個人情報保護委員会って?&委員人事について

今日は何の日?透明美肌の日・・・おだしのひ・・・。

 個人情報保護委員会は平成15年に制定された個人情報の保護に関する法律に基づき設置された合議制の機関である。今年の通常国会に提出された個人情報保護審査会とは名前は似ているが使命は随分と違う。個人情報保護審査会は情報公開の可否を問うケースが多い。つまり情報を公開するべきだというニーズに行政や行政に関わる機関が正当に応えていないと思われる時に頼る機関である。個人情報保護委員会はどちらかという個人情報が意図せず漏洩された場合などに報告を受けることが多い。

主な業務は下記の通りである。

*個人情報等をめぐる国内外の状況変化等に対して制度的に取組む。

*漏えい等報告や個人情報の取扱状況等に関する相談・情報を活用することに加え、行政機関等に対しては定期的・計画的な実地調査を行うことにより公的部門及び民間部門の各主体に対する効率的かつ効果的な監視・監督を行う。

*個人情報等を含むデータが安全・円滑に越境移転できる国際環境を構築するため国際的な枠組みでの議論や米国・欧州等の各国・地域との対話等を通じて自由なデータ通信の発信や連携強化を図る。

*個人番号制度に基づき特定個人情報が行政機関等や事業者において適正に取り扱われるよう指導・助言、検査等を適時適切に行う。

*高い専門的・技術的知見を蓄積しつつ個人情報保護制度に関する企画立案、総合調整、監視・監督等の役割を適切に果たし実効性を確保するための体制強化を進める。

令和3年度は個人情報漏えい等事案に関する報告の受付を5846件行い、報告徴収を329件、立ち入り検査を4件、指導・助言を217件、勧告を3件、命令を1件行っている。マイナンバーに関する漏えい等事案に関する報告の処理は171件で指導及び助言が67件、報告徴収が62件、立ち入り検査が63件であった。その他、個人情報保護法相談ダイヤルにて21237本の苦情や質問を受け付けている。

 さて、個人情報保護委員会は委員長と常勤委員4名、非常勤委員4名の合計9名が委員として任命されている。今回は委員長の退任と常勤委員1名と非常勤委員1名の退任による人事案である。退任する非常勤委員は委員長に就任する人事案でもある。

 委員長に就任予定の藤原静雄氏は中央大学大学院法務研究科教授である。藤原氏は個人情報保護法が制定される際に尽力した第一人者である。個人情報保護法の逐条解説も執筆しており同法のエキスパートである。平成31年から2期にわたり個人情報保護委員会の非常勤委員を務めており委員会審議にも貢献している。

 以上のことから藤原静雄氏の委員長就任案は適任であり同意することが妥当であろうと考える。

 次に常勤委員に就任予定の清水涼子氏は長年にわたり監査法人に勤務し、地方公共団体の監査や内部統制に関わってきた経歴を持つ。地方行政制度調査委員時には行政の体制やガバナンスのあり方に関し答申を取り纏めている。大阪府監査委員も務める。今回の就任にあたっては全国知事会、全国市長会、全国町村会、全国都道府県議会議長会・全国市議会議長会・全国町村議会議長会のいわゆる地方六団体の推薦の受けてのものである。学識者の多い中、公監査に長けている清水涼子氏の見識は貴重であり、委員就任には適性が合致すると考え人事案には同意することが適当だと考える。

 最後に非常勤委員に就任予定の小笠原奈菜氏であるが48歳と群を抜いて若い。他の委員には50代の者すらおらず現委員長が退任すると全員が60代である。現在は東京都立大学大学院法学政治学研究科教授である。専門は消費者保護である。ドイツの瑕疵担保責任に基づく代金減額請求ができる規定を日本にも制定されることを主張した。2020年に日本でも契約不適合責任として減額請求できるように法改正が進んでいる。最近の小笠原氏の活動は青年年齢が18歳に引き下げられたことによる契約トラブルについて講義しているようだ。専門は民法。いらぬ勘繰りかもれないが私には左翼活動家と同じような匂いがしてならない。とはいえ、個人情報保護委員会は国体に関わる業務には携わらないことから小笠原奈菜氏が非常勤委員に就任するという人事案に同意しても大勢にも体制にも差し障りは無いもと考える。


参考

心配される消費者トラブルや、被害防止のため必要なこととは

http://iwate.kenren-coop.jp/04news/pdf/news_20220221_01.pdf

坂本雅彦ホームページ

坂本まさひこ  作家 国会議員秘書

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