーションの状態にあると認識しているのだろうか。また、現状を打破するための方向性を国民に強く示す必要があるのではないでしょうか。これまで供給企業の設備投資などを抑制してきた株主資本主義を改め、緊縮財政から積極財政への転換を図るべきではないでしょうか。現在の景気状況はコロナ禍やロシア・ウクライナ問題の影響も大きいと思いますが、それ以前の問題としてグローバリズムが進展し安価な労働力によるインフレ抑制が行き詰ったことが引き金になっているのではないでしょうか。
蛇足かもしれませんが、輸入に頼る原油をはじめとしたエネルギー源の高騰が日本経済に悪影響を及ぼしているのは明らかですので、政府は既に方針を明らかにしている原子力発電所の再稼働を急がねばなりません。原発再稼働に係る取り組み状況や実際の再稼働の目途を明らかにしてもらいたいと思います。
③ マイナポイント第2弾のカード申請期限の延長
→2020年6月30日から開始しているマイナポイント第二弾の申込者数が2000万人を超えたとのことです。一日あたり21万件を超えるハイペースで申請が進んでいることからマイナポイント第二弾の申込期限を12月末まで延長することを決めました。寺田総務相は年内には運転免許証とほぼ同数の8000万枚を達成し、来年3月末までには国民のほぼ全員に行き渡らせたいという目標を掲げました。普通に考えると、現在は一日21万人のペースですので、年内が残り130日だとしますと2730万人の上乗せにしかなりません。既申請者を含めて4730万人となります。到底8000万人には届きそうもありません。日本が目指すデジタル社会を実現する上でマイナンバー制度は重要な課題です。政府が目指す誰一人取り残されない人にやさしいデジタル化を実現する為には万難を乗り越えて年内8000万枚の発行を達成してもらいと思います。その上で、マイナポイント第二弾を延長するだけの施策では心もとないと思います。現在の申請のペースを倍増しないと8000万枚の達成は難しいと思いますが総務省の認識を改めて伺いたいものです。
④ NHKへの行政指導
→総務省による行政指導の内容を示します。
「貴協会が令和3年12月26日に放送した「BS1スペシャル 河瀨直美が見つめた東京五輪」において、自らの番組基準に抵触する放送が行われたことは、公共放送である貴協会に対する国民視聴者の信頼を著しく損なうものであり、公共放送としての社会的責任に鑑み、誠に遺憾である。 放送法(昭和25年法律第132号)第5条第1項においては、「放送事業者は、放送番組の種別及び放送の対象とする者に応じて放送番組の編集の基準を定め、これに従って放送番組の編集をしなければならない」とされているところ、今回の事案はこの規定に抵触するものと認められる。 よって、今後、このようなことがないよう注意する。」
というものです。BS1スペシャル枠で放送したドキュメンタリー「河瀨直美が見つめた東京五輪」という番組内で問題が発生しました。番組は、東京2020オリンピック公式映画の河瀨直美総監督と製作チームに密着したもので、チームの1人である映画ディレクターが反対派とされる男性の取材に同行したシーンで、「五輪反対デモに参加しているという男性」「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」と字幕を付けて放送しました。その後、五輪反対デモが金銭目的で行われているような印象を与えたなどの批判が相次ぎ問題が発覚しました。反対派とされる男性はその後の調査で五輪反対デモに参加したかどうかすら疑わしいということが発覚しました。
この問題は単なる字幕の付け間違いということで済ますべきではないかもしれません。何らかの意図をせずに間違いで付けるような字幕ではありません。視聴者に国民が主張や要求を世論に訴える手段としてのデモに対して懐疑的な印象をもたらすのに十分な放送内容です。BPOも「重大な放送倫理違反があった」とし、「単なる字幕の付け間違いではない」と断じています。NHKは2012年にも松山放送局が放送した「おはようえひめ」で、実際には発生していない偽事件のテロップ「窃盗の疑い 愛媛大学教授逮捕」というものが流されました。職員の操作ミスによって放送試験用の字幕が誤って放送されたと言います。つまり、NHKは過去にも根も葉もない内容のテロップをつけて放送してしまった過去があるということです。総務省にはNHKの字幕問題が今回が初めてではないこと、BPOも重大な問題であることを表明していることから、文書による注意を勧告する行政指導以外にもっと効力の見込まれる処分方法はなかったのかどうかを問いたいです。二度あることは三度あると言いますから。何らかの行政処分を行うことは出来なかったのでしょうか。
以上、最後までご拝読を賜りありがとうございました。
参考:NICTホームページ
2020年基準消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)8月分
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/price.html
最近の統計調査結果から2022年9月 労働政策研究研修機構
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/saikin/2022/202209.html
エネルギー価格の高騰が物価に与えている影響とは?―「エネルギー白書2022」から③ エネルギー庁
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/price.html
デジタル社会の実現に向けた重点計画 デジタル庁
https://www.digital.go.jp/policies/priority-policy-program/
LIMO マイナポイント第2弾の申請期限が2022年12月末に延長!カードの普及「約8000万枚」が目標
https://news.yahoo.co.jp/articles/f9bb7ace5bbe27601a8154c61aa4cec9838a49d7
「BS1スペシャル」に関する問題への対応 総務省
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu07_02000239.html
民放オンライン BPO検証委BS1スペシャルでNHK に猛省を促す 総務省も「注意」の行政指導
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