会計検査院検査官の国会同意人事について
どっかいけぇ
会計検査院検査官の国会同意人事案についてである。会計検査院と言えばつい先日のニュースでコロナ禍における観光業界への国からの支援として旅行代金や宿泊料金の割引、地域ごとのクーポンの発行など1兆1193億円を官公庁から都道府県衣に分配する仕組みであったが、1割以上に上る1285億円が使われずそのままになっていたことが会計検査院の調査で判明。会計検査院の試算では貸し切りバスによる団体旅行に限って算定すべき配分枠を鉄道や飛行機を利用する旅行も含んだ統計をもとに観光庁が算定基準を設定し、この枠だけで724億円の余りが生じたということだった。観光庁はこうした算定基準などについての資料を保存しておらず、会計検査院は配分額が適正だったかどうか検証できなかった。観光庁が試算せずに予算要求することなど考えられないことから、会計検査院に開示したくないだけなのだろう。いずれにせよ、会計検査院の調査によって問題が発覚したことについては前向きに捉える。
会計検査院の同意人事についてはこれで3回目である。以前の記事より
「会計検査院とは国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関である。憲法は、「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。」と定めている。検査の対象は国の会計のすべての分野のほか、政府関係機関など国が出資している団体や、国が補助金その他の財政援助を与えている都道府県、市町村、各種法人などにまで及んでいる。検査の目的は適正な会計経理が行われるよう常時会計検査を行って会計経理を監督すること為です。検査の結果により国の決算を確認するという職責も負っている。会計検査院が決算の確認という公的な意思表明をすることによって内閣は決算を国会に提出できることになる。上場企業に対する監査法人のような存在である。」
「検査官の仕事は、検査官会議を通じて検査等の事務の指揮監督、職員の任免の議決を行う。また、作成した検査報告についても議決を行う。その他に会計検査を受けるものの決定をしたり、検査先の計算証明の決定もする。また、法令や制度や行政に関して意見を表示したり、処置を要求することもできる」
「検査官は非常勤はおらず、全員が常勤の検査官である。会計検査院の院長は検査官の互選で選ばれる。院長の検査官の報酬は年2929万円、院長以外の検査官の報酬は2395万円である。相当な高額報酬だが人数が3名と非常に少ない設定であるし、特殊な会計知識と倫理観を保持する必要があるので高額報酬も納得できる。それにしても3名とはぎりぎり多数決が成立する極限のスリム化したポストである。」
今回の人事案は2名、新任が1名、再任が1名である。再任案の挽文子氏については昨年にも下記の通り調査しています。
「今回、同意人事案に上っているのは挽文子である。挽氏は公務員ではなく一橋大学の教授として管理会計に精通し、公認会計士試験の委員も務めてきた人物である。3名のバランスを考えると、一人は会計検査院のOBとして業務や実務に関して経験が豊富、もう一人は経営学者、今回の人事案である挽氏は管理会計学に精通している会計学者、俯瞰してもバランスのとれた良い布陣だと思う。」
検査院は常勤であるから挽文子氏の経歴に大きな変化はない。会議には昨年63回出席し皆勤である。非営利組織についての明るい。なにより60歳とまだ若い。よって、再任案に賛成するべきだと考える。
新任案の田中淳子であるが、院長の田中弥生氏の後任候補で常勤の検査官の人事案である。30年以上NHKに勤務しジャーナリストとして活躍。シドニーやワシントン支局長を務め、広報局長、国際放送局長を歴任し、上智大学非常勤講師に就いている。会計学、行財政、会計検査実務とは無縁である。メディアでの経験を活かす機会は検査官としてはほとんど皆無であるはず。NHKでの勤務もほとんどが海外や国際畑であり会計検査院の業務と親和性はないと思われる。また、NHKでエリートコースを歩みながら定年前に退縮していることも解せない。NHK退職後の受け皿が大学の非常勤講師では全く物足りない。よって、田中淳子氏の新任案には反対である。
参考
坂本雅彦ブログ
https://masahikosakamoto.amebaownd.com/posts/42020201
会計検査院を志望する方に
https://warp.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/7352594/www.jbaudit.go.jp/recruit/pdf/jinji_panf_2.pdf
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