暫定的レジ袋無償化法案について(浜田議員の法制局への相談に対する回答)
毎日、強い日差しで顔がマスク焼けしないと心配になる今日この頃です。新型コロナウイルス感染症の終息ももう少し時間がかかるのかなという気がします。使い捨てマスクの価格が元に戻りつつあることがせめてもの救いでしょうか。皆様におかれましても手指の消毒はぜひ心掛けて下さい。一人ひとりの意識の広がりが社会に安寧をもたらすこともあろうかと思います。
さて、参議院浜田聡議員が参議院法制局に「暫定的レジ袋無償化法案」(支援者様発案)について相談をして回答を得ましたので、僭越ながら浜田議員に代わり、下記に報告させて頂きます。
下線部分を加筆させて頂きましたことをご了承ください。
下記画像:経済産業省
下記、支援者様ご発案の浜田議員が相談した法案内容
支援者様の暫定的レジ袋無償化法案
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律の一部を改正する法律(案)
容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律(平成七年法律第百十二号)の一部を次の通り改正する。
附則に次の一条を加える。
第四条 事業者は、新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成二十四年法律第三十一号)附則第一条の二第一項によって、新型コロナウイルス感染症(同法附則第一条の二第一項に規定する新型コロナウイルス感染症をいう。以下同じ。)が同法第二条第一号に規定する新型インフルエンザ等とみなされている間(以下、この期間を「新型コロナウイルスみなし期間」という。)、第七条の四で主務大臣が定めた基準その他の法令に関わらず、商品の販売に際しては、消費者にその用いる容器包装を無償で提供することができる。
2 国及び地方公共団体は、新型コロナウイルスみなし期間の間、事業者に対し、商品の販売に際して、消費者にその用いる容器包装を有償で提供するよう要請、指導、指示または命令してはならない。
3 地方公共団体は、新型コロナウイルスみなし期間の間、事業者が提供する、商品の販売に際して、消費者にその用いる容器包装に対し課税してはならない。
附則
(施行期日)
第一条 この法律は、公布の日から施行する。
法案の提出理由
買い物袋をはじめとする容器包装を使い回すと、事業者の従業員、消費者ともに新型コロナウイルス感染症に感染するリスクが高まる。そこで、事業者が、新型コロナウイルス感染症対策として、消費者にその用いる容器包装を無償で提供できるようにする必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。
【法案の意図】
本法案は新型コロナウイルス感染症の流行が収まるまでの間、レジ袋に限らず、容器包装を事業者が無償で提供できるようにする法律案です。
暫定法なので、本則ではなく附則を改正しています。
附則四条一項…新型コロナウイルス感染症が流行している間、事業者はレジ袋を無償で提供することができるようにする改正法の主体です。有償義務化の根拠となっているのは、容リ法七条の四第一項に従って主務大臣が定めた基準である「小売業に属する事業を行う者の容器包装の使用の合理化による容器包装廃棄物の排出の抑制の促進に関する判断の基準となるべき事項を定める省令」2条1号なので、そのことを念頭に置きました。「その他の法令」とは、例えば、「亀岡市プラスチック製レジ袋の提供禁止に関する条例」のように、有償無償に関わらずレジ袋の提供を禁じた条例も無視して無償提供できるようにするための措置です。
附則四条二項…亀岡市をはじめとして、自治体がレジ袋提供を禁止したり、禁止と行かないまでも協定を結んだり法律に基づかずレジ袋有償化を要請したりしている自治体は結構あるので、これを禁じる措置です。
附則四条三項…かつて杉並区ではレジ袋税を創設して、強制的に有償化する動きがありました(後に廃止)ので、これを禁じる措置です。
新型コロナウイルス感染症に伴って海外ではレジ袋無償化の動きがでてきました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20200701/k10012490321000.html
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_5efbfc6dc5b6acab284895ec
国内でも新型コロナウイルス感染症が流行しているのに有償強制はナンセンスと考えている方も多いようです。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/37427
https://www.gifu-np.co.jp/news/20200702/20200702-252893.html
