オンライン議会の導入について(参議院浜田聡議員のお手伝い)
素晴らしいね、、、お政治を言う。。。
さて、国家的な取り組みとしてデジタル化の実装が急速に進められています。5Gなどの基盤構築のみならずBeyond 5Gの推進、マイナポイントの全国展開、デジタル人材の育成など枚挙に暇がないほどの多くの取り組みを急速に進めています。政府が進めるデジタル田園都市国家構想においては地方の新たな変革を進めて都市部との差を縮めていくことを図るとしています。自治体マイナポイントの全国展開、地方公共団体情報システムの統一と標準化、デジタル活用による行政相談、地域ICTクラブの普及促進、ふるさと納税の活用促進、サテライトオフィスの誘致、テレワークの普及促進とセキュリティ等の確保などを総務省は自治体が重点的に取り組む事項として策定しています。政府は財政的な支援として令和3年と令和4年にかけて約2000億円の予算措置を講じています。
併せて、地方議会のオンライン化も進められています。総務省は新型コロナウイルスの感染拡大を受け、令和2年4月に地方議会の委員会についてはオンラインで開催することも差し支えない旨の通知を発出しています。本会議については「現に議場にいること」とされていていますが、全国都道府県議会議長会などからオンラインによる本会議開催を求める意見が出されています。令和2年6月にオンラインでの委員会の開催を可能にする条例案を可決している岡山県津山市議会において本会議もオンライン化する意見書を採決する議事録です。
下記引用:津山市議会公式YOUTUBEチャンネルより(令和3年6月29日)
「今般のコロナウィルス感染症の拡大に伴い、相当数の議員が自宅待機等を余儀なくされた場合、あるいは大規模災害が発生した場合等におきましても急を要する審議・議決を求められる事態が現実のものとして想定をされております。定足数を満たす人員の議員が非常時に参集できない場合におきまして議案審議・票決などの議会運営方法が確立されていなければ首長の専決処分を漫然と許すことになり議会不要論が増幅することは想像に難くありません。世界的に見ましても情報送信技術の発展により既に英国議会ではオンライン議会を実用化しております。しかしながら、我が国におきましては地方自治法第113条及び第116条第1項における出席の概念が「現に議場にいること」と解されているためオンラインによる本会議は現行法上困難とされております。一方で総務省は例は2年4月30日に委員会運営においてはオンライン化は可能との見解を発出されました。委員会運営にオンライン化の有効性を認識しながら今回において導入を否定するところに合理性はありません。本年5月27日には全国都道府県議会議長会は地方議会の委員会運営で認められているオンライン開催を本会議でも認めるよう政府に求めることを決議されました。本年1月29日には滋賀県大都市でオンラインにより模擬本会議を実施されております。裁判所においても既にweb会議等の運用を開始しております。よって、国および政府においては議場に参集できない非常時やその他必要と認められるやむを得ない場合には地方議会の判断で本会議運営をオンライン会議の手段で遠隔審議・議決が可能となるよう地方自治法を改正するよう強く要請する意見書を提出するものであります。IT技術の活用は議会のより一層の活性化も図れると思いますし、リスクマネジメントは議会にとって非常に重要であり、現時点でしておく必要があります。議員の皆様方の賢明な判断をいただきますようお願いを申し上げ提案理由の説明を致します。」
令和4年1月時点で、委員会のオンライン開催を可能とする条例または会議規則を改正済みの自治体は135団体となっています。1700以上ある地方議会においてオンライン化に対応したのは8%弱である状況は順調に導入が進んでいるとは言えません。オンライン化が進まない背景には高齢議員が多く機器に不慣れなことに起因しているようです。議会関係者が機器に不慣れな議員を手厚く支援してでもオンライン化を進めるべきだと思います。現に岐阜県の輪之内町議会では定数9人のうち8人が新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者になり、自宅待機をせざるを得なくなったことから定例会を継続できなくなっています。他にも多くの議会で例年通りの運営が為されていない状況にあります。議員には議会運営が滞らないように備える責務があると思います。
地方議会のオンライン化が進んでいない要因として、高齢議員が機器に不慣れだという問題以外に総務省が本会議への導入に慎重な姿勢を崩していないことも影響していると思われます。非常時に対する対応及び備えとして地方議会のオンライン化が導入されているわけですが、委員会においての備えであって本会議の備えにはなっていないというのなら合理性に欠けています。本会議でもオンライン開催が可能にならないと真に議会の責任を全うすることはできません。
