情報公開・個人情報保護審査会委員の国会同意人事について
保護んとこヨロシク。
総務省の情報公開・個人情報保護審査会委員の国会同意人事についてである。情報公開審査会は公平な第三者機関として情報公開に関する審査請求について調査審議したり、情報公開制度の運用に関する重要事項について実施機関の諮問に応じて答申し建議する。 このほか、情報公表施策、情報提供施策、又は公文書の管理等について実施機関に対して報告を求めたり、意見を述べたりすることが出来る組織である。情報公開や個人情報の審議会は日本全国の各都道府県や市町村に置かれている。裁判所にも設置されている。本会は開示請求人が行った開示請求に対して行政機関や独立行政法人の下した採決に納得がいかない場合に申請が為される機関である。申請を受けた情報公開・個人情報保護審査会は第三者的な立場から申請者から意見を聞き、行政機関から諮問を受けて審査して行政機関に対して答申するという役割を担っている。
令和6年の不服申し立ては、開示請求に関しては行政機関に976件、独立行政法人に96件、個人情報保護に関しては行政機関に185件、独立行政法人に86件となっている。よって答申する件数は1300件以上となり決して少なくはない。行政への開示請求は軍事機密から通達文書まで様々である。独立行政法人への開示請求は入学試験の問題に関する開示請求が多い。個人情報保護に関しては公文書に個人情報が掲載されているから不開示となったケースに関する異議申し立てが多いが5%から10%くらいは開示に至っている。審議会は第1部から第4部までの4チームに分かれて会議を開催し答申を決定している。各部会の会議の開催は年間28回から34回程度である。
ちなみに森友学園問題で亡くなった赤木氏の遺族が財務省や近畿財務局に開示請求した資料は不開示となっていたが本会は赤木氏の遺族による不服申し立てを受けて審査し、2024年3月29日に「書類があるのか、ないのか、明らかにして、もう一回開示決定すべき」という答申を出した。事実上の担当省庁への差し戻しである。本会の存在意義は果たしている証左であろう。
さて、国会同意人事に関する調査である。常勤の新任案である中里智美氏は中央大学法学部卒業の裁判官である。大阪、水戸、岐阜、の地裁に勤務後、大阪地裁部統括、水戸地裁所長、東京地裁部統括、東京家裁所長、福岡高裁長官を歴任し令和6年9月に退官した。オウム真理教の地下鉄サリン事件の犯人の高橋克也被告に無期懲役判決を書いた裁判官だが裁判員裁判であったことから主体的ではない。また、大阪地裁時代に泥酔した女性が路上で性的暴行を受けた事件で容疑者に無罪判決を下した。刑事事件の無罪判決は1%以下である。検察と裁判所は結託しているとも思える関係であるが中里氏はある意味では生来の正義感を発揮したと言えるのかもしれない。部長級のポストを数多く経験していることからも実績的にも優れている。よって、中里智美氏の常勤での新任案には賛成するべきだと考える。
常勤での新任案である武藤京子氏は慶応大学法学部を卒業後、検事となり、浦和、新潟、八王子、相模原、さいたま、立川の検察に勤務した。東京国税不服審判所国税審判官を務めた後、さいたま地方検察庁総務部長、名古屋地方検察庁総務部長を歴任後、現在は東京高等検察庁検事を務めている。本会の答申は判決を下すようなことであるから裁判官だけでなく検事も弁護士も加わるべきである。判事を委員に起用することは必要であるが、中でも武藤氏は刑事事件を離れて国の代理人や他省庁での勤務した経験を持っていることから適任者と言える。よって、武藤京子氏の常勤での新任案には賛成するべきだと考える。
常勤での新任案である稲山文男氏は一橋大学法学部を卒業後、総務省に入省した官僚である。総務省人事恩給課長、東北管区行政評価局長、内閣官房審議官、行政管理局長を歴任後、学習院大学、東京大学大学院で講師を務めつつ簡易保険加入者協会の監事の職にある。行政政策や行政改革推進に関して識見を有している。前任者の長屋氏も総務審議官であったことから稲山氏は後輩であり、ポストが既得権化していないか疑ったが、総務省出身者が最も適任であるし情報公開法の所管省庁でもあることから勘ぐる必要はないようだ。長い行政機関での経験を活かすことが可能であることから稲山文男氏の常勤での新任案には賛成するべきであると考える。
非常勤での新任案である芳仲美恵子氏は中央大学法学部卒の弁護士である。台東区情報公開および個人情報保護審議会委員、法務省人権擁護委員、台東区行政不服審査会などを歴任し、日本弁護士会常務理事、関東弁護士会連合会常務理事を経て第一東京弁護士会副会長を務めた。芳仲氏は畑・芳仲法律事務所を経営しているが本名は畑恵美子氏であるので夫婦で事務所を運営している。ご主人である弁護士の畑克海氏も台東区代表監査委員、東京都台東区情報公開及び個人情報保護制度運営審議会委員、同高齢者虐待防止連絡会委員、同感染症診査協議会委員、同医療安全推進会議委員など台東区の様々な委員を経験している。併せて社会福祉協議会の相談員にもなっている。この二人は大学も活動内容も極似している。これらのことから気付く人は既に気付いているだろうが私は畑氏も芳仲氏もコミュニストなのだろうと感じる。行政の透明で公正・民主的な運営を確保するための機関が民主的な組織運営とは程遠い共産主義者が直接的に関わることには懸念する。仕業や公務員や学者にはコミュニストが多い。芳仲氏が必ずしもそうだとは限らないが、その懸念を感じた以上は念のために芳仲恵美子氏の非常勤での新任案には反対するべきだと考える。