参考…我が国のレジ袋規制に関する動向(参院調査室「立法と調査」201906)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2019pdf/20190603077.pdf
参議院法制局からの回答
→「暫定的レジ袋無償化法案」について 下記:法制局案です。
国及び地方公共団体は、消費者が容器包装を繰り返して使用することにより新型コロナウイルス感染症がまん延するおそれがあることに鑑み、新型コロナウイルス感染症に係る事態が収束するまでの間、事業者が商品の販売に際して消費者にその用いる容器包装(繰り返して使用することが予定されているものを除く。)を無償で提供することを促進するための措置その他そのまん延の防止に資するために必要な施策を講ずるものとすること。
※ 環境省の説明では、「マイバッグの使用が新型コロナウイルスの感染拡大を引き起こすのではないかという点については、現時点では科学的な証拠は見当たりません。」とされており、「消費者が容器包装を繰り返して使用することにより新型コロナウイルス感染症がまん延するおそれがある」という点に関する立法事実については、科学的な検証が必要である。また、「容器包装〔…〕を無償で提供すること」が新型コロナウイルス感染症のまん延の防止にどのように資するのかという点についても科学的な検証が必要である。
下記資料:環境庁レジ袋チャレンジ
環境庁としてはマイバックを介しての感染は科学的に根拠がないものとし、あくまでも感染予防に関しては手洗いや消毒を呼び掛けることとしています。ただし、レジ袋(プラスチック)に新型コロナウイルスが付着した場合は72時間の生存が見込まれることから、使用間隔をあけることでリスク軽減されることを明記しています。つまり、エコバックのウイルスの付着によって感染する可能性は認めているものと解釈しました。
下記資料:小泉大臣記者会見録令和2年7月3日
小泉大臣も新型コロナウイルスの感染ルートとしてマイバックを介してということは立証されていない状況の中で、感染防止策としてのレジ袋の無料配布には根拠が不十分等という見解です。小泉大臣はそもそも論としてレジ袋を有料化したのは持続可能な循環経済の在り方を国民が考えるきっかけにしたいという目的があると発言。あくまでの環境省としての立場での発言であり、感染予防の議論には及ばないと思います。
※ 「容器包装」の範囲及びこれを無償で提供する「事業者」の範囲については引き続き検討が必要である。
下記資料:容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行令より
仮にマイバックを無償化するとしら、その事業者の対象は上記の通りで良いと思います。現状でおいて有料化している小売り事業者においての感染予防が発案の意図だと思います。
※ 上記のような規定を設ければ地方公共団体がこれに反する施策(レジ袋の提供禁止、レジ袋への課税など)を講ずることは基本的にはできなくなるものと考えられる。←
上記、法制局の回答と頂いた参考資料から伺えることは、小売り店舗など事業者にレジ袋の有償化を義務付けていることと新型コロナウイルス感染症の蔓延を予防する措置との関係性を認めていないということだと思われます。つまり、マイバックを推奨した結果によりコロナウイルスに感染したという科学的な根拠を当該法案の前提として要するということでしょう。そして、マイバック等の個別具体的な物を指した感染症対策よりもマクロな感染対策としての手洗い・消毒を呼び掛ける方法を優先している状況にあると思います。レジ袋の有償化に関する法的な議論を行うのであれば、新型コロナウイルス感染症にかかる時限的な法案の議論であるよりも、レジ袋の有償化を義務付けることが、果たしてプラスチックごみの問題やCO2排出削減の問題に関して貢献するのかどうかの是非を問うことが現実的であり政府も与しやすいのではないかと考えます。小泉大臣も言及している通り、レジ袋の有料化は直面した環境問題と将来の社会システムを考えるきっかけに過ぎないのかもしれません。よって、それらの議論が進む過程や結論においてレジ袋有料化の義務付ける法律が改正されたり、緩和されたりすることもあり得ることなのではないでしょうか。プラスチックごみを減らす為にレジ袋を減らす方策を進めるのであれば、ペットボトルを削減する方策を考えた方が有効だと思います。CO2の排出削減を図るならエコバックの推進よりも太陽光発電や風力発電を進めることが有効だと思います。つまり、レジ袋の有料義務化はあくまで環境問題に対する国民への動機付けに他ならず、その象徴的な取り組みに過ぎないのではということを思いました。
ご拝読ありがとうございました。
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