行政書士法の一部を改正する法律案について
そんなわけ内乱罪・・・。
行政書士法の一部を改正する法律案についてである。閣法ではなく自民党の議員立法である。行政書士会からの要望を受けて行政書士議連で承認している。急に議会に差し込まれた法案であるし議員立法であることから情報がない。差し当たり手元資料から事実関係だけを列記するしかない。
改正個所は以下の通りである。
1. 行政書士の使命を明記する。これまでは「目的」と明記していたものを「使命」と書き換えただけ。
2. 「職責」を設けた。常に品位を持ち合わせ、公正かつ誠実に業務を行うこと、デジタル社会の進展を踏まえ、情報通信技術を活用して利便の向上すること。
3. 「行政書士の責務」を「信用失墜行為の禁止」に置き換えて、「誠実にその業務を行う」という文言を「行政書士の信用又は品位を損なう行為をしてはならない」としてよりダイレクトな表現とした。
4. 特定行政書士が行政庁に許認可に関する不服申し立てをする場合、行政書士が「作成した書類」を「作成できる書類」に改正することで業務範囲を拡大する。
5. 「行政書士ではない者は生業として規定する業務を行うことができない」という規定を「他人の依頼を受け如何なる名目によるかを問わず報酬を得て・・・できない」に変更することによって業務範囲を限定する理由を明確にする。
6. 両罰規定が盛り込まれる。行政書士資格を有しない者が行政書士名簿に登録させたときや名称の使用制限違反をしたときの両罰規定を設ける。
以上が法律案の改正点となる。
*特定行政書士の業務を拡大するというが、「作成できる書類」と表記することで従前と比較して具体的にどのような業務を行うことが可能となるのか一例を示されたい。
*行政書士の生業として行う業務に関してであるが、作成できる行政文書は1万種類にも及ぶという。膨大な種類の書類であるが、要否を確認して不要なものを整理すべきであるが如何か。また、複雑な様式や形式のものは改善し国民誰もが容易に作成できるものにするべきではないか。
*遺言書、会社定款の作成など行政書士だけではなく司法書士も行うことができる。一方、相続関連や会社設立は司法書士の独占業務である。同一と混同しがちな業務に関して、殊更に会社定款や遺言状に関しては司法書士の独占業務にすることがシンプルでわかりやすいと考えるが如何に。
*行政書士が司法書士の独占業務を行った場合、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金、行政書士が税理士の独占業務に違反すると3年以下の懲役又は200万円以下の罰金が科せられる。独占業務に触れる士業の種類によって罰則が違うのはなぜなのか。揃えるべきではないか。
*補助金に関する申請は行政書士にもできるが、助成金の申請は社会保険労務士の独占業務である。依頼者が間違えやすいことから助成金も行政書士が申請できるようにするか、補助金の申請も社労士の独占業務とするかにすべきではないか。
*行政書士として一般企業に雇われて仕事することはできないことになっているが、行政書士が事業者でないといけないのはなぜか。弁護士は企業内弁護士がいるのだから行政書士も企業内行政書士がいても良いと考えるが如何に。
*行政書士の登録人数は令和7年4月時点で5万人を超えており士業の中では人数が多い。司法書士は約2.2万人、社労士は約4.3万人、弁護士は約4.3万人となっている。行政書士の人数は多すぎるのではないか。
参考
行政書士法
https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000004
「行政書士はやめとけ」と言われる7つの理由と実態 アガルートアカデミー
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