公害等調整委員会委員の国会同意人事案について
もり、公害・・・。
公害等調整委員会委員の国会同意人事案についてである。昨年の通常国会での同意人事の時にも本委員会については下記の通り調査した。
総務省の管轄であり調停や裁定などによって公害紛争の迅速かつ適正な解決を図ること、鉱業や採石業又は砂利採取業と一般公益等との調整を図ることを主な任務としている。公害紛争において裁判所とは別に迅速に処理する機関として設置されており公害紛争処理制度として機能している。公害紛争処理制度は公害紛争を民事訴訟で争った場合、その解決までに多くの時間と費用が掛かるなど被害者の救済の面では必ずしも十分でなかったことから生まれた制度である。この制度には民事訴訟に比べ公害紛争処理機関自ら調査できる、手続が柔軟、費用も少なくて済むなど、様々な特長がある。
令和5年の国の公害紛争の処理状況は申請が75件で終結が29件であった。多くは都市型・生活環境型の公害紛争での騒音、悪臭、振動など身近な生活環境被害を訴える事件が目立っている。都道府県および市町村の申請は81件で34件が終結となった。
常勤での新任案である中村也寸志氏は東京大学法学部卒業の裁判官である。和歌山地方・家庭裁判所長、大阪高裁部統括、東京高裁部総括を務めている。有名どころの判決と言えば東芝不正会計事件の逆転判決であろう。事件が発覚したのは2015年であるが中村氏が逆転判決を下したのはつい先月の2025年3月である。不正会計を行ったとされる旧経営陣の損害賠償請求を認めた地裁の裁定を覆している。今年の2月には2015年に発生した豪雨で鬼怒川が氾濫し大規模水害が発生したのは国の河川の管理に不備があったことに起因するとして被害住民が国に損害賠償を求めていた。一審は国が住民に3800万円を支払う判決であったが控訴審で中村氏は賠償額を2800万円に減額した。被害にあった家財道具などの価格を見直したという。今年、定年を迎える中村氏が定年間際に続けざまに疑問視されるような判決を書いている。裁判官が定年間際に急に正義に目覚めたような判決を繰り返す例は他にもある。中村氏の判決は正義に目覚めたという真逆のように思える。日本を代表する企業である東芝を貶める不正に対する責任の所在を曖昧にする判決を下し、方や災害被害者(9名の集団訴訟)の損害賠償額を精査して減額した。しかも、この2件の判決は部下に代読させている。裁判当日に欠席したのではなく、実はこの不可思議な判決を下した時には中村氏は既に定年退職になっていたので判決文だけ託して退職していたことになる。わけのわからん判決が明るみに出た時には中村氏はいなかった。議論の分かれるような裁判なら判決を書いていなくなるのではなく後継者に持論を伝えるに留め裁判長を辞任して引き継ぐべきである。私には判決の書き逃げのように思える。あまりにも後味の悪いことをしていることから、中村也寸志氏の常勤での新任案には反対するべきだと考える。
非常勤での新任案である大瀧敦子氏は慶応大学文学部を卒業後に弁護士となる。明治大学法科大学院法務研究科特任教授を経て最高裁判所司法研修所民事弁護教官となる。JMホールディングス、ナラサキ産業、メディキットの社外監査役を務めているが公害に係ることで利害関係が発生することないと思われる。大瀧氏の情報は多くはないがそれだけ地道で一貫した道を歩いてきたからなのだろう。情報が多数ヒットする人物ほど中身が薄いということも多い。よって、大瀧敦子氏の非常勤での新任案には賛成するべきだはないかと考える。
参考
元社長らの賠償責任認めず 東芝不正会計、一審判決取り消し―東京高裁 時事通信
https://www.jiji.com/jc/article?k=2025031900886&g=soc
鬼怒川水害、二審も国に賠償命令 河川管理の不備認定―一審から減額・東京高裁
時事通信
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