また、議会のオンライン化は非常時に対する備えとしてだけではなく、通常時にもメリットがあります。無駄な議論も減らせると思いますし、記録も取りやすくなります。インターネット上での同時配信への対応も容易になるはずです。
多くの地方議会では議員に成り手が不足しています。平成31年の統一地方選挙においては全945選挙区の内、371選挙区が無投票となっています。実に40%弱に上ります。また、女性の立候補者は全体の約12%に留まっています。このような状況を打開するためにもオンライン議会の本格的な導入が必要だと思います。オンラインでの参加を出席と見なすことで子育てや介護に負われていた人たちにも政治に参加できる機会を得ることが出来るようになる可能性があります。
地方議会の本会議においてもオンライン開催を導入するべきという要望に対して金子総務大臣は「慎重に検討しなければならない」と言うに留まっています。委員会はオンラインでの開催が可能で、本会議ではオンラインの開催は認められないというのでは、せっかくのオンライン化が形骸化してしまう恐れがあります。地方議会のオンライン化を進めるにあたって委員会と本会議に区別する根拠が釈然としません。ある意味、委員会軽視のようにも思えます。総務省はその理由を明らかにするべきだと思います。
政府はデジタル田園都市国家構想を掲げ、自治体DXを強く推進しています。アナログの代表格である印鑑も無くそうとしています。コロナ化を契機にデジタル化の様々な取り組みを進めています。政府は地方議会の委員会においてはオンライン議会の導入を認めているにも関わらず国会でのオンライン議会の導入に関しては全く進んでいません。本来なら国が自ら範を垂れるのが筋のような気もします。憲法第56条の1項には「両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き議決することはできない。」と規定されています。オンライン国会を実現するには出席の解釈を状況に即して改める必要があります。令和4年3月に開催された衆院憲法審査会は「緊急事態が発生した場合等において本会議開催が必要と認められるときは、例外的に『オンラインによる出席』も含まれると解釈できる」という見解を示しています。これまでは議場に居ることを出席としていた自民党が野党の主張する解釈の変更を受け入れた形となりました。とは言うもののオンライン議会が可能となるのは緊急事態の発生時に限るということで与野党が合意しています。社会のデジタル化を積極的に推進するのであればオンライン国会に関しても制限を設けなくても良いと思います。ただし、すべて国会行事をオンラインで良いというわけではありません。開会時には天皇陛下をお迎えすることもあります。あくまでもオンラインでの出席も場合によっては可能ということであり、基本は議場での出席であるべきだとは思います。
当面は各委員会が視察や勉強会、意見交換会など正式な審議の場以外でオンラインを活用した会議を試行していくことになっています。緊急事態の定義をどうするかなど議論の余地も残っています。また、オンラインで参加している人物が本人なのかどうかをどうやって確認するか、採決で投じた票をハッキングされてしまわないか、など技術的な問題も残されているようです。
裁判所や企業や研究機関などでは当たり前のテレビ会議です。これを機に例外的な措置として考えるのではなく、前向き且つ積極的に国会においても導入を進めるべきだと思います。NICTによると「Beyond 5G 時代では、フィジカル空間とサイバー空間の双方において、時間、空間がさらに高度に制御されることにより、双方の空間は統合され、これまでのフィジカル空間だけでは実現でき得なかった未来をもたらすことが可能になる」と言います。そう遠くない未来にメタバース上で国会や地方議会が開かれるようになるのではないでしょうか。
参考資料:VR渋谷区議会 けんぽう渋谷区議
最後までご拝読を賜りありがとうございました。
参考資料
コロナ禍で議会は変わるのか~オンライン審議は地方が先行
https://news.yahoo.co.jp/feature/1718/
平成31年統一地方選都道府県議会議員選挙における無投票選挙区数の状況、総務省
https://www.soumu.go.jp/main_content/000642045.pdf
VR渋谷区議会 けんぽう渋谷区議 製作協力:いちたろうさん(https://twitter.com/ichitarok)
https://cluster.mu/w/e3190371-1076-47dd-9246-a67242f697f5
「オンライン国会」はなぜできない?阻むのは技術にあらず、日経新聞
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01573/022000002/
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