電波監理審議会委員の国会同意人事案について
電波監理審議会委員の国会同意人事案についてである。昨年に引き続いての調査なので一部を去年のレポートから引用する。
電波監理審議会とは電波・放送の規正に関する事務の公平かつ能率的な運営を目的とする郵政省の付属機関である。1952年設置。関係事項を調査・審議し、電波法・有線放送規正法に基づく総務大臣の処分に対する異議申立を審査・議決する。チャンネルや周波数の割り当て計画、放送局の免許、無線の技術基準など省令の改正、放送局の施設や技術の問題点や財務面だけでなく、番組が政治的に公平かどうか、事実に即した報道が行われているかどうかも委員会の答申の対象となる。
昨年の調査時にはBS4Kへの参入が2業者に認められたが、その両方が通販番組を放映する事業企画であったことに対する疑問を抱いた。
本年は電波及び放送の規律に関して認可を得ている各放送局の外資規制に関して厳密に調査し厳格に対処して欲しい。議決権を持たない形をとりつつ放送各局は外資規制を超えた株を外国企業に保有されてしまっている。上場企業株は市場の株式取得は制限できないので放送局が自主的に街区企業が取得することを制限することは不可能である。現状を打開する法制を促す答申を電波監理審議会においてもするべきである。
放送法では処分されていないが、NHKの誤った国際放送の発信と対処、民放各局の偏向報道などに関しても積極的に審議し答申すべきである。兵庫県での告発文書問題や出直し知事選挙の報道では事実ではない情報が多数放送されていることについて本審議会は踏み込んだ答申を行うべきであった。
5Gの電波帯の新たな割り当てと特定基地局の開局認可についてはソフトバンクが16年間の認可期間を得て100MHz幅1枠を抑えた。これでドコモとKDDIとソフトバンクが200MHz、楽天だけが100MHzだという状況になる。ちなみに今回の募集にあたり楽天は応募せずソフトバンク1社のみの応募であった。審査基準となる財務や投資負担額などのハードルが高かったために楽天は見送ったのかもしれない。いずれにせよ6年後には5Gの提供地域は格段に増しているはずである。
さて、同意人事案であるが新任の非常勤が1名、再任の非常勤が1名の計2名の人事案である。任期は3年、委員は会長を含め全員が非常勤である。新任案の西村暢史氏は関学大法卒、神大院法卒の学者であり民間企業での勤務経験はない。現在は中央大学法学部教授である。公正取引委員会競争政策研究センターの研究員の経験がある。専門は独禁法、競争法。情報通信審議会専門委員、情報通信行政・郵政行政審議会委員など総務省の各種検討会の構成員を歴にしておりあからさまな御用学者だと思われる。結論ありきの御用学者は本来不必要だと思うが今回の人事案は非常勤であり他の委員が4名いること考慮すると影響力は大きくないと思われるので賛成してもかまわないという概観を示しておく。
非常勤委員の再任案である矢嶋雅子氏は慶応大卒の弁護士であり、コロンビア大ロースクールも修了しておりニューヨーク州弁護士でもある。西村あさひ法律事務所所属で慶応大学大学院教授も務める。保険約款など金融商品に係る紛争や株主代表訴訟などにも従事、情報通信関係にも詳しい。経産省第四次産業革命研究会委員、三菱総研社外取締役、レゾナックHD社外取締役にも就いている。矢嶋氏にはNHK国際放送での誤情報の放送事故、兵庫県での告発文書に関するテレビ報道の真偽に関する答申などを総務大臣に積極的に行うなど、放送倫理や事故対応や防止に関して取り組んでいただきたい。本審議会において唯一の弁護士である矢嶋氏の見識や助言は有用であろうと思われる。昨年の答申は不十分であったことから迷うところだが矢嶋氏の再任案には賛成することが適当だと考える。
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