チェコとルクセンブルグとの航空協定について
チェコっと背中にリュック背負う、ブルグ。
チェコとルクセンブルグとの航空協定についてである。協定の内容は両国ともに共通している。両国と日本との定期航空業務の安定的な運営を可能とすることを目的としており、両国との人的交流の拡大に資するためと貨物の輸送強化のためである。定期航空便の開設が目的ではあるが、互いの領空を無着陸で通過することが出来たり、締結国同士の領域に給油や整備、運輸の為以外にも着陸できるようになる。両国の指定航空企業に対しては空港等の施設の使用料金につき最恵国待遇及び内国民待遇と同等の待遇を与えられる。燃料や部品、貯蔵品など航空機に必要となる品に係る関税は原則免除される。両国の特権は航空機が日本もしくは欧州連合に属していない場合は取り消すこともできる。両締結国の一方の国の航空機を停止する場合は他方の国の航空機も停止する。以上のことが両国との協定の概ねの内容である。チェコとは2024年2月に、ルクセンブルグとは2024年6月に当時の上川陽子外務大臣が本協定に署名している。両協定に係る新たな予算措置の必要はない。日本は既にイタリア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、クロアチアの14ヶ国のEU諸国と2国間で航空協定を締結している。チェコとルクセンブルグとの締結を完了すると16ヶ国となる。
まず、チェコであるが、チェコは中央ヨーロッパに位置する人口1085万人の共和制国家である。一人当たりのGDPは31630米ドルで世界41位(日本は33899米ドルで世界34位、2024年)。首都はプラハ、EUの加盟国でNATOにも加盟している。アメリカ、ドイツをはじめスロバキア、ポーランド、ハンガリーの3か国と緊密な関係にある。ロシアはチェコを名指しで敵対国と呼んでおり関係は良くない。中国との関係も然りである。日本とチェコとの政治的関係は良好で戦略的パートナーシップを結んでいる。2002年には天皇皇后両陛下が訪問しチェコ共和国と日本の友好関係10周年を祝った。在留邦人は2584人、日系企業は280社である。1983年JETROが事務所開設。パナソニック、東レ、トヨタが進出。
チェコは豊富な観光資源を有している。プラハは欧州で5番目に来訪者が多い都市である。国内には世界遺産を17件も有する。プラハにはプラハのシンボルとなっているプラハ城、プラハ城の中には13世紀に建てられた聖ヴィート大聖堂が、モルダウ川にはチェコ最古の橋であるカレル橋がかかっている。12月から年明けまで各地で開催されるクリスマスマーケットも賑わっていて人気。チェコはビール大国でもあり水よりビールの方が安いことが多い。街中にパブが点在しクラフトビールが気軽に楽しめる。チェコへの日本人訪問者は2022年は22283名であるがコロナ前の2019年には147760名にも上っていたことから定期航空便が整備されることで再び日本からの訪問者は増加し、両国の交流が再興することが期待できる。
ルクセンブルグは人口67万人の非常に小さな国である。一人当たりのGDPは129810米ドルで世界一の所得を誇る。西ヨーロッパに位置しドイツ、ベルギー、フランスと接する。NATOに加盟し欧州連合の一員である。立憲君主制で国家元首はヴァイルブルク家が世襲するルクセンブルク大公であり世界で唯一の大公国。小国統治であるため企業の税負担が極めて小さく、そのことが外資の投資を呼び込む要因となってきた。日本との関係は、第二次世界大戦中は形式的に敵国となった。ルクセンブルグと敵対するドイツと日本は軍事同盟を結んでいることからである。終戦後、1952年にサンフランシスコ条約が発効すると翌年に日本とルクセンブルグとは国交を回復した。日本とルクセンブルグとの関係は経済的な結びつきが強い。日本からの輸出は119億ユーロで機械や電子機器、輸送機器などが多い。ルクセンブルグから日本へは182億ユーロで繊維類やプラスチック製品を輸入している。本協定は今後も順調に増加すると考えられる両国の貨物輸送量に対応する輸送力の強化の為の協定である。
以上、チョコは人的交流の深化、ルクセンブルグは経済交流の拡大を図る措置である。冷戦が明けて以降、両国とは長らく友好関係を継続していることから積極的に交流を促す必然性には賛同できる。友は大いに越したことはない。よって本協定の締結には賛成するべきだと考える。
*ルクセンブルグは大阪万博にパビリオンを出展している。日・ルクセンブルグ間は経済交流がほとんどであり人的な交流があまりみられない。ルクセンブルグが小国であることから当然の成り行きではあるが、これを機に文化交流の深化を図るべきではないか。
*チェコが通貨をユーロにすることで日・チェコの経済的な交流も深まると考える。日本から働きかけてみてはどうか。
参考
航空業務に関する日本国とチェコ共和国との間の協定 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/st/pagew_000001_00006.html
説明書(日・チェコ)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100803964.pdf
航空業務に関する日本国とルクセンブルク大公国との間の協定 外務省
https://www.mofa.go.jp/mofaj/ila/st/pagew_000001_00007.html
説明書(日・ルクセンブルグ)
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/100803968.pdf
チェコ Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B3
ルクセンブルグ Wiki
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%82%AF%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%96%E3%83%AB%E3%82%AF
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