非常勤の新任案である寺田麻佑氏は一橋大学法学部大学院法学研究科博士課程を修了後、国際基督教大学教養学部准教授を経て一橋大学大学院ソーシャルデータサイエンス研究科教授をなる。東京都情報公開審査会委員、埼玉県個人情報保護審査会委員東京都情報公開・個人情報保護審査会委員、横浜市個人情報保護審査会委員など関連する審査会での委員を数多く務めている。専門は行政法と情報法。司法試験にも合格している。IT法を学ぶためにドイツに留学経験もある。本会の活動分野にそのまま当て嵌まる学者であり、本会の分会である地方の審査会での活動実績も多いことか優れた識見を持つと思われる。よって、寺田麻佑氏の非常勤での新任案に賛成するべきだと考える。
非常勤での3期目の再任案である木村琢麿氏は東京大学法学部を卒業後、千葉大学法経学部助教授、千葉大学大学院専門法務研究科教授を経て現在は千葉大学大学院社会科学研究院教授である。専門は公法学。法務省の司法試験考査委員や財務省の財政制度等審議会臨時委員を務めた経験もある。論文は「公的なものと私的なもの「行政の手段」をめぐる普遍的な問いをもとに考える」など。千葉県や千葉市の除法公開審査会委員を経験し、その後、本会の非常勤委員に任命されている。3期目の非常勤委員の同意人事案であることから今回が最後となるが行政法学者の第一人者として全うしてくれることを願って同意人事案には賛成するべきだと考える。
非常勤での3期目の再任案である佐藤郁美氏は中央大学法学部卒の弁護士である。ニューヨーク州の弁護士資格も保持している。公正取引委員会審判員、日本弁護士連合会常務理事を務める。日弁連上層部にありがちなコミュニストか革新のような気もするが、それはあくまでも憶測。そのような裏付けは見当たらなかった。知的財産法に詳しい。東京第二弁護士会の男女共同参画推進二弁本部委員や女性法律家協会に参加している。もしかして強烈なフェミニストか、と思ったがその裏付けも見つからなかった。危惧は私の思い過ごしかもしれない。尊敬する人物は?と聞かれ「愛犬バニラ」と答えている。人物ではないし。嫌な予感がする人物ではあるがこれまでの2期は無難に任務を果たしたことから佐藤郁美氏の非常勤での再任案には賛成するべきだと考える。
非常勤での二期目の再任案である中村真由美氏は早稲田大学法学部卒業の弁護士である。北海道大学大学院法学政治学研究科修士課程、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科実務専攻を修了している。横浜市行政不服審査会、日弁連行政訴訟センター、横浜市社会福祉審議会委員などを歴任。これだけでおわかりの方も多くいるだろう。嫌な臭いがプンプンする。昨年の日弁連の会報誌の自由と正義では「弁護士の男女差の研究、弁護士収入のジェンダー差はどこから生まれるのか?子育て・地位・取扱分野に注目して」という記事を執筆している。女性差別を殊更に訴えることに私は与しない。女性を支援する法律は数えきれないほど整備されている。予算措置も膨らみ続けている。韓国や中国に対する戦後処理と似ていて、何をしても、いつまでたっても要求はやまないどころかエスカレートすることもある。女性差別問題に辟易する男性も多いだろう。弁護士の男女での収入格差は実力の差だと受け止めて一層の努力を行うという発想はないのだろうか。公職に就くものはもっとフラットに物事を捉えられる人である方が良い。これらの私の少々偏った認識からではあるが中村真由美氏の非常勤での再任案には反対するべきだと考える。
非常勤での3期目の再任案である久末弥生氏は早稲田大学大学院法学研究科修了、北海道大学大学院法学研究科博士課程修了。大阪市立大学大学院創造都市研究科准教授を経て現在は大阪公立大学大学院都市経営研究科教授である。大阪市情報公開審査会委員、大阪市個人情報保護審議会委員、大阪府情報公開審査会委員を歴任し当会委員に就任している。専門は行政法、民事訴訟法。論文は「スカラ座の台頭とミラノの劇場制度」「オペラ座の台頭と19世紀パリの劇場法制」。明らかなオペラ好きの人物である。公職の委員歴は多い。川西市、三田市、高槻市、堺市、丹波市、和泉市、神戸市、横浜市、芦屋市、大阪府、国土交通省、総務省などである。御用学者ではあるが行政の組織と執行に関して精通していることもある。大阪市と大阪府の情報公開に関わる委員を務めたことから本会での活動には識見を活かすことができる。よって、久末弥生氏の非常勤での3期目の再任案には賛成するべきだと考える。
参考
情報公開・個人情報保護審査会 総務省
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/singi/jyouhou/
弁護士の男女差の研究 中村真由美
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