令和4年令和5年NHK決算の事後承認について
高倉、、けっさん。
NHKの決算の事後承認についてである。令和4年度の決算を確認する。事業収入は6965億円となり7000億円を割り込んだ。事業支出は93億円増えて6702億円となった。事業収支差金とは所謂営業利益のことだが263億円であり3割以上の減益である。コロナ禍が明けて本格的に取材活動などを再開したことによる経費が増えたことによって利益を圧迫したという。コロナ禍が明けると通常の経費に戻ることは予めわかっていたことである。受信料収入はコロナ禍以前から減少傾向にあるのだからそれを見越した予算建てするのは当然ことのはずだ。確かに訪問活動の為の要員を減らしてはいるがそれ以上の番組制作費用を増額しては元も子もない。当初予算と決算との比較であるが、当初予算より収入は75億円増加している。支出も187億円減少している。だから263億円の利益となるだが、予算との対比は意味がない。NHKは収益事業を前提としていないので利益を求めることは使命にない。赤字を出すことも本来許さない。よって予算は飽くまで収支トントンで設定する。では、赤字が出てしまったときはどうするのか。NHKには建前上、予想に反してたまたま得られたとされる収益を財政安定の為の繰越金として保持している。2022年の残高は2618億円。内訳は繰越金が418憶円、受信料値下げに伴う営業利益の減少の補填に備えるために280億円、還元目的積立金が1920億円となっている。要するにほぼフリーと言えるキャッシュフローが2618億円も存在する。豊かなのは繰越金だけではない。バランスシート上の資産は1兆2973億円もある。負債は4107億円であるから純資産は8865億円である。有価証券だけでも1千億円はゆうに超える。NHKは財閥並みの財政基盤を誇っている。令和4年の受信契約総数は4144万件でマイナス0.2%、未払い件数は141万件で3%相当である。受信契約対象数を支払数で割った支払い率は79%(前年比―1%)となっている。受信料収入の収納費であるが地域スタッフや法人委託会社への支払手数料が前年より100億円減少したが未契約者や未収者への通知などの費用が増加し1%の営業経費の圧縮に留まった。放送センターの建替費用の令和4年分の77億円は減価償却受入金で賄っている。連結子会社12社と持分法適用会社1社を連結すると収入は7485億円(子会社556億円)、営業利益は272億円となる。損益の状況はNHK本体とほぼ同様である。連結試算は1兆4262億円となり純資産は9889億円となる。
令和5年度の決算についてである。収入は6531億円、支出は6668億円となり営業損益はマイナス136億円となった。赤字となった理由としてNHKは受信料金の1割値下げによる影響を挙げている。前年の受信料収入は6965億円であるから値下げによって500億円以上の収入の減少になることは十分に予測できたはずである。それにも関わらずNHKは支出を34億円しか削減していない。最初から出入のバランスをとるつもりはなかったのだろうか。放送センターの建設費には87億円を取り崩して手当している。繰越金は財政安定の為の繰越金として108億円を繰り入れ、受信料値下げに伴う営業利益の減少の補填に備えるために136億円を取り崩し、143億円を繰り入れている。還元目的繰越金は34億円を繰り入れて1954億円となっている。単体での資産合計は1兆3202億円となっており229億円の増加。純資産は8735億円となりマイナス129億円となっている。純資産から繰越剰余金を1960億円控除したことによる影響である。剰余金を積み立て中ればNHKの資産は一気に膨れる。令和5年の受信料は396億円の減少となった。一方、契約収納費は33億円の増額になっている。契約収納費を前年より8%も増額したのに受信料収入は5.9%も減少している。契約総数は37万件減少して4107万件、未払い数は166万件で4%ほど。支払い率は79%となり前年比1%の上昇である。令和5年には営業方法を抜本的に見直して地域スタッフを廃止する方針を明らかにしていた。そのことで営業委託会社や地域スタッフの削減を行いはしたものの地域スタッフ終了に伴う給付金が一時的に嵩み22億円の増加となった。法人委託手数料は41億円の減少となっている。営業経費率は少しずつ減少ていたが令和4年の8.1%から令和5年は8.9%へ上昇した。放送センターの工事費は前年の87億円から365億円と跳ね上がった。スタジオなどの内装や設備工事が本格化したことによる。前年の建設積立資産87億円を取り崩して残りは減価償却資金を受け入れる形で対応している。子会社(12社)や関連会社(1社)の連結収入は7101憶円、支出は7217億円で115億円の赤字となった。連結の資産は1兆4495億円、純資産は9811億円。NHKとNHK関連子会社で子会社の資産の96.5%を保有している。12社のうち7社が100%NHK本体の出資、5社も60%から90%までNHKの出資。NHKの資産を活用して子会社が正当な収益を生んでいるのか不明であるし、予算に関しても国会の決議を得ない。さらに持ち株会社を作って配当による還元で済ませることは子会社の資産を受信料と言う形で負担してきた国民にとって更に経営状況が不透明になることが危惧される。NHK本体と切り離し子会社として株式会社を運営することは収益の移転を可能とする愚策であると考える。
*減収額と支出の削減額のバランスが取れていないのではないか。予算主義にこだわるあまりに期中での臨機応変な対応ができていないのではないか。
*財政安定の為の繰越金というものを多めに積み上げることが受信料収入の減少に対して危機感が募らない要因になっているのではないか。
*NHK決算で利益を出すと受信料の値下げを当然のこととして求められる。そのことから支出の削減を進めないことで営業利益を赤字にし、受信料の値下げを回避しようとしているのではないか。(現状の体制と支出を維持するために赤字を容認することで値下げ気運をなくそうとしているのでは)
*NHKが株式会社を設立して、設立した関連子会社がNHKの資産を利用して営利事業を行うことの正当性がわからない。子会社を作るまでもなく収益事業はNHK本体で行いその利益は受信料の値下げの原資として国民に還元されるべきであると考えるが如何か。
*地域スタッフを削減する為に給付金が嵩み令和5年の受信料収納費が増加したというがそれは退職金(もしくは退職金に類似したもの)のことなのか。それはどのような契約となっていたのか。
*地域スタッフや契約委託会社による戸別訪問は廃止することを決定していたと認識しているがその方針を変更したという事実はないか。NHK関係者による受信契約や受信料徴収のために戸別訪問活動を行うことの有無を問う。
*特別あて所配達郵便は割高な郵便サービスであるが今後も利用するのか。
*特別あて所配達郵便をこれまでに利用してきたことによる成果はどうだったのか明らかにされたし。
*保有している有価証券の内容を明らかにした上で換価できるものは看過すべきではないか。
参考
令和4年NHK決算概要
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kessan/assets/pdf/2022/gaiyou_r04.pdf
令和5年財務諸表
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kessan/assets/pdf/2023/t-zaimu_r05.pdf
令和5年 NHK決算概要
https://www.nhk.or.jp/info/pr/kessan/assets/pdf/2023/gaiyou_r05.pdf
0コメント