特定NPO法人サラブリトレーニングジャパンについて

馬くいくと良いなぁ。

 世間で疑問を呈されるNPO法人には設立した際の共通した意図が見え隠れしているように思える。敢えて悪意をもって表現すると以下のようになる。

*公益性のある団体と思わせられる

*非営利団体なので金儲けではないと思わせられる

*寄付などで得た資金や非営利事業と認められた事業に対して課税されない

*自治体のお墨付きがある信用できる団体だと思わせられる

などが代表的なところだとう。NPO法人の行う事業が公益であるとは限らない。行政がカバーしきれないマイノリティーなサービスや事業、民間企業が参入しないニッチな市場やサービスなどを埋める存在として期待されるのがNPO法人の事業領域と解釈する。よって、NPO法人は収益事業も行えるし、利益を追求することもできる。事業領域も多種多様に認められており何だって出来ると言っても過言ではないだろう。NPO法人は株主がいないので収益の分配が出来ないが役員報酬は1名に支給できる。その他の理事にも職務に応じた報酬は払える。株式会社は出資者への利益の配分に規制はない。世の中の中小企業はみんなNPO法人にした方が良いのではないかと思えてしまう。上場企業や大企業にはNPO法人は不向きではあるが地域性の濃い中小零細企業はNPO法人の方が税制上有利に働く場面も多いだろう。いずれにせよ、NPO法人なんていらない、少なくとも制度の見直しは必要だと考える。

 さて、サラブリトレーニングジャパンという認定NPO法人が岡山県吉備中央市にある。引退した競走馬を引き取って調教し直して新たな道を歩ませるという事業を行っている。競走馬を引退する馬は年間5000頭もいるらしい。そのうちの多くが引退後どうなったか不明になっている。そこでサラブリトレーニングジャパンで引退した競走馬を引き取って改めて調教して馬の残りの余生を新たな道で全うさせてあげようという取り組みである。

 この認定NPO法人サラブリトレーニングジャパンの収入の70%以上が寄付金と助成金で占められており、中でも吉備中央市のふるさと納税による交付金は68%にも上る。このサラブリトレーニングジャパンの理事には吉備中央市の市長である山本雅則氏も名前を連ねている。吉備中央市のふるさと納税に市長が関わる法人が参画し、その法人の収入の大半が公金で占められているというと胡散臭く感じてしまう。特段、違法行為ではないにしろ釈然としない。このサラブリトレーニングの事業報告書を見ると再調教は株式会社岡山乗馬倶楽部に全て委託されている。交付の大凡半分はこの岡山乗馬倶楽部に委託費として支払われている。サラブリトレーニングのHPによると事業場は岡山県加賀郡吉備中央上田西2393-11と明記せているが、この住所は岡山乗馬倶楽部とまったく同じ。更にサラブリトレーニングの前代表理事は岡山乗馬倶楽部の代表である西崎純郎氏であり同一人物である。つまり、サラブリトレーニングと岡山乗馬俱楽部は一心同体であると思われる。

 ふるさと納税を利用して公金の交付をNPO法人で受けることで課税を免れ、交付金を経営や運営が事実上一体となっている株式会社に委託費や外注費としてNPO法人から支給する。要するに岡山乗馬倶楽部は委託費等としての売上を計上すると同時に人件費などの販管費の一部を委託費としての収入で共有することに繋げることも可能となり、その効果は小さくない。複数の疑義やトラブルによってサラブリトレーニングの代表理事から西崎純郎氏は単なる理事にはなっているが、岡山乗馬倶楽部とサラブリトレーニングの関係も取引にも変化はない。同一人物が経営する株式会社がNPO法人の公益性を持たせる印象を利用して課税対象外の交付金を資金調達したというロジックに思える。ましてや、そのNPO法人の理事に市長が名を連ねているのだから尚のことだ。公益性がある印象を持ちやすいNPO法人のイメージと公共性の強いふるさと納税のイメージの親和性の高さをうまく利用した資金調達モデルなのではないか。実態は岡山乗馬倶楽部の一事業にすぎないのだろう。

