日本の政局の出口にメローニ伊首相を重ねる①
若気のイタリア。
石破茂首相の退陣が遂に、というかむしろ、やっと決まった。昨年の衆院選に引き続き今夏の参院選でも石破氏が率いる自民党は大惨敗。衆参両院で少数与党となる結果を招いた。参院選以降、自民党内では絶え間なく石破茂総裁の辞任を迫る動きを見せていたが、石破氏が「比較第一党である責任を全うする」「トランプとの関税交渉の継続」「明日起こるかもしれない首都直下型地震、南海トラフ地震に備える」「物価高騰に対する対策を停滞させない」などを理由に9月7日まで総理の椅子にしがみついてきた。
比較第一党を持ち出すということは比較第二党になるまでは辞任しないということか。トランプとの関税交渉は一転15%に落ち着いたように見えたが実際には80兆円という巨額で関税負担を買い取ったようなものだ。いわば恐喝に屈したような話である。災害が起きるかもしれないから辞任できないというのも子供だましである。いつ大災害が起きるかなんてことは誰にもわからない。わからないことを理由に辞任を拒むというのは気味の悪いジョークに過ぎない。物価高対策に関しても選挙中にしきりと唱えていた現金給付を取りやめている。選挙に負けたことからニーズに反するとして掌を返した。それに代わる物価高対策は何も進んでいない。それが証拠に民意を得たはずの野党案であるガソリン暫定税率の廃止法案に関しても自公は採決にすら応じず継続審議として先送りした。石破総理はあまりにも非常識な理由を論い総理の椅子に恋々としてきた。自民党内の分断が顕著になりだしたタイミングで遂に石破総理は辞任に追い込まれた。孤立を深めた石破氏は執行部の辞意を受けて万事休すとなった。
前置きが長くなったが、やっとのことで石破茂氏が総理の席を明け渡すことになった。その後の総理の席に誰が就くのかが国民の関心事。メディアの論調を概観すると前回の総裁選で2位だった高市早苗氏と父は元総理、兄は人気俳優という政界のサラブレットである小泉進次郎氏の一騎打ちのようである。
高市氏と聞いて頭をよぎるのはイタリアのメローニ首相。3年前のメローニ氏はまるで大衆を扇動する極右のポピュリストのような印象を持たれていた。不法移民への厳格な対応を掲げていた。地中海を渡り、もしくはバルカン半島を超えてイタリアに不法移民が大量に押し寄せていた。島によっては不法移民が元々の住民の数を上回っていた。そのような状況を打破することで雇用を生み出し経済成長を取り戻すことを主張し支持を得た。メローニ氏がイタリアの首相に就任すると欧州各国の極右政党は押しなべて歓迎した。熱血的なメローニ氏が民族主義を推し進めてEUの官僚主義を打破してくれるのではないかという期待が集まった。蓋を開けるとメローニ氏は官僚たちと緊密な関係を築き右派や中道右派とを繋ぐ役割を果たした。そうすることでメローニ氏はEU内で信頼を得ることに成功し発言力や影響力が格段に増した。日本においてもナショナリズムが高揚している状況にある。保守政党の台頭が顕著な状況にある。保守的な自民党員から最も支持を得ているのは高市氏であろう。メローニ氏の政治手法と高市氏の政策には一定の共通点がある。メローニ氏の成功を高市氏は続くことができるのか、以後検討したい。(②につづく)
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