川口市での飲酒運転での死亡事故に危険運転致死傷に問われない件
事っ故ーあるのみXXXXX
去る9月29日、埼玉県川口市で、飲酒運転をしたうえ、一方通行の道を時速100キロ以上で逆走した乗用車が、別の車に衝突して男性が死亡した事故が発生した。
https://x.com/Parsonalsecret/status/1848073302629404718
映像を確認すると一方通行の恐らく幅4メートルほどの道路を100キロ以上のスピードで交差点に突入している。交差点ではブレーキは一切踏まれておらず減速した様子はない。交差点で出くわした乗用車は側部に衝突されて車ごと跳ね飛ばされ死亡している。暴走車を運転していたのは18歳の中国籍の男で、呼気からはアルコールが検出された。加害車両には事故を引き起こした本人と友人の2人が乗車していた。川口署は中国籍の運転手を現行犯逮捕し、危険運転致死と道交法違反(酒気帯び運転)の疑いでさいたま地検に送致していた。
事故を知らせる報道から窺い知れる違反内容としては、酒気帯び運転(呼気から0.15ミリのアルコールが検出)、速度超過70km以上(生活道路の制限速度は30km)、一時停止違反(標識無視)、一方通行逆走、救護義務違反(警察に通報後に2人は逃亡している)、前方不注意などが考えられる。
警察は逮捕時には「酒を飲み、一方通行を逆走して交通事故を起こした」と供述していることから容疑を自動車運転処罰法違反(危険運転致死)で捜査を進めるとしていた。ところが10月20日にはその方針が一転する。さいたま地裁は容疑罪名を自動車運転処罰法違反の危険運転致死から過失運転致死の非行内容に切り替え、さいたま家裁に送致した。事故で人を死傷させたドライバーに対する罪は大きく2つある。故意に危険な運転をした場合「危険運転致死傷罪」。刑の上限は懲役20年。一方、不注意だった場合は「過失運転致死傷罪」。上限は懲役7年で刑が大幅に軽くなる。一見すると情状の余地がないくらい悪質な行為であり、容疑者は遵法意識の極めて低い人物だと思われる。しかし、逮捕当時より刑の低い罪状に変更して送致するに至っている。このことに対してネット上ではたくさんの疑問を呈する声が上がっている。刑事裁判の結果としてより低い刑が言い渡されるならまだ納得できないこともない。しかし、今回は立憲段階で検察が事前に罰則規定の軽い罪の容疑に切り替えたのだから疑問や非難の声が上がるのもやむを得ないことかもしれない。
地検は過失運転致死に非行内容を切り替えた理由を次のように説明している。
*逆走した一方通行道路は二輪車を対象から除外していたこと
*危険運転致死傷罪の規定では対象を限定する一方通路道路は逆走による危険運転が成立しないこととなっている
*酒帯び運転であったてもアルコールの数値が低かったこと
*車が走れる広さの道路であったこと
地検の判断根拠となるはずの自動車運転処罰法の規定を確認する。
(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
→容疑者が飲酒していた事実は証明できるが、その影響により正常な運転が困難であったどうか不明である。
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
→法定速度の3倍以上という高速ではあるが制御することができないとは言えない。
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
→100キロで走行する為の技術は免許取得時の前提として有していて当然と言える。
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
→該当しない
五 車の通行を妨害する目的で、走行中の車(重大な交通の危険が生じることとなる速度で走行中のものに限る。)の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転する行為
→該当しない
六 高速自動車国道(高速自動車国道法(昭和三十二年法律第七十九号)第四条第一項に規定する道路をいう。)又は自動車専用道路(道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第四十八条の四に規定する自動車専用道路をいう。)において、自動車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の前方で停止し、その他これに著しく接近することとなる方法で自動車を運転することにより、走行中の自動車に停止又は徐行(自動車が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。)をさせる行為
→該当しない
七 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
→該当しない
八 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
→該当する(施行令で逆走を通行禁止道路に該当すると規定している)
第三条 アルコール又は薬物の影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、そのアルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を負傷させた者は十二年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は十五年以下の懲役に処する。
→アルコールの摂取は認められるが正常な運転に支障が生じる恐れがある状態であったとは言い難い。
2 自動車の運転に支障を及ぼすおそれがある病気として政令で定めるものの影響により、その走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で、自動車を運転し、よって、その病気の影響により正常な運転が困難な状態に陥り、人を死傷させた者も、前項と同様とする。
→該当しない
(過失運転致死傷アルコール等影響発覚免脱)
