個人情報保護委員会委員の国会同意人事について
個人情報保護委員会委員の国会同意人事についてである。ちょうど1年前に同委員会委員の同意人事案についてレポートした記憶がまだ残っている。
最初に人事案の内容について紹介する。任期は5年、委員の定員は8名である。常勤委員の新任候補の藤本正代氏は64歳で情報セキュリティー大学院大学の教授である。富士ゼロックスにも関わっているようである。内閣サイバーセキュリティセンターの普及啓発・人材育成専門調査会の委員を経験。研究者としてサイバーセキュリティやリスクマネジメントとの接点を探る研究に注力。現在は、「イノベーションとセキュリティーの同時推進」をテーマとし研究に取り組んでいる。なんとなくこの人物を常勤で同委員会に閉じ込めてしまうのは勿体ないような気もするがサイバーセキュリティ関係の研究者としては第一人者と言えるようだ。当然、藤本正代氏の新任案には賛成するべきだと考える。
もう一人、非常勤委員の新任案に宍戸常寿氏が上がっている。東京大学大学院法学部政治学科の教授である。ん?どっかで聞いたような名前だと思っていたら昨年に調査した衆議院議員選挙区画定審議会委員の非常勤委員に任命されていた。個人情報保護委員会も非常勤での人事案であるから兼任することは可能と思われる。宍戸氏は憲法学者ではあるが情報法にも明るい。「デジタル時代の「公共」をめぐる法と政治の相互作用に関する研究」「コロナと共に生きる世界・社会と法」などの論文がある。新型コロナウイルス感染症対応に関する有識者会議構成員も務めた。現在は日本学術会議特任連携会員、情報法制学会運営委員、日本公法学会理事、法と教育学会理事、憲法理論研究会運営委員を兼任しており日本の第一線級の法学者である。私も宍戸氏の噂は学内で聞いたことがある。学生時代からずば抜けた天才で法学部ならでは慣習である学士助手に選ばれ博士課程をすっ飛ばした飛び級男なのだ。法学部は年に400人いるが学士助手は3~4名いたら多い方だと言われている天才中の天才。とにかく、宍戸常寿氏を非常勤で起用できるならば起用するべきだと考える。
同委員会の主な業務は下記の通りである。
*個人情報等をめぐる国内外の状況変化等に対して制度的に取組む。
*漏えい等報告や個人情報の取扱状況等に関する相談・情報を活用することに加え、行政機関等に対しては定期的・計画的な実地調査を行うことにより公的部門及び民間部門の各主体に対する効率的かつ効果的な監視・監督を行う。
*個人情報等を含むデータが安全・円滑に越境移転できる国際環境を構築するため国際的な枠組みでの議論や米国・欧州等の各国・地域との対話等を通じて自由なデータ通信の発信や連携強化を図る。
*個人番号制度に基づき特定個人情報が行政機関等や事業者において適正に取り扱われるよう指導・助言、検査等を適時適切に行う。
*高い専門的・技術的知見を蓄積しつつ個人情報保護制度に関する企画立案、総合調整、監視・監督等の役割を適切に果たし実効性を確保するための体制強化を進める。
参考
個人情報保護委員会について
https://www.ppc.go.jp/aboutus/commission/
宍戸 常寿 ししど じょうじ 一般社団法人 情報社会デザイン協会
https://dsdesign.org/member/profile-07/
藤本 正代 INSTITUTE of INFORMATION SECURITY
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