調達価格等算定委員会の国会同意人事案について

美ソーラーひばり。

 調達価格等算定委員会の国会同意人事案についてである。同委員会では再生可能エネルギー電気の調達に関わる価格目標を設定し、入札実施指針を策定している。去る2月7日に2025年度の意見を取り纏めている。太陽光発電(10kW未満)は15円/kWh、調達期間終了後の売電価格は10.0円/kWh。太陽光発電(10kW以上入札対象範囲外)は屋根設置が11.5円/kWh、地上設置が8.9円/kWh、達期間終了後の売電価格は11.6円/kWと結論を出した。また、風力は12円/kWh、地熱は19~40円/kWhとした。それ以外は入札となる。価格の推移は微減か横ばいという印象を受ける。この2012年に始まったFIT制度であるが買取価格は下がってきたが再エネ投資が一気に普及したことで需給バランスに問題が出ている。太陽光パネルからの発電が有無を言わせず電力会社に送られてきて買わされている現状にどこまで電力各社が耐えられるか心配である。九州電力は出力を制限することを発表している。東電も出力制限の検討に入った。再エネ依存をこれから益々進めようという国の思惑と一方的に買わされる電力会社の体力がバランスできなくなることが怖い。国は蓄電技術開発への投資と国内送電網も整備を急がないと再エネ発電は頭打ちになる可能性がある。

 さて、今回の人事案は委員全員である5名に対する人事案である。5名共に非常勤である。任期は3年、委員長は委員の互選で選ばれる。

 新任予定の新山由美子氏は東京大学生産技術研究所教授である。同じく経産省の電気ガス取引監視委員会の委員も兼任している。つまり、経産省の御用学者という印象を受ける。とはいえ、非常勤は極端に報酬が少ないため一定の見識を持った希望者は少ないのかもしれない。会合は年に8回程度である。政府のエネルギー政策の諮問機関の委員を多数歴任している。エネルギーシステム、電気工学の専門家であり、脱炭素法案に関する参考人も務めた。同委員会で専門性を活かすことが出来るため新任には賛成するべきだと考える。

 再任予定の秋元圭吾氏は新山氏同様に典型的な経産省の御用学者であろう。切れ目なく経産省のエネルギー関係の各種委員会の委員を歴任している。現在は東京工業大学科学技術創成研究院教授である。地球温暖化など環境問題にも見地を持つ。同委員会の議論の継続性を鑑みて再任に同意するべきだと考える。

 再任予定の安藤至大氏は日本大学経済学部教授である。47歳の委員と言うのは稀に見る若さだと感じる。経産省の電気ガス関係の各種小委員会で委員を歴任している。経済学的見地でのアプローチできる同氏は貢献に与すると思われることから再任に賛成するべきだと考える。

 再任予定の大石美奈子氏は消費生活アドバイザーの肩書を持つ。消費者トラブルの解決に関わる業務であるらしい。なぜ大石氏が同委員会の委員であるのか全く意味不明であるが、大石氏は運輸審議会(国交省)の委員も兼任している。以前に総合資源エネルギー調査会電気ガス事業分科会電気ガス基本政策小委員会の委員をしていたことから同委員会委員に抜擢されたのであろうが、それにしても専門性を活かせる人事とは思わない。大石氏を委員にして男女比のバランスを取ろうとしたのだろうか。率直に言うと大石氏ではなく他の人事に期待したいところである。

 再任予定の松村敏弘氏は東京大学社会科学研究所教授である。秋元氏同様に経済学を専門としている。総合資源エネルギー調査会新エネルギー小委員会や電気ガス基本政策小委員会の委員を歴任し、再生可能エネルギーの固定価格買取制度の見直しに関わった実績がある。公共経済の専門家であることも加味して松村氏の再任には賛成するべきだと考える。

 以上、同委員会の国会同意人事に関して大石氏には疑問が残るが大凡同意するべきだと思料する。


参考

調達価格等算定委員会 経産省

https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/shingikaitou_10_02_02.pdf

調達価格等算定委員会「令和6年度以降の調達価格等に関する意見」について

https://www.gov-base.info/2024/02/07/215474

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