中央更生保護審査会委員の国会同意人事案について
更生ねん。
中央更生保護審査会委員の国会同意人事案についてである。本会は法務大臣に対し特赦、減刑、刑の執行の免除、復権の実施について申し出、また地方更生保護委員会の決定を再審査する機関である。簡単に言うと恩赦を検討し内閣に申し出る機関といえる。恩赦には政令恩赦(大赦、一般減刑、一般復権)と個別恩赦(特赦、刑の執行免除、特別減刑、特別復権)とに区分される。両者の最も重大な相違は、個別恩赦は中央更生保護審査会が審議するのに対し、政令恩赦にはそのような審議機関がなく決定が時の内閣の判断にゆだねられる点にある。恩赦上申書を読み、犯罪後の事情、刑事施設内での行状、被害者の感情、更生の程度、再犯の可能性などを多角的に検討する。令和6年の個別恩赦は60件受理し28件を議決、保釈等の審査請求事件は13件受理し11件を裁決している。いずれも具体的な内容は公開されていない。法務省に問い合わせて回答を得た内容だけ共有する。
個別恩赦における28件の議決の内訳は、相当11件(うち復権10件、刑の執行の免除1件)、不相当14件、その他3件(対象者死亡等による審理終結)。
審査請求事件における11件の裁決の内訳は、棄却7件、却下4件。
以上が回答。つまり、恩赦されたのは11件であるが刑の執行免除が1件あったということになる。
恩赦の手続きは「恩赦は内閣の権限として、内閣がこれを決定し、天皇が認証するという仕組みで行われる。その手続は、恩赦を希望する人からの出願を受けた上申権者(刑事施設の長、検察官、保護観察所の長)が法務省に置かれている中央更生保護審査会(委員長と委員4人で組織する合議制の機関)に恩赦の上申を行い、同審査会の審査の結果、恩赦相当として法務大臣に恩赦の申出がなされた人について内閣が恩赦を決定し、天皇がこれを認証することとされている。」と規定されている。天皇が認証するのだから大層な手続きとなる。昨年の閣議の記録を遡って恩赦を探してみたが8月27日に恩赦が閣議決定していた。つまり、昨年も恩赦が実行されているのは間違いない。
さて、同意人事についてであるが、非常勤の新任案である辻恵介氏は横浜市立大学医学部を卒業した精神科医である。自治医大、獨協大を経て現在は武蔵野大学人間科学部教授である。専門は精神神経科学。論文に「犯罪・鑑定・精神医学」や「分裂病者の攻撃性の臨床精神病理学的研究」などがある。「在日クルド人難民申請者のメンタルヘルス」(道家木綿子、辻恵介、大山みち子)という論文も発表しておりクルド人の、収容を含む難民申請者の処遇に関する制度改善や、社会福祉的支援の拡充を訴えている。クルド人はオーバーステイという法を犯して収容されているのだから、クルド人と言うという特定の民族を名指しで支援することは法の下の平等に反する。共同執筆者が難民支援協会に関わったりしているのだから訝しさが増す。クルド人に限らず偽装難民やオーバーステイを容認すべきではないというスタンスから辻恵介氏が恩赦や保釈の審査に携わることには一抹の不安が過る。よって、辻恵介氏の非常勤での新任案には念のために反対するべきだと考える。
参考
中央更生保護審査会 法務省
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/shingikaitou_04_01_03.pdf
中央更生保護審査会 Wiki
恩赦 法務省
https://www.moj.go.jp/hogo1/soumu/hogo01_00030.html
在日クルド人難民申請者のメンタルヘルス 辻恵介
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