青ヶ島の港湾整備と就航率について(浜田議員の調査依頼と結果報告)
時がたつのは早いもので今年も半分以上の日が経ち既に7月の半ばに差し掛かっています。6月18日から7月5日に至るまではNHKから国民を守る党の党首立花孝志が東京都知事選挙に挑戦しておられました。NHKから国民を守る党所属の参議院議員の浜田聡議員は島嶼部において選挙ポスター貼りの活動をされていました。その活動の一環で伊豆諸島南部の青ヶ島を訪問されました。
青ヶ島は東京都区部から南方へ358㎞の位置し、人口約170人、面積は約6K㎡ほどの小さな火山島です。年間を通じて温暖ではありますが湿度も平均85%と高いのが特徴です。
浜田議員は6月24日から1泊2日の予定でその青ヶ島を訪れておられたのですが結果的には空路や航路の欠航により度重なる足止めに合い結果的には5泊6日の行程となってしまいました。
そのような状況の中で浜田議員が青ヶ島滞在中にいくつかの気になることを現地で見聞されており、そのことについて参議院の調査室に調査を依頼されました。その回答を頂戴しましたので僭越ながら浜田議員に代わり私がここにご報告させていただきます。
質問1(浜田議員)
青ヶ島の港は外海に面しているために港の静穏性が低く、乗降客や荷役作業の安全性と効率性が十分でないとのことです。より安全に乗降や荷役作業をできるようにするために、防波堤をあらたに作るなどの方法は現実的か否かについて調査いただきたく思います。
下記写真:移住スカウトサービスより
回答1(参議院調査室より)
→御指摘のとおり青ヶ島港は外海に面しているため静穏性が低く、乗降客や荷役作業の安全性と効率性が十分でないことから、現実に防波堤、岸壁等の施設整備を推進しているとのことです。なお、近年の国の事業スキームの見直し等により国費の確保が困難となっているなど課題も存在するようです。←
下記資料:平成24年度 東京都離党振興計画より(港湾整備について)
その頃(平成24年以前)より質問通りの課題を東京都も共有していたことがわかります。現状においてその課題が十分に解消されるには至っておりません。
下記資料:平成24年度 東京都離党振興計画より(港湾整備について)
その頃はまだ防波堤を新たに設けるような計画は無いようです。護岸工事と突堤工事を行う予定でした。
平成24年の措置を経て明らかになった結果に対して東京都離島振興計画で青ヶ島について令2年度に新たな予算措置を行っています。
下記資料:国土交通省 社会資本整備総合交付金より
令和2年に青ヶ島港の岸壁工事の10メートルの延長に6億円程度、護岸の防波工事と防波堤改良(10メートル)工事に17億円程度を、さらに防波堤改良(40メートル延長)として14.6億円を予算しています。合計37億円以上のインフラ投資が予定されています。
下記資料:国土交通省社会資本整備総合交付金参考図面より
これらの工事は令和2年から開始し令和6年に完了を予定しています。現状の就航率60%から68%程度まで向上することを目指しその結果利便性が改善されることが期待されています。
質問2(浜田議員より)
青ヶ島と八丈島を結ぶ船便について、民宿の方によると、あまり波が荒くないのに運休になることが多くて不思議に思うことが多いとのこと。運航の安全は当然優先すべきであることは言うまでもないが、この船便は人のみならず物資なども運ぶ重要なものである。運営会社にとって何らかの理由で、運航するよりも運休する方がメリットがあるのであれば問題と思われる。船便の運営会社にとって、運航するよりも運休する方がメリットになるような仕組みが存在しているのか否かを調査いただきたく思います。
※青ヶ島では島内の各戸においてケーブルテレビでヘリポート・港の様子を常に見ることができます。
下記写真:https://www.youtube.com/watch?v=yEtiUm6uOIcより
回答2(参議院調査室より)
→青ヶ島と八丈島を結ぶ船便は小型軽量で、波による船揺れが激しく就航率が低かったそうですが、平成26年1月から新造船の「あおがしま丸」が就航しています。
また、青ヶ島-八丈島間の航路は国土交通省の地域公共交通確保維持改善事業における
離島航路運営費等補助金の補助対象とされており、同事業の事業評価において
「荒天の影響による欠航以外は計画通り運航し、事業は適切に実施された」とありますので、公表資料を拝見する限り何らかのメリットを享受するため運休することはなかったように思われます。なお、最近の就航率は60%台のようです。←
下記資料:平成24年度 東京都離島振興計画 航路整備についてより
平成24年以前において就航率50%ではあまりにも不安定だと思います。島を往来する人々にとっては予定を立てにくく悩ましい状況であろうことは容易に察しがつきます。
下記資料:平成24年度 東京都離島振興計画 航路整備についてより
平成24年度の整備計画では防波堤を築くというよりも船舶を新しいものに更新するという発想でした。
航路整備に関しては2隻の船舶を大型化し1隻に集約することで航路の維持存続をしています。船舶の大型化によって波浪に対して強くなり就航率も上がると目論んだようです。
2014年にそれまでより大型化した船舶のあおがしま丸が就航しました。船舶を大型化することで就航率を50%から大幅に向上することを期待していたようですが結果は60%程度の就航率にとどまっています。青ヶ島港は風浪や潮流の影響を強く受けていることがその一因となっているようです。
更なる取り組みとして国土交通省の社会資本整備総合交付金を利用して令和2年度から令和6年度にかけて青ヶ島港の防波工事と突堤の延長工事、防波堤の改良工事が着手されていることから4年後の工事完了時には大幅に就航率が改善されていることを願っております。
下記資料:東京都八丈支所令和元年事業概要より
地方港湾インフラ工事等の予算確保が厳しい昨今の国費の状況において青ヶ島港の予算措置は本年において執行されるものであることから東京都と国の社会インフラ投資は着実に行われていると思われます。それによって近い将来にもたらされる成果は島民の生活と産業活動に不可欠な交通の利便性の向上に寄与することと思います。
現状は船の利用者にとって満足が得られる就航率ではありませんが、運行会社にとって何らかのメリットのある欠航ではないことが確認できたと思います。定期航路の航行を維持する運行会社にとって収益の差損は離島航路運営費等補助金によって補われることから収益を理由に運航率が下がるようなことはないと考えます。
令和6年に至るまでの港湾整備に関わる工事によって就航率を68%まで高めるという目標設定がありますのでその成果と効果を期待したいと思います。
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