手話に関する施策の推進に関する法律案について

すごい、さ手話ですね(^▽^)/

 プロレスラーの今井礼夢氏をご存じだろうか。HEAT-UPという団体に所属する若手レスラーである。若干20歳と歴はまだ浅い。父は175RのボーカルでミュージシャンのSHOGO氏、母は元SPEEDのメンバーで現在は参議院議員で内閣府大臣政務官を務める今井絵理子氏である。ある意味、今井礼夢氏は芸能のサラブレッドと言って良い。実はそんな礼夢氏はある障害を持っている。先天性の聴覚障害である。今井氏は生後わずか3日目で我が子の耳が聞こえないことを知った。生後3日後の検査のとき。耳が聞こえるか、聞こえないかを検査する「新生児聴覚スクリーニング検査」というものがあって、「この検査を受けますか?」と看護師さんに聞かれ「せっかくだから」と何のためらいもなく受ける。検査後、部屋で待っていたところ、「耳が聞こえにくい」と告げられた。かつて今井氏は女性自身のインタビューでこう答えている。「突然、何の知識も何の情報もなく、障がいのある子どもを育てる母親になるわけなんです。障がいとはどういうことなのだろう、耳が聞こえない子どもにはどんな支援が必要なのだろう……。とにかく不安で、どうしたらいいのかまったくわかりませんでした。子どもに対しても、五体満足に産んであげられなくて申し訳ない気持ちでいっぱいで、涙ってこんなに流れるものなんだというぐらい、涙が枯れ果てるまで泣き続けました」。

そして今井氏はこう誓った。

「『どんなときも笑顔でいこう』と誓いました。隣りにいる母親が、障害を受け入れ、笑顔で育てなくちゃだめだろうと思ったんです。息子にとってはたったひとりのお母さんなのだから、しっかり前を向いていこうと。息子は耳が聞こえないぶん、目から入る視覚の情報がすべて。その中でお母さんがずっと泣いていたり、くよくよしていたら、自己肯定感が育たないと思ったんです。これからいろいろな壁があるかもしれないけど、ちゃんと乗り越えられるんだよ、という姿を私が見せていかなくちゃと思いました」と。

そんな今井氏が国会議員になることを目指したのは「障害者政策」に取り組むため。

「私自身、母親やまわりの人、ママ友などの助けがなければ息子を育ててこられなかったと思います。人は絶対に1人では生きていけないので、誰かに頼っていいと思うんです。悩みや迷いのある方には、相談窓口などを活用して、少しでも精神的な負担を軽くしてほしいと思います。今はSNSで政治家とも繋がれる時代ですから、うまく政治家を活用してほしいと思います」と話す。

 歌を歌うことを生業にしてきた両親にもとに生まれた聴覚障害のある礼夢氏、不遇な巡り合わせを想うと如何許りか。

 2020年6月17日、今井絵理子議員が制定に取り組んできた「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律案」が成立した。今井氏のHPによると「病院の予約や110・119などの緊急通報、クレジットカードの紛失時など、様々な場面で電話を使用する機会があります。しかし、聴覚障がいのある方にとってそれは困難なことでした。電話リレーサービス法の成立により公共インフラとして、手話通訳や文字通訳を通じて電話を利用できるようになりました」と記されている。これまでの通話は本人の音声ではないことを理由に拒否されることが多かった。今後は士官(電話リレーサービス)が供えられることで電話におけるバリアフリー化が一層進むことが期待される。何はともあれ、今井議員が取り組んだことに対する成果が実ったことは大きい。

 そして来る2025年の通常国会に「手話に関する施策の推進に関する法律案(手話推進法)」が提出される見込みとなっている。2019年の参議院選挙で当選した今井議員は2025年に改選を迎える年となる。手話推進法は議員立法である。超党派の「障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟」によってまとめられた。自民党の衛藤晟一参議院議員が会長、公明党の山本博司参議院議員が幹事長、自民党の滝波宏文参議院議員が幹事長補佐、自民党の今井絵理子参議院議員が事務局長を務める。立憲民主党からは岡田克也議員、れいわ新選組から舩後靖彦議員が参加。関係団体は全日本ろうあ連盟、全国手話通訳問題研究会、全国盲ろう者協会、日本手話通訳士協会、手話を広める知事の会など。政府関係は内閣府(障害者施策担当、防災担当)、こども家庭庁、総務省、外務省、文部科学省、厚生労働省などが関わっている。

 手話推進法の基本的施策は

*機器やサービスの開発や規格の標準化や使用者の入手支援

*防災、防犯および緊急通報の為の仕組みや情報収集の為の機器設置の推進

*障害者の自立生活や社会生活における意思疎通支援者の養成や確保

*障害者への情報提供、相談の対応

*国民の関心や理解を推進する活動や広報

*調査研究の推進

以上である。もちろん、施策に必要な財政措置を行うことも盛り込まれている。新たな国費の出費が過大にならないように障害者基本法における基本計画内に予算が収まるように努力すべきではある。