 さて、岡山乗馬倶楽部が取り組む「ホースセラピーの研究」という産学官連携事業に関して正な交付金を申請し受領したという疑惑が持ち上がっている。岡山乗馬俱楽部は岡山理科大、岡山大学、某精神科神経科病院の医師と連携してホースセラピーに関する研究を行うとして総務省地域循環創造事業交付金を申請し、自治体を通じて2500万円を受け取っている。事業を不審に思った北山医師の陳述書によると、申請時に明記している岡山大学心療内科研究室との連携の事実はなく、そもそも岡山大学内に心療内科研究室なるものは存在すらしていないという。岡山理科大に問い合わせてもホースセラピーの研究は行っていないという回答。交付金受領後、北山医師が岡山乗馬俱楽部で行った検診は、倶楽部の会員6人と従業員12名と宮崎県から来た1名の全19名であり、研究の実態はなかったことを陳述している。このことが事実であるとすれば公金の不正請求か詐欺が疑われてもしようがない。当初携わった医師の陳述書は総務省にも提出されているとのことだが総務省の回答や見解は得られていない。岡山乗馬俱楽部はホースセラピーの研究の事業計画ではセラピー専用として建設された厩舎を通常の倶楽部の会員に1日5000円で利用させている。このことに関して通報を受けた総務省は目的外の施設の利用にあたることを認めている。また、計画に明記されている周辺公道を利用したトレッキングに関しても1回たりとも開催されていない。開催どころか周辺住民に対する説明すら行っていない。さらに事業計画にある耕作放棄地において馬の飼料やおがくずを栽培するという事業も手付かずで行われていない。このような状態ではテンプラ事業と揶揄されても仕方がないのではないか。多額の公金が交付された事業であるから有耶無耶にされることは許されない。

 本件については私から改めて総務省に地域循環創造事業交付金を交付した事業として一部の情報提供を行い見解と今後の方針を示されるように依頼をした。同時に岡山県庁に当該NPO法人の事業が特定非営利事業と認められる判断基準と問うた。引退した競走馬を無料で引き取り、再調教を施した上でセリにかけて販売する行為は一見営利事業と受け取れる。サラブリトレーニングが公開している事業報告書に明記されているバランスシートには資産勘定に保有する馬の名称とそれぞれの価格が具体的に明示して掲載されている。P/Lにおいては期末の棚卸額と期首の棚卸額の差額がなぜか販管費の一項目として掲載されている。馬は商品在庫としての扱いとして掲載されるのか。一頭ごとに価格が違うことから再調教後の収益は一律にオートマティックに見積もられているわけでもなさそうだ。ということは価値の高い馬がいれば低い馬もいるということになる。馬ごとの価格の変動は一円でも高く売る為に他ならない。世の中には古美術商が溢れているが、馬のリセールもそれに類似する商行為のように思える。商品価値の再生産によって成り立つビジネスである。引退馬に対する感情論を一旦排除して俯瞰すると営利事業であるように私には思える。また、ふるさと納税の対象事業に市長が理事に就任している事業所を採用することについての概観的な妥当性について担当省庁に問うてある。後日、これらの回答が届いたらここに追記する所存である。


問 自治体が参加するふるさと納税制度に関して、自治体の長が理事に就任しているNPO法人への寄付募集を自身が長を務める自治体のふるさと納税のコンテンツに参画させることに問題はないのかどうかをご教示ください。

  ⇒参議院総務委員会担当者

   地方自治法第142条に「普通地方公共団体の長は、当該普通地方公共団体に対し請負をする者及びその支配人又は主として同一の行為をする法人(当該普通地方公共団体が出資している法人で政令で定めるものを除く。)の無限責任社員、取締役、執 行役若しくは監査役若しくはこれらに準ずべき者、支配人及び清算人たることができない。」とされています。

   請負の解釈は当事者の一方が仕事を完成し、相手方がその結果に対して報酬を与えるという民法所定の請負のみならず広く経済的な取引契約の全てを含むという解釈をするべきと逐条解説されている。一方、長が公費を出資した会社の社長となることは差し支えないとも記されている。

  私見⇒ふるさと納税によって集めた資金を支給している法人に町長が理事に就任していることに関しては違法である可能性があるものと理解した。長の兼業禁止が前提として規定される中で、請負という行為を広義で解釈すると仕事を完了して支給される報酬も仕事の公益性や価値を評価して支給される交付金も請負の範疇にあるといえるのではないだろうか。だとすれば町長の当該NPO法人の理事への就任は長の兼業禁止の条項に抵触するものと考えることもできる。


問 認定NPO法人サラブリトレーニング・ジャパンの事業に関して、当該NPOが引き取った引退した競走馬は決算上は資産勘定に一頭ずつ価格を明示して計上している。再調教をしてオークション等で売却しているとみられるが、この行為が特定非営利活動に関わる事業であるとする根拠をご教示ください。

  ⇒岡山県県民生活部県民生活交通課県民協働推進班

   特定非営利活動促進法第2条第1項の規定より、「特定非営利活動」とは別表(第2条関係)に該当する活動であり、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを目的とするものです。お問い合わせのあった当NPO法人につきましては、法人の定款第3条及び第4条により、引退した競走馬のリトレーニングを行うことで、乗用馬などのセカンドキャリアに繋げ、社会教育の推進やスポーツの振興に寄与することを目的としています。引退した競走馬のチャリティーオークション事業は、この目的に基づいて実施されるものと認識しており、特定非営利活動促進法第2条第1項に規定する「特定非営利活動」の要件を満たすものとしています。

  私見⇒岡山県の回答には疑問が残る。サラブリトレーニングジャパンのHPにはチャリティーオークションという表現は一切使われていない。再調教を受けた馬の販売をリセールと呼んでいる。NPOの定款や公開が義務つけられた事業報告書ではそれをチャリティーオークションと呼んでいる。例えば、2022年度の事業計画書によると年間の仕入額として計上しているのは44万円に過ぎない期首棚卸残高として一頭ごとの個別の金額を計上している。サトノアクセル123万円、ルシャドール162万円、アポロホープ134万円等合計8頭で829万円が資産計上されている。そもそもP/L上で期首棚卸残高と期末棚卸残高の差を費用計上していることに疑問を持つ。在庫の増減は経費なのだろうか。ほぼ無料で引き取った競走馬に対する価格を背一定する基準が存在するのだろうか。価格を設定するということは売上を期待しているからである。仕入れてきた馬を再調教しリセールして販売する事業が赤字あるからチャリティーオークションであるとサラブリトレーニングは主張するのか。これが黒字だったとしても運営費の補助に使うので慈善事業だというのであろう。NPO法人は非営利団体でありながら利益を追求することもできる。決して違法行為ではない。しかし、営利事業は課税対象となることから非営利事業と切り離して決算しなければならない。黒字赤字は関係ない。チャリティーオークションとリセールという言葉を巧みに使い分けているようにも受け取れるがいかがか。ちなみにサラブリトレーニングジャパンが馬のオークションを開催するための許可申請をする際に岡山動物愛護センターに実際に勤務していない動物愛護責任者名を記載したという疑いもある。又、前理事長が兼務する岡山乗馬倶楽部が馬の訓練や販売を行うための許可を県から受けてなかったとして行政指導を受けたという。いずれにせよ、認定NPO法人サラブリトレーニングジャパン関して公益性と運営内容の実態を行政は今一度精査し確認する必要があろう。


参考

提供された資料(今回開示しません)


その他 参考

NPO法人サラブリトレーニングジャパンHP

https://www.thoroughbret.org/

サンクスホース ふるさと納税

https://furusato-kibichuo.jp/project/horse.php

TCC JAPAN

https://company.tcc-japan.com/

認定特定非営利活動法人サラブリトレーニング・ジャパン 内閣府ポータル

https://www.npo-homepage.go.jp/npoportal/detail/033000777

認定NPO法人データベース

https://data.congrant.jp/

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