さようなら、つば九郎、いつも“えみふる”

着ぐるみのきぐ。。。鳥がコトリ・・・。

ヤクルトスワローズのマスコットつば九郎一筋に30年

 去る2月16日に東京ヤクルトスワローズのマスコットの人気マスコットである「つば九郎」が亡くなったという突然の報道に驚いた。聞けば亡くなったつば九郎の中の人はまだ52歳だったという。日本人男性の平均寿命が81歳だと言うから30年も早かったということになる。

 中の人は沖縄のキャンプ地を訪れた後、2月4日に帰京するために空港に向かい、搭乗口付近で突然倒れ、心臓マッサージを受けつつ病院に搬送されたとのこと。6日になって球団はつば九郎の出演日程の多くを体調不良のためにキャンセルすることを発表した。つば九郎の公式ブログは2月4日から更新されておらず既に重病説が流れていたらしい。そして16日に肺高血圧症の為に帰らぬ人となったことが報じられた。

 聞くところによると着ぐるみに入る仕事はかなりのハードワークらしい。長時間、中に入っていると息苦しくなるそうだ。確かにそうかもしれない。バイク用のフルフェイスのヘルメットが目の部分しか開いていなかったら苦しくて被っていられない。息苦しいだけではない。冬以外は中に熱が籠ってしまい熱中症になる恐れがある。イベント運営会社によると多くの現場では1回の活動を30分以内に制限しているらしい。特に夏場は熱中症になるリスクが高まるために20分までとすることが多いとのこと。別段、法律による規定はないが労働災害を未然に防ぐための一定のガイドラインが業界内には存在する。

 つば九郎の中の人が亡くなった原因と着ぐるみを結び付けているわけでない。とはいえ、着ぐるみによるパフォーマンスは思った以上のハードワークであることは間違いない。私は某政党のウサギ型のキャラクターの着ぐるみを見たことがあるが、見た目は大きいが中のサイズは実は随分と小さいし狭い。体の大きな大人の男性が入ることは容易くない。多くのキャラクターが見た目以上に中は窮屈な状態あると察する。この機会に着ぐるみを利用する業者は運用上の安全に配慮したガイドラインを設けることや一回の活動が過度にならないように管理する体制などを見直して頂きたい。それこそ、労災に至らぬように。

 さて、つば九郎は余人に代え難い独特の魅力を持っていた。フリップ芸で毒舌を吐こうと、やさぐれた態度を露わにしてもつば九郎が持つ独特の魅力によって観客にはユーモラスに映った。決して美しくもなく言いたい放題に毒を放つマツコ・デラックス氏が視聴者から好感されている。有吉弘行氏もそうだし、カンニング竹山氏もそうだ。ぷんぷんしていても愛されるキャラ。つば九郎もそう、誰も傷つけない毒舌を吐ける稀有な存在の一人であった。いるだけで愛嬌を感じた。たとえ中の人のそれが素の性格であったとしても30年以上も続けて来たのだから様々な努力もしていたことだろう。つば九郎のようなメタボの球団マスコットは他では見なくなった。他球団のマスコットはバク転などアクロバティックな芸をウリにしていることが多い。その中でのろまなメタボ体型をしたつば九郎は独特の異彩を放っていた。つば九郎の姿に一種のノスタルジックさも感じられた。つば九郎の二代目は見たいような見たくないような複雑な胸中になる。偉大で唯一無比であったとも言える初代つば九郎の後を継ぐことは容易ではない。

 つば九郎の中の人は惜しまれつつ飛び立った。天国でもきっと愛されるに違いない。つば九郎の中の人の功績を称えると共にご冥福を祈念する。

坂本雅彦ホームページ

坂本まさひこ  作家 国会議員秘書

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