預金保険機構の理事長および理事、監事の同意人事案について

よきん明け、ましておめでとう。

 預金保険機構の理事長および理事、監事の同意人事案についてである。今年の3月にも同機構の同意人事案について記事にしたのでそこから引用する。

「預金保険機構とはアメリカ合衆国における連邦預金保険公社(FDIC)をモデルに設立された預金者等の保護と信用秩序の維持を主な目的とする認可法人である。政府と日本銀行が半分ずつの割合で出資している。保証額は一人当たり1000万円を上限としている。保護の対象は銀行法に規定する銀行、長期信用銀行、信用金庫、信用協同組合、労働金庫、信金中央金庫、商工組合中央金庫などである。農林中央金庫、農業協同組合等は含まれず農水産業協同組合貯金保険機構によって保護される。郵便貯金のうち郵政管理・支援機構が承継した定期性郵便貯金については政府保証が継続する。政府系金融機関や外国銀行の日本支店は対象外となる。業務は破綻が起きた際に迅速に対応出来るようにする為の取り組み、破綻時の処理、破綻処理後の回収・責任追及、健全状態の金融機関に対する資金補強などがある。昨今では振り込め詐欺が急増したことを受けて振り込め詐欺救済法が施行され、預金保険機構は金融機関が犯罪利用預金口座等であると疑うに足りる相当な理由があると認める口座についての公告の求め(4条1項)があったときは、その口座の金融機関、支店、種別、及び口座番号、名義人名並びに権利行使届出期間を公告する。公告期間が過ぎるとその口座の預金債権は消滅し預金保険機構はその旨を公告する。消滅した口座の資金を利用してその口座による振り込め詐欺の被害者の被害回復を図るために金融機関は分配金を支払う、という取り組みも行っている。破綻した銀行で預金保険機構が金融整理管財人に選任された金融機関はこれまでに8銀行、2信用金庫、2信用組合である。東京相和銀行が東京スター銀行、なみはや銀行が大和銀行、日本振興銀行がイオン銀行に継承されたほか9銀行の継承先選定を行ってきている。資金援助等は累計として金銭贈与19兆319億円、資産買取6兆4210億円、貸付80億円、債務引受40億円を実施している。」

 現在あるメガバンクで預金保険機構からの資本増強支援を受けていない銀行はない。みずほ銀行も三井住友銀行もUFJ銀行もりそな銀行をはじめとした多くの銀行が平成10年から平成12年頃に一斉に劣後債を注入されている。守るのは銀行だけではなく国民の預金も一定程度を守ってくれる。1000万円まではほとんどの金融機関の預金が保証されることから経営危機に陥った銀行に対する取付騒ぎが起こる可能性は低い。

 さて、田口紀子氏は大阪大学経済学部を卒業後、三井住友銀行に入行、個人向け審査を経て法人営業にも従事し、現在は三井住友銀行理事リテール審査部部付部長に就いている。平成23年にはダイバーシティ推進室室長も務めている。ダイバーシティは性別や国籍に捉われない多様な人材が能力を発揮できる環境づくりを言うが、実際には女性の躍進を推進する政策ばかりが目に付く。安倍政権時のアベノミクスの三本の矢の最後の一本が女性の活躍の推進であったことが起因しているのだろう。私にとって少し辟易するカテゴリーの課題である。女性を男性と同じにはできないだろうし、感性も考え方も違う。女性だからといって待遇差別を行ってはならないが、女性の方が適した仕事はある。いらぬ先入観や差別意識は捨て去るべきだが適材適所における男女間の違いは物理的に存在する。考えすぎなくても田口氏は人事関連のポジションが長かったわけではない。個人審査や法人営業の方が長い。田口氏は銀行業務に関して広く長く経験を積んでいることから本機構の常勤の理事の新任案には適任であり賛成するべきだと考える。

 常勤の新任案である島村英氏は東京大学法学部を卒業後、警察庁に入庁。組織犯罪に関する部署を多く歴任。国税庁福岡国税局徴収部長、警察大学校教養部長、預金保険機構金融業務支援部長に就いてきた。今回の人事案はいわば内部昇格案である。内部昇格は本機構の内情にも業務にも明るいと思われることから適任であろう。ただし、警察庁の仕事とは全くの畑違い。前任の森内氏も警察庁出身であったことからポストが既得権益化していないか少し危惧する。本機構の業務の一部には振り込め詐欺の防止などもあるにはある。不良債権の調査や経営責任の追及もある。内部昇格予定の者が任命を否定されると現場の士気が下がる可能性がある。よって、島村英氏の常勤での新任案には賛成するべきだと考える。

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