会計検査院情報公開・個人情報保護審査会の国会同意人事案について
あん審査。
会計検査院情報公開・個人情報保護審査会の国会同意人事案についてである。個人情報保護審査会は個人情報の適切な取扱いを監視し、個人情報を保護するための措置を提言する機関である。会計検査院法第19条に規定され、行政機関の保有する情報の公開に関する法律及び個人情報の保護に関する法律を根拠に会計検査院院長の諮問に応じ審査請求を調査審議する機関として設置されている。委員は3名で構成され、全員が非常勤委員である。
本会の令和6年の答申は4件。会合は年5回だけ。情報公開に対する不開示決定が覆える答申を出したのは1回。防衛省が国費詐欺被害を受けたことに係る会計検査に関する文書の不開示決定を覆し開示することが妥当とした。防衛庁が調査段階の資料を不存在としたことに疑義を呈し文書の不存在を非難した。その他の答申は、カジノ管理委員会への調査資料の不開示決定を支持したこと、布製マスクの配布事業に関する検査資料の不開示に関しては公益性については会計検査院の行政機関の長の第一義的判断を十分尊重し、資料を公開することによる不利益を公益が上回ることはないとしたものの一部を開示し調査過程を公開する結論を答申している。平成29年度から令和4年度までに交付された政党交付金に関する検査を行った結果が記録された文書の公開請求を拒否した件については会計検査院の決定を支持した。会計検査院の具体的な検査事項、検査の着眼点等を明らかにすることはて同種・類似の検査を行う場合の検査上の関心が推認され、受検庁においていわゆる検査対策を講ずることを容易にするとして不開示を支持している。だが、そんなことを言っていたら会計検査院のすべての調査において当てはまる便利な理由となってしまう。警察や捜査機関ではないのだから開示することで行政執行の落ち度の改善につながるし防止機能が働くことにもなり得る。会計検査院と情報公開・個人情報保護審査会の関係には一定の緊張関係が必要である。
さて、非常勤で再任予定の杉山治樹氏は2期目の再任案である。杉山氏は東京大学法学部を卒業後、検察庁に入庁し、各地で検事を務めた。公安調査庁でも次長を務めている。鳥取や神戸で検事正も務めたエリートである。他の者との専門性のバランスや経験を加味し杉山治樹氏の再任には賛成するべきだと考える。
非常勤の新任案である福重さと子氏は京都大学大学院博士課程修了後、北九州市立大学法学部准教授を経て現在は岡山大学学術研究院社会文化科学学域教授である。岡山市の行政不服情報公開個人情報保護審査会委員を務めていた。難関と言われている国家公務員採用総合職試験の専門員も務めている。専門は公有財産法や行政法。最近の論文寄稿には「都市環境政策における司法と行政の協働」がある。45歳と若手ではあるが地方議会で議員研修の講師を務めるなど活動は活発多岐。専門性、経験を鑑みても福重さと子氏の新任案には賛成するべきだと考える。
非常勤で再任予定の堀江正之氏は任命されると3期目となる。任期が3年であることから再任するとすれば今回をラストとするべきであろう。日本大学大学院商学研究科を卒業後、日本大学商学部教授を務めている。専門は会計学。論文に「内部統制基準の改訂と監査人の対応」などがある。金融庁の企業会計審議会委員や金融審議会臨時委員に任命されている。システム監査学会や日本ガバナンス研究学会の理事も務める。他の委員との専門性のバランスや当人のキャリアを踏まえ堀江氏の非常勤での再任案には賛成するべきだと考える。
参考
会計検査院情報公開・個人情報保護審査会 会計検査院
https://www.jbaudit.go.jp/info/examine/index.html
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