運輸審議会委員の国会同意人について

 運輸審議会委員の国会同意人についてである。運輸審議会の役割は運送事業の免許、許可やその取消し、運賃などの設定、変更の認可などに関する諮問についての審議を行い、国土交通大臣に答申・必要に応じた勧告などをすることである。委員の任期は3年で定員は6名、常勤2名と非常勤が4名である。

 本委員会で専ら多い審議は運賃の改定である。JR九州、JR北海道、JR西日本では軒並み14~17%程度の運賃の値上げが昨年度に審議され承認されている。本年4月から適用されることになっている。エネルギー価格の高騰の影響かと思いきや参考資料にはカーボンニュートラルに係る投資の増大が主な値上げの理由となっている。どうにも合点がいかない。定期券の値上げは20%を超えている。(割引率を下げる)政治家は口をそろえて賃上げを謳い、政党によっては減税を主張する。しかし、5%などという賃上げでは済まないくらいに産業界、経済界のコストはアップしている。当然、物価上昇に連動して国民の出費も跳ね上がる。ほんとうにこれで良いのだろうか。話を運輸コストに戻すが、貨物運送料金も当然値上げが申請されて概ね8%の上昇が予想される。この上昇コストの多くは物価に転嫁される。運送業界ではコストカットで吸収する余地がほとんどの企業で残されていない。働き方改革の運送業界への本格適用の影響もあり投資が行われて財政的にも既に負担を強いられている。それでも今も尚、他産業と比較して年間労働時間は約2割長く、年間所得額は約1割低く報われない状況が続いている。このままでは運輸業界は崩壊が危惧される。外国人の育成就労による人材を送り込むことで解決できる問題ではない。自動運転技術の推進、海上輸送、鉄道輸送のコスト見直しなど相互に互助する機能を政府が後押しし援助することを検討すべきである。

 さて、非常勤の再任である三浦大介氏は成城大学大学院法学研究科前期を修了。高知大学人文学部助教授を経て現在は神奈川大学法学部教授を務める。行政法、自治法が専門。論文に「道路による都市空間の創造および管理における法的課題」「公物管理法制としての道路法の課題」などがある。証券会社でも勤務歴がある。フランスの行政法にも詳しい。専門性を活かせるとは思えないが俯瞰的かつ客観性を持って事案に取り組んでいただきたい。三浦大介氏の非常勤での再任案を明らかに否定する理由は見当たらないことから任命には賛成するべきだと考える。

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