人事院人事官総裁の国会同意人事案について
じんじんばいばい。
人事院人事官総裁の国会同意人事案についてである。人事官の同意人事は昨年同時期にもあったので以下引用する。
「人事院とはどういう役割を担っている機関なのか少しだけ触れておく。HPにようると「公務員は、憲法で『全体の奉仕者』と定められ、職務の遂行に当たっては中立・公正性が強く求められます。このため、国家公務員法に基づき、人事行政に関する公正の確保及び国家公務員の利益の保護等に関する事務をつかさどる中立・第三者機関として、設けられたのが人事院です。」とされている。主な機能としては「人事行政の公正が確保されるよう採用試験、任免の基準設定、研修等を実施する。労働基本権制約の代償措置として給与等勤務条件の改定等を国会及び内閣に勧告する。人事行政の専門機関として内外の人事制度の調査研究を行い、時代の要請にこたえる人事施策を展開する。」ことが挙げられている。中でも公務員の給与に関する人事院勧告は代表的である。スト権のない公務員は人事院が民間等の給与水準を鑑みて国家公務員の給与の増減の基準を勧告する。地方公務員の給与も人事院勧告を参考にしている自治体が多い。また、人事院は公務員の就業規則内容の検討やハラスメント対策も行っている。」
人事院と言うと公務員の給与や勤務時間に対して毎年勧告を行っている印象が強い。国家公務員の昇給は人事官次第と言っても良いのかもしれない。民間企業の昇給や給与水準を参考に国家公務員の給与も設定されるのだが人事院の勧告よりも低い昇給になると“我慢してあげている”という心持になるということ。儲かれば儲かるほど報酬をおねだりできる民間企業とは違って国家公務員は税収が上がれば上がるほど給与が増えるというわけではない。モチベーションを維持するのは安定した生活と個人差のあるプライドによってということになろうか。
人事官の給与水準の高さには驚かされる。定員は3名の合議制で全員が常勤である。委員の給与は年2460万円、総裁の給与は年3006万円である。つまり、委員は副大臣や長官クラスとほぼ同額、総裁は大臣(2941万円)以上の報酬になる。内閣総理大臣に次ぐ高額報酬を得ている特別職国家公務員である。なぜこのような高額な設定になったのか不明であるが委員ポストの人数が少ないということもあるだろう。国家公務員制度は変革期あると言える。優秀な人材は外資系企業やグローバル企業に流れる傾向にある。国家公務員が成果主義よりも旧態然とした年次主義に囚われている印象がぬぐえない。国家の屋台骨となる霞が関の人材確保が危ぶまれる。
常勤の人事官で総裁での再任案である川本裕子氏は東京大学文学部を卒業後、オックスフォード大学大学院経済学研究科を卒業。東京銀行に入行後、マッキンゼーアンドカンパニーに転職。国会公安委員会委員を経て現在は早稲田大学ガバナンス&サスティナビリティ研究所所長を務める。夫の川本明氏は元通産官僚で現在は慶大教授。川本明氏の祖父は貴族院議員、父は住友商事常務取締役でSCSKの代表取締役である。超エリート家系である。エリート一家であるからこそキャリア官僚の人材確保が危機的状況にあることを危惧しているはず。国家公務員のみならず人口減少に伴い合理化、効率化は必須である。人数や規模に捉われる成果の達成見込みに焦点を当てた人員配置に方針を転換するべきである。川本氏は極端な待遇の変化を避けつつもキャリア官僚の給与を大企業並みに引き上げることを勧告している。併せて「公務が危機に瀕している」と警鐘を鳴らした。官僚の待遇改善だけでは国民は納得しない。既得権益にもメスを入れなければ批判の返り討ちに遭うことになりかねない。川本氏はコンサル企業に長く勤務していたことから改革にはメスが必要であることは心得ているはず。国家公務員の人事制度の改革は一筋縄ではいかない。二期目で結果を出すものと期待して川本裕子氏の常勤での再任案には賛成するべきだと考える。
参考
人事院 HP
主な特別職の職員の給与 内閣官房
https://www.cas.go.jp/jp/gaiyou/jimu/jinjikyoku/files/181130tokubetushoku_kyuyo.pdf
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