学校による生徒への受験の強要について(参議院浜田聡議員の調査依頼に対する調査室の回答)
当たり前ですが、日に日に日の出は遅く日の入りは早くなっています。しかし、夏真っ盛りです。気温は連日30℃越えの猛暑日です。こんな暑さの中でもコロナウィルスは蔓延するんですね。マスクが負担に感じる今日この頃です。皆様も熱中症にはお気を付けください。
さて、参議院浜田聡議員が参議院調査室に下記の通り調査の依頼をされまして、その回答を賜りましたので、僭越ながら私よりご報告させて頂きます。
下線箇所は私の方で加筆しましたことをご了承賜れましたらと存じます。
下記画像:https://www.youtube.com/watch?v=pxKAaQKaTF4&feature=youtu.beより
浜田議員の質問
高校生が在籍高校の担任などから、生徒自身が受験を希望しない大学やセンター試験などの受験を強要される報告があります。これについて以下の調査依頼をお願いします。
1. 上記のような希望しない受験を強要されるような記事があれば教えてほしいです。
2.上記のような希望しない受験の強要が、違反や抵触の可能性のある法はあるか?特に、密室で生徒を説得する事例↓については個人的には倫理的に問題があるように思います。
参議院調査室回答
1.希望しない受験に関する記事
→センター試験の全員受験(2019.12.17北日本新聞等)【資料1】
富山県内に、3年生全員にセンター試験の受験を推奨している高校が9校あるとの
記事でございます。←
下記資料:北日本新聞朝刊2019年12月17日
回答を得た51校のうち18校が“進学や就職など生徒が希望する進路に応じて指導しているとしています。通常だとこの回答が一般的なような気がします。”生徒に判断を任せる“のも良いですが進路指導をすることは教員の重要な職務の一つだと思います。
下記資料:北日本新聞2017年9月27日朝刊
確かにセンター試験を受験するには費用がかかる為に完全に強制はできないと思います。しかし、3年間の学習の成果を図る集大成として受験する方向で進めることは悪いことではないと思います。学習は進学するためだけにあるのではなく、生涯を通じて必要とする基礎知識を身に着け基礎的な能力を磨くという点では卒業を迎える全生徒に平等に与えられる役務だと思います。
→一方で、上記に関し、高校側がセンター試験を課す理由に触れた記事もございました。←
下記資料:4項目全て石渡嶺司「センター試験の強制は受験料のムダ?それとも意義あり?」より抜粋 https://news.yahoo.co.jp/byline/ishiwatarireiji/20170929-00076361/
受験を控えた生徒と受験を必要としない生徒が混在する場合は受験を控えた生徒への指導が優先されるのは否定しませんが、必ずしもセンター試験だけが目標の選択肢だとは限らいないのも事実です。
就職するにしても学力を向上させるように研鑽を積むことは大切だと思います。受験のための勉強だと考えず継続した学習習慣を身に着けることが出来たら素晴らしいと思います。
専門学校に通う高校生の動機付けには最適な方法だと思います。
入社前研修を実施することは入社日までの緊張感を維持する為には良いアイデアだと思います。
大阪産業大学やらせ受験(2013.3.19毎日新聞)【資料2】
→大阪産業大学が、系列校に依頼して、センター試験利用入試の受験者数を増やしていたとの記事でございます。←
大阪産業大学のセンター試験入試に系列校から2250人が受験して2150人が合格したにも関わらず入学者が0人だという状況は、もはや入学試験とは言えないと思います。生徒が利点と感じていないからこそ入学者がいないわけで、大学側の思惑に利用されていると思われても仕方がないと思います。
→私立高校の大学合格者数水増し【資料3】
受験料を高校が負担し、優秀な生徒を多数の有名私立大学へ合格させる水増しについての記事でございます。
下記資料:大阪読売新聞2007年7月24日より
学力の高い生徒を学校法人の宣伝等に意図的に利用することは労力の搾取に近いような印象を受けました。受験料を学校側が負担していることが生徒を学校側の思惑に利用しているという事実の裏付けに他ならないと思います。
下記資料:2007.7.21朝日新聞より
指定校推薦で進学先が決定した場合であっても確かに学校は学び舎であることから勉強の継続は当たり前ですが、勉強を継続させるために受験先や回数を明記した誓約書を学校側が提出させる行為は、学校側の合格数の増加を目論んだ行為だとされても当然だと思います。誓約書まで提出させる行為は、学習習慣を身に着ける為ではない学校側の思惑が見え隠れしているように思います。指定校推薦で進学先が決まっている生徒をも利用した学校への合格実績の積み増しへの協力を強いられているに過ぎないように感じます。併せて、有名大学の合格数に偏重した世間の学校教育への評価基準の持ち様も改める必要があるのかもしれません。
下記資料:2007年7月28日 産経新聞より
若人の教育を担う学校が明確な法令違反をすることなど言語道断なことですので法令違反ではないことは当然です。しかし、法律に触れないことなら何を行っても構わないといういうわけではないと思いますので一定のガイドラインが必要だと思います。
2.違反や抵触の可能性のある法【資料4】
下記資料:2007.7.21朝日新聞より
→高校が生徒に複数の大学を受験させる合格者数水増しに関して文部科学省の見解が掲載された記事によりますと、法令違反に当たらず、モラルの問題とのことでございます。
一部、「景品表示法違反の可能性」を報じた記事(2007.7.28朝日)がありましたが
続報はなく、また、後日の同じ新聞では「法や規則には触れない」(2007.9.5朝日)
となっておりました。
なお、景品表示法違反としては、塾が合格実績を偽って誇大に記載した例があるようですが、私立高校は実際の合格者数となりますので違いがございます。←
調査室の回答や関係資料を通じて問題に思いますのは、各高校が卒業生の進路としての実績を表すのではなく、生徒の受験活動の結果を集計することで他校と合格数を競っている現状が問題なのだと感じました。それぞれの生徒にとって進路、ここでは進学希望者に絞って申し上げますが、一人一人の生徒の進学先は一つなのです。合格者数を競うから水増しを行う為に成績の良い生徒に受験料を負担してでも多数の有名大学を必要もないのに受験させるような事態が起きるのです。それは、その高校を一律に評価する指標にはなりえないのではないでしょうか。高校毎に生徒数も違いますし所在する場所も違いますので単純に有名大学への合格者数では比較できないはずです。
文部科学省など中立な公的機関がリーダーシップを発揮し学校の合格実績に偏重した評価基準から脱却するべく指針を示すガイドラインを提起してもらえないものかと思います。学校から頼まれただけで受験している学生が入学の意思のない大学を多数受験して合格することで、本当に入学を望んでいる真の受験者の妨害になっているのではないかと危惧します。また、入学を希望しない学校の受験を強いられる学生は自身が通う学校の宣伝のための奉公でしかないようにも思え、苦痛を強いられているケースが多いと思われます。まさしく、そのことこそが浜田聡議員が危惧する倫理的な問題であろうかと思います。教育機関である高校においては指導要領に則り道徳や倫理も教えていることだと思います。まずは各学校が率先して生徒への過度の負担にならないように真の進路指導と受験へのサポートを再考して頂きたいと切に願います。
以上、ご拝読ありがとうございました。
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