第四条 アルコール又は薬物の影響によりその走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転した者が、運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合において、その運転の時のアルコール又は薬物の影響の有無又は程度が発覚することを免れる目的で、更にアルコール又は薬物を摂取すること、その場を離れて身体に保有するアルコール又は薬物の濃度を減少させることその他その影響の有無又は程度が発覚することを免れるべき行為をしたときは、十二年以下の懲役に処する。
→アルコールの摂取は認められるが正常な運転に支障が生じる恐れがある状態であったとは言い難い。事故発生後に警察に自ら通報したにも関わらず現場から逃走していることから飲酒の上で運転していたことを隠蔽しようとしたのではないかという疑念は残る。
(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
→該当する。
上記より自動車運転処罰法は、事故を起こした容疑者がアルコールを摂取しているかどうか、自動車を制御できないほどのスピードを出していたかどうかに主眼が置かれた規定となっている。
当該事故の加害者にアルコールを摂取した事実はあるが0.15mlという検出した数値は酒気帯び運転の処分の対象となる最低値であり量は決して多くない。スピードに関しても自動車運転の技能として100キロが速度的に制御不能になるとは断定しがたい。第2条の8においては紛れもなく該当しているはず。該当項目があるにも関わらずさいたま地検は危険運転致死傷の適用を見送っている。一方通行道路の逆走は通行禁止道路にあたることが政令で規定されている。さいたま地検の判断はアルコールの摂取量とスピードにとらわれ過ぎていたのではないか。第2条に列記されている事項の中で地検が勝手に優劣をつけるべきではない。とはいえ、同様のケースにおける裁判所の判断は危険運転致死傷を適用しないケースが多いのも事実。法の不備というよりも過去の判例に引っ張られ過ぎていて当該法の運用に支障が出ている状態なのかもしれない。
酒気帯び運転で、スピード違反をして、一方通行を逆走して、死亡事故を起こし、事故後に通報はしたものの逃亡したとなると悪質極まりなく、被害者の親族や国民に処罰感情が高まるのは当然のことであるし、危険運転に問えないのは法に不備があるのではないかという意見が出てくるもの仕方がないことだ。該当する項目があっても適用しないのだからないに等しい。
第二条の8以外にも複数の項目に渡って少しずつ、もしくは一部が該当しているのは間違いない。このことから、当該ケースにおいて危険運転致死傷に問うには柔道でいう〝合わせ技一本″として事故の内容や事情を複合的に包括的に要素を纏めて判断することができるように規定を改正することも有効だと考える。
この記事に注目が集まったのは容疑者が中国人であったからであろう。近頃では観光ビザで日本にやってきて日本の運転免許に切り替える中国人が増えているそうだ。日本の運転免許を元に国際免許証を取得するとジュネーブ条約の加盟国の約100ヶ国で運転できる。中国の運転免許で運転できる国は米国の一部、イギリス、ドイツなど10ヶ国程度しかない。今回の事故に限らず中国人だから危険運転致死傷を適用しなかったということは断じてないだろうし、そのような偏った検証をしたつもりはない。1民族に対する特別扱いや差別的扱いが問題になったわけではない。しかし、ネット上ではそう主張している人も少なくない。
その背景にはネット上で大きな問題となっている中国人による交通事故の多さや免許証の取得方法にある。
この問題については参議院調査室と参議院法制局へそれぞれ調査依頼をしている。回答があり次第公開することとする。
参考
男性死亡…18歳の車が突っ込む 飲酒運転で逆走、発覚しないようスピードを上げ速度100キロ超か…一時停止も無視、危険運転は成立せず 衝突するまで「運転は困難に陥っていない」埼玉新聞
https://www.saitama-np.co.jp/articles/105530/postDetail
時速100km超の飲酒逆走死亡事故に「危険運転」不適用 専門家「法改正しかない」
KSB5
https://news.ksb.co.jp/ann/article/15473043
飲酒逆走事故 中国籍の男を送検容疑より刑軽い過失運転致死で家裁送致 さいたま地検
KSB5
https://news.ksb.co.jp/ann/article/15472919
浜松5人死傷、運転の中国人女性に逆転無罪判決 東京高裁 産経新聞
https://www.sankei.com/article/20190829-DVJ5VBCJRRIZTMH5YYU7KKLHOE/
対向車線のトラックに衝突、死亡させる…危険運転致死罪で中国籍の男起訴 神奈川新聞
https://www.kanaloco.jp/news/social/article-1106496.html
髙橋𝕏羚@闇を暴く人 映像
https://x.com/Parsonalsecret/status/1848073302629404718
“危険”か“過失”か 「猛スピード運転」と死亡事故 NHK
https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4836/
自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律に関するQ&A法務省
https://www.moj.go.jp/content/001267532.pdf
その他、法務省の「自動車運転による死傷事犯に係る罰則に関する検討会」
https://www.moj.go.jp/content/001426035.pdf
https://www.moj.go.jp/content/001425779.pdf
https://www.moj.go.jp/content/001426217.pdf
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