議連参加者からは、

*障害者差別解消法で民間企業にも合理的配慮が義務化されたので、責務の範囲に、国及び地方団体だけでなく、民間企業も追加していただきたい

*手話使用者とその関係者の意見の反映を推進するために、各省庁を束ねる協議会を作っていただきたい

*期間を設けて定期的に見直しを実施するようにしていただきたい

*手話通訳士の資格化と労働条件の改善も今後の検討課題としていただきたい

*手話の技能を有し、家族支援、発達の段階に応じた支援を行える人員を養成し、採用すること

*子どもおよび家族が希望する場(家庭・保育園・幼稚園・小学校等)での手話習得支援を提供すること

*相談及び助言その他の必要な施策に「インセンティブ」を追加して欲しい

などの要望が上がっている。

今井議員からは「手話で育てたい、学びたいっていうお子さんに対して、どう対応していくか、ずっと課題だった」という発言があった。0歳から3歳までの乳幼児期における習得や手話文化の保存、継承、発展が法案に盛り込まれることになった。

2025年11月には日本でデフリンピックが初開催される予定となっている。デフリンピックとは「きこえない・きこえにくい人のためのオリンピック」で国際的なスポーツ大会である。1924年のフランスパリでの開催を皮切りに4年ごとに開催されている。2025年デフリンピック東京大会推進議員連盟会長は遠藤利明議員、顧問には橋本聖子議員、山東昭子氏、議連幹事長の衛藤晟一議員、朝日健太郎議員とともに今井絵理子議員も幹事長代理として名を連ねている。大会には70カ国以上から約3000人の選手が集まる。インクルーシブな街東京の実現の為の取り組みの一環となっている。本法案がデフリンピック日本大会に向けて2025年の通常国会で早期に成立することを願う。全会一致での成立を期す。

今井絵里子議員は与党である自民党所属とはいえまだ二期目の新人である。2016年に初当選、2022年に2期目の当選を果たした。一期目の時には「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律」を成立させた。二期目の現在は手話推進法を成立させようとしている。二期目の議員が議員立法を2本も成立させられることは非常に稀である。やはり、強い想いと使命を抱いて当選した議員は一種の凄みがある。ましてや今井絵里子議員は自身のご子息が当事者である。今まさに自分が直面する諸課題に取り組んできた。道中、SNS投稿が問題視されるなどバッシングにもあってきた。人気グループ出身のタレント議員だと揶揄されることも多い。そのような中で政治家として結果を出せていることは賞賛に値する。予算がどうだの、対象の人数がどうだのと言わず、法律とは弱い者の味方であって欲しいものである。(坂本雅彦)


問 予算措置を想定しているのかどうか。想定する予算規模は。主たる予算の使途はどのようなことに対してか。

問 全会一致の目途は。(各会派の反応)

問 手話通訳者の厚労省の認定資格があり合格率10%前後という難関資格である。合格率の低さが人材不足に繋がるのではないか。

問 手話通訳者の賃金が低いと聞く。金額を自治体ごとの裁量に任せていることがその要因となっていると推察するが国が先導して一定額以上の賃金単価を確保できるように配慮してはいかがか。

問 聴覚障碍者からの緊急通報に対する対応はどのようにしているのか。

問 機器やサービスの開発は特定の機関を想定しているのかどうか。

問 デフリンピックに対する国の関与や支援の有無を問う。

問 要約筆記や手話通訳などの実務にAIの導入は可能なのかどうか。(タブレットによる同時通訳など)

問 障害者支援に関して自治体ごとのばらつきを解消した方が良いと考えるがいかがか。

問 大学や専門学校などで聴覚障害があっても受講できる体制の整備も必要と考えるがどうか。

問 手話通訳者の仕事量に関しての地域間格差はどのようになっているのか。


参考

“手話推進法案”臨時国会提出にむけ超党派議連が骨子案を提示 TBS

https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1321226?display=1

障害児者の情報コミュニケーション推進に関する議員連盟 総会出席 「手話施策推進法(仮称)」の立法に向けて正式表明 全日本ろうあ連盟

https://www.jfd.or.jp/2024/06/21/pid27209

障害者による情報の取得利用・意思疎通に係る施策の推進 内閣府

https://www8.cao.go.jp/shougai/suishin/jouhousyutoku.html

全日本ろうあ連盟の権利擁護の取り組み 小中栄一 

https://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/prdl/jsrd/norma/n326/n326004.html

今井絵理子氏「どんな時も笑顔でいこう」聴覚障がいを抱きしめ誓った覚悟 女性自身

https://jisin.jp/domestic/2037043/

東京2025デフリンピック 大会ポータルサイト

https://www.deaflympics2025.com/

2025年デフリンピック東京大会推進議員連盟総会が開催されました 全日本ろうあ連盟

https://www.jfd.or.jp/2024/12/17/pid